シンワアート Research Memo(10):2016年5月期は大幅な増収増益で着地
[16/10/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(2) 2016年5月期決算の概要
シンワアートオークション<2437>の2016年5月期の業績は、売上高が前期比32.2%増の3,898百万円、営業利益が同358.2%増の356百万円、経常利益が同530.3%増の332百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同902.9%増の164百万円と大幅な増収増益であった。会社計画に対しても2度の増額修正を伴いながら期初予想を大きく上回る結果となった。
主力の「オークション関連事業」がおおむね堅調に推移する一方で、「エネルギー関連事業」が想定を上回るペースで大きく拡大したことが増収に寄与した。
損益面でも、前期(2015年5月期)の一過性費用(オークション関連事業における商品在庫の評価減)の解消や増収による固定費の吸収等により大幅な増益を実現し、営業利益率も9.1%(前期は2.6%)に改善した。また、エネルギー関連事業における取引先の経営破綻※の影響により、貸倒損失(約48百万円)を特別損失に計上したが、当期純利益でも大幅な増益を実現した。
※新電力大手の日本ロジテック協同組合の破産申し立て(2016年4月15日)に伴うもの
財政状態については、総資産が3,959百万円(前期末比17.8%増)に拡大した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより1,765百万円(同8.3%増)となったことから自己資本比率は44.6%(前期末は48.5%)に若干低下した。また、有利子負債残高は長短併せて1,371百万円(前期末比41.7%増)に増加しているが、流動比率は200.5%の高い水準を確保しており財務の健全性に懸念はない。
なお、総資産が拡大したのは、自社保有の穂北太陽光発電所の売却等により固定資産が392百万円(前期末比39.6%減)に縮小した一方、増収に伴う「現金及び預金」及び「売掛金」の増加や戦略的な「商品在庫(美術品)」の積み増しにより流動資産が3,566百万円(31.6%増)に大きく拡大したことが要因である。
各事業の概要は以下のとおりである。
a)オークション関連事業は、売上高が前期比3.5%増の1,180百万円、セグメント利益が89百万円(前期は5百万円の利益)と増収及び大幅な損益改善となった。ただ、本来の業績の規模を示す取扱高(落札総額)では前期比7.0%減の4,129百万円と低調であったことから、回復のペースは依然鈍い状況と言える。特に、主力の近代美術オークションが苦戦しており、その分をプライベートセール(相対取引)の拡大(高額作品の成約等が寄与)によりカバーする格好となった。
一方、損益面では、前期(2015年5月期)における一時的な特殊要因(商品在庫の評価減等)の解消から大幅な損益改善となり、セグメント利益率も7.6%(前期は0.5%)に回復した。また、同社がプラットフォーム構想の中で戦略的に取り組んでいる商品在庫(期末残高)についても626百万円(前期末比77.6%増)に増加している。
b)エネルギー関連事業は、売上高が前期比50.2%増の2,714百万円、セグメント利益が同258.7%増の269百万円と想定を上回る大幅な増収増益となった。生産性向上設備投資促進税制による需要拡大を追い風として、小型(50kW級)の低圧型太陽光発電施設の販売が101基(前期比+37基)と計画を上回って大きく伸びた。特に、100%即時償却等の優遇税制措置が受けられる期限の3月末までの需要が好調であったことに加えて、節税効果が縮小(50%特別償却等)した4月以降も根強い需要が継続していることが想定を上回る増収となった要因である。また、期初予想には入っていなかった自社保有の穂北太陽光発電施設(宮崎県西都市/993.6kW)の売却も増収に寄与した。好条件による引き合いがあったことが売却に踏み切った経緯とみられる。一方、売電収入については、穂北太陽光発電施設の売却により想定を下回ったものの、影響としては軽微であったようだ。
c)その他は、売上高が2.9百万円(前期は0.3百万円)、セグメント損失が2.0百万円(前期は3.2百万円の損失)と小規模ながら伸長したが、黒字化には及ばなかった。今後の収益ドライバーとして位置付けている医療ツーリズム事業は、事業モデルの構築に取り組んでいる段階であり、本格的な業績貢献には至っていない。また、2016年4月から開始した保険代理店事業(地震保険キャプティブ設立コンサルティング)についても、引き合いはあるものの具体的な成果はこれからのようである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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(2) 2016年5月期決算の概要
シンワアートオークション<2437>の2016年5月期の業績は、売上高が前期比32.2%増の3,898百万円、営業利益が同358.2%増の356百万円、経常利益が同530.3%増の332百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同902.9%増の164百万円と大幅な増収増益であった。会社計画に対しても2度の増額修正を伴いながら期初予想を大きく上回る結果となった。
主力の「オークション関連事業」がおおむね堅調に推移する一方で、「エネルギー関連事業」が想定を上回るペースで大きく拡大したことが増収に寄与した。
損益面でも、前期(2015年5月期)の一過性費用(オークション関連事業における商品在庫の評価減)の解消や増収による固定費の吸収等により大幅な増益を実現し、営業利益率も9.1%(前期は2.6%)に改善した。また、エネルギー関連事業における取引先の経営破綻※の影響により、貸倒損失(約48百万円)を特別損失に計上したが、当期純利益でも大幅な増益を実現した。
※新電力大手の日本ロジテック協同組合の破産申し立て(2016年4月15日)に伴うもの
財政状態については、総資産が3,959百万円(前期末比17.8%増)に拡大した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより1,765百万円(同8.3%増)となったことから自己資本比率は44.6%(前期末は48.5%)に若干低下した。また、有利子負債残高は長短併せて1,371百万円(前期末比41.7%増)に増加しているが、流動比率は200.5%の高い水準を確保しており財務の健全性に懸念はない。
なお、総資産が拡大したのは、自社保有の穂北太陽光発電所の売却等により固定資産が392百万円(前期末比39.6%減)に縮小した一方、増収に伴う「現金及び預金」及び「売掛金」の増加や戦略的な「商品在庫(美術品)」の積み増しにより流動資産が3,566百万円(31.6%増)に大きく拡大したことが要因である。
各事業の概要は以下のとおりである。
a)オークション関連事業は、売上高が前期比3.5%増の1,180百万円、セグメント利益が89百万円(前期は5百万円の利益)と増収及び大幅な損益改善となった。ただ、本来の業績の規模を示す取扱高(落札総額)では前期比7.0%減の4,129百万円と低調であったことから、回復のペースは依然鈍い状況と言える。特に、主力の近代美術オークションが苦戦しており、その分をプライベートセール(相対取引)の拡大(高額作品の成約等が寄与)によりカバーする格好となった。
一方、損益面では、前期(2015年5月期)における一時的な特殊要因(商品在庫の評価減等)の解消から大幅な損益改善となり、セグメント利益率も7.6%(前期は0.5%)に回復した。また、同社がプラットフォーム構想の中で戦略的に取り組んでいる商品在庫(期末残高)についても626百万円(前期末比77.6%増)に増加している。
b)エネルギー関連事業は、売上高が前期比50.2%増の2,714百万円、セグメント利益が同258.7%増の269百万円と想定を上回る大幅な増収増益となった。生産性向上設備投資促進税制による需要拡大を追い風として、小型(50kW級)の低圧型太陽光発電施設の販売が101基(前期比+37基)と計画を上回って大きく伸びた。特に、100%即時償却等の優遇税制措置が受けられる期限の3月末までの需要が好調であったことに加えて、節税効果が縮小(50%特別償却等)した4月以降も根強い需要が継続していることが想定を上回る増収となった要因である。また、期初予想には入っていなかった自社保有の穂北太陽光発電施設(宮崎県西都市/993.6kW)の売却も増収に寄与した。好条件による引き合いがあったことが売却に踏み切った経緯とみられる。一方、売電収入については、穂北太陽光発電施設の売却により想定を下回ったものの、影響としては軽微であったようだ。
c)その他は、売上高が2.9百万円(前期は0.3百万円)、セグメント損失が2.0百万円(前期は3.2百万円の損失)と小規模ながら伸長したが、黒字化には及ばなかった。今後の収益ドライバーとして位置付けている医療ツーリズム事業は、事業モデルの構築に取り組んでいる段階であり、本格的な業績貢献には至っていない。また、2016年4月から開始した保険代理店事業(地震保険キャプティブ設立コンサルティング)についても、引き合いはあるものの具体的な成果はこれからのようである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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