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ピクスタ Research Memo(2):16/12期2Qは大幅な増収増益、進捗率も順調

注目トピックス 日本株
■2016年12月期第2四半期決算の分析

(1)決算概要

ピクスタ<3416>の2016年12月期第2四半期決算は、売上高851百万円(前年同期比31.1%増)、営業利益114百万円(同53.4%増)、経常利益112百万円(同51.2%増)、四半期純利益86百万円(同24.9%増)と増収増益で着地した。

同社は期初に第2四半期予想を公表していないが、通期予想に対する進捗率は、売上高で49.3%、営業利益で63.1%などとなっており、今第2四半期は順調に進捗したと評価できる。同社の売上高には、四半期ごとに需要が積み上がるという傾向があることを考えれば、売上高の進捗率が49.4%というのは、実質的には50%を大きく超えていると言える。

売上高では、マーケットプレイス「PIXTA」のサイトリニューアルを第1四半期に行い、SEO対策強化や検索機能の改善、素材の充実を図った。その結果、KPI(重要経営指標)である単品販売月間購入者数や定額制契約数が順調に拡大し、増収へとつながった。単品販売月間購入者数の第2四半期累計(6ヶ月間の合計値)は102,145人(前年同期比7.2%増)、第2四半期末時点での定額制契約数は842件(同93.6%増)となった。

利益面では、販管費においてベトナム子会社設立費用の増加などの要因はあったものの、広告費や人件費の伸びが少なかったことにより、前年同期比28.2%増と、売上高の増収率を下回った。その結果、売上高販管費率は、前年同期の44.8%から今第2四半期は43.8%に1ポイント低下した。売上総利益率も定額制契約数の順調な増加等による仕入原価率の改善と、サーバーの効率的運用および円高によるサーバーコストの低下によって、今第2四半期は前年同期に比べて1ポイント改善した。この結果、売上高営業利益率は前年同期の11.5%から2ポイント改善して13.5%となり、前年同期比53.4%増という高い増益率につながった。

(2) 2016年12月期第2四半期中の主な進捗状況

同社は現在、主力のPIXTA事業に加えて、新規事業「fotowa」の立ち上げなどに取り組んでいる。また第2四半期決算発表後の8月23日には子会社スナップマート(株)の設立と事業譲受けが発表された。これについては、成長戦略の項で詳述する。

a) KPI(重要経営指標)
主力のPIXTAの事業モデルの詳細は後述するが、KPIとしては前述の単品販売月間購入者数、定額制販売契約数、デジタル素材点数がある。これらはいずれも、今第2四半期において順調な拡大を示した。

単品販売月間購入者は月に1回以上購入した人数で、最も基本的なKPIの1つだ。四半期累計ベースで見ると、2016年12月期は第1・第2四半期ともに、50,000人の大台を上回っており、第2四半期累計期間(6ヶ月)では前年同期を7.2%上回っている。また、第2四半期の1人当たりの平均月間購入額については、大口売上等の影響を受けた第1四半期には及ばなかったが、購入単価と購入頻度の向上により前年同期比で上昇している。同社が今第1四半期において行ったサイトのリニューアルとSEO対策などの効果がここに明確に現れたと言える。

2016年12月期通期では12ヶ月累計で23万人超を目標としている。第2四半期累計までの進捗率は44.3%で低く見えるが、需要期は年末需要を抱えた第4四半期であるため、これまでのところは順調に推移していると弊社では評価している。

定額制販売契約数は、月次更新もしくは1年更新で、一定額で素材をダウンロードできる料金体系だ。ヘビーユーザーにとっては割安である一方、同社にとっても安定収入源の確保につながるため、契約数の拡大に努めている。2016年6月末では契約数が842件と1年前に比べて93.6%の増加となり、今期末時点の目標数914件の達成が十分手の届くところに来た。

今第2四半期は定額制の中のオプション契約とも言える“マルチシートライセンス”の拡販に努めたことが特徴的だ。これは、複数名で共有できる法人向けのライセンスプランで、1契約当たり売上高は大きくなるので同社にもメリットがある。同社は定額制/マルチシートライセンスについてアウトバウンドコールによる営業を行っているが、今第2四半期はWeb経由での申し込み数増加も目立った。これは今第2四半期に行ったサイト改善の効果であるとみられる。

“品ぞろえ”に当たるデジタル素材点数も重要なKPIだ。2016年6月末時点では1,807万点に達し、こちらも順調に拡大した。同社はクリエイター(素材提供者)の活性化に注力しており、今第2四半期も全国で十数回にわたってセミナー、撮影会等のイベントを催した。また、クリエイター向けの情報サイトにおいて素材の売れ行きランキングや検索上位キーワード、撮影や制作ノウハウなど、クリエイターの創作意欲を高める情報を多数発信しており、そうした地道な工夫が素材点数の拡大につながっているとみられる。

b)「fotowa(フォトワ)」
同社は、新規事業として個人向けの出張撮影マッチングサービスを2016年2月(実質的には3月初旬)から開始した。一般的な写真館での撮影に比べて、自宅や戸外等で自然な表情やスタイルを撮影できる点や料金や写真データの所有などの点でメリットがあるサービスだ。

同社は現在、登録フォトグラファーを厳選している段階で、着実に登録が増えてきている状況だ。同時に、フォトグラファーに対してセミナーなどを開催し、質の向上にも取り組んでいる最中だ。売上高の金額はまだ多くはないが、徐々に増えてきている状況だ。また、サービスの開始以降サイト改善やWeb広告・オウンドメディアやSNSによる集客にも注力している。同社が考える需要のピークは10月〜11月の七五三とみており、それまでにしっかりと受け入れ体制を整える意向だ。将来の収益貢献を議論するのに十分なデータはいまだ積みあがっていないものの、一定の市場において確実な需要があるという手応えは感じており、サービスやサイトを磨き上げたうえでマーケティングをさらに強化していく意向だ。

弊社では、「fotowa」のビジネスモデルにおいてはフォトグラファーのコミュニケーション能力が非常に大事になると考えており、同社が登録フォトグラファーを厳選していることはポジティブであるとみている。潜在的ニーズが大きいと期待されるだけに、じっくり育てようという同社のスタンスは、中長期的にはより良い結果につながるものと弊社では考えている。

c)無料チラシテンプレート素材
同社はライトユーザー(デザインを本業としていない個人やスモールビジネス事業者)獲得のための施策として2016年2月から無料チラシテンプレート素材の提供を開始した。2016年2月に200点のテンプレート素材でサービスを開始したところ、一定の効果が確認できたため、現段階では素材点数を1,000点に拡大した状況にある。2016年6月の新規登録ライトユーザーの数が1年前に比べて73%増加し、このうちの半分以上が無料テンプレート素材経由ということで、期待どおりの効果を挙げることができたものとみられる。

今第2四半期における明確な効果を受けて、同社は今後の展開を検討中だ。弊社では、このまま素材点数を拡大させて現状の流れをさらに太くしたり、他の素材のように投稿制にすることや有料素材の提供など、様々な施策があると考えている。今後の展開について、期待をもって見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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