アバント Research Memo(4):16/6期は増収増益、2期ぶりに過去最高業績を更新
[16/10/17]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
(1) 2016年6月期の業績概要
8月5日付で発表されたアバント<3836>の2016年6月期の連結業績は、売上高が前期比7.7%増の9,612百万円、営業利益が同37.9%増の1,109百万円、経常利益が同39.8%増の1,112百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同64.3%増の660百万円と増収増益決算となり、2期ぶりに過去最高業績を更新した。
連結決算業務の効率化・迅速化や連結経営に対するガバナンス体制強化を目的に、企業の財務・経営管理部門における情報化投資が拡大するなかで、同領域において業界トップの実績を誇る同社の売上高も順調に拡大した。なかでも、アウトソーシング・サービスは高成長を示した。
営業利益の増減要因を見ると、既存事業の基盤強化や今後の成長に向けた人財投資(517百万円)、新事業に係る投資(81百万円)、IT投資(22百万円)等の費用増要因があったものの、増収効果とその他費用の減少(241百万円)により増益となっている。その他費用では、研究開発費が202百万円減少したほか、受注損失引当金が前期との比較で78百万円の減少要因となっている。
また、特別損失として2015年6月期に発生したERPの不採算プロジェクトについては8月にプロジェクトを完了している。なお、ERP関連のシステム開発事業を行っていたディーバ・ビジネス・イノベーションについては、経営資源の集約による財務状態の改善及び経営効率の向上を目的として、2016年6月末にディーバに吸収合併している。
会社計画対比では売上高はほぼ計画どおりとなったが、営業利益は18.7%上回って着地した。これは、2017年6月期に計上見込みであった「DivaSystem」やその他のシステム案件のライセンス販売が当第4四半期に前倒し計上されたこと、並びに人財投資に係る費用が当初計画を下回ったことが主因となっている。このうちライセンス販売の前倒しによる影響額は、営業利益で約1億円の増益要因になったと見られる。
(2)事業形態別売上動向
事業別の売上状況を見ると、ライセンス販売は前期比8.6%増の753百万円となった。主力製品の連結会計システム「DivaSystem」は、前期に機能や操作性を大幅に向上した新製品を投入した効果で堅調に推移したほか、より幅広い経営情報の活用に関する提案に取り組んだ成果として、その他の製品ライセンス販売も大幅に伸長したことが増収要因となった。
コンサルティング・サービスは前期比4.9%増の5,660百万円となった。ERPの導入コンサルティング・サービスに関しては、不採算プロジェクトの収束に向けて人的リソースを集中し、新規の受注活動をストップしたため減収となったものの、IFRS(国際財務報告基準)の適用やグローバル・ガバナンス体制の強化、BIツールの経営戦略への活用といった経営管理・戦略に対する投資意欲は旺盛で、全体では増収基調が続いた。また、ジールについては金融機関向けの大型開発案件を計上したこともあり好調に推移した。
サポート・情報検索サービスは、前期比12.7%増の3,198百万円となった。増収要因の1つはアウトソーシング・サービスの成長によるもので、大企業を中心に連結決算業務や連結納税業務のアウトソーシング需要を確実に取り込んでいる。契約社数は、「DivaSystem」の既存顧客を中心に30社を超えるまでになっている模様だが、全顧客に対する比率で見ればまだ1割にも満たない水準であり、今後の成長ポテンシャルが大きいサービスとして注目される。その他のサービスでは、「DivaSystem」の契約企業数増加や高い継続利用率を背景に、保守売上が堅調に推移したほか、監査法人向けを中心とした情報検索サービスも前期並みの水準で推移した。
なお、四半期ベースの受注高、売上高の推移を見ると、いずれも基調としては右肩上がりの増加を示している。2016年6月期4四半期について見れば、受注高は前年同期比9.8%増の2,830百万円、売上高は同5.2%増の2,627百万円といずれも四半期ベースでの過去最高を更新しており、また、受注残高も同11.7%増の1,964百万円と過去最高水準で推移するなど、同社の業績は着実に成長を続けていると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(1) 2016年6月期の業績概要
8月5日付で発表されたアバント<3836>の2016年6月期の連結業績は、売上高が前期比7.7%増の9,612百万円、営業利益が同37.9%増の1,109百万円、経常利益が同39.8%増の1,112百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同64.3%増の660百万円と増収増益決算となり、2期ぶりに過去最高業績を更新した。
連結決算業務の効率化・迅速化や連結経営に対するガバナンス体制強化を目的に、企業の財務・経営管理部門における情報化投資が拡大するなかで、同領域において業界トップの実績を誇る同社の売上高も順調に拡大した。なかでも、アウトソーシング・サービスは高成長を示した。
営業利益の増減要因を見ると、既存事業の基盤強化や今後の成長に向けた人財投資(517百万円)、新事業に係る投資(81百万円)、IT投資(22百万円)等の費用増要因があったものの、増収効果とその他費用の減少(241百万円)により増益となっている。その他費用では、研究開発費が202百万円減少したほか、受注損失引当金が前期との比較で78百万円の減少要因となっている。
また、特別損失として2015年6月期に発生したERPの不採算プロジェクトについては8月にプロジェクトを完了している。なお、ERP関連のシステム開発事業を行っていたディーバ・ビジネス・イノベーションについては、経営資源の集約による財務状態の改善及び経営効率の向上を目的として、2016年6月末にディーバに吸収合併している。
会社計画対比では売上高はほぼ計画どおりとなったが、営業利益は18.7%上回って着地した。これは、2017年6月期に計上見込みであった「DivaSystem」やその他のシステム案件のライセンス販売が当第4四半期に前倒し計上されたこと、並びに人財投資に係る費用が当初計画を下回ったことが主因となっている。このうちライセンス販売の前倒しによる影響額は、営業利益で約1億円の増益要因になったと見られる。
(2)事業形態別売上動向
事業別の売上状況を見ると、ライセンス販売は前期比8.6%増の753百万円となった。主力製品の連結会計システム「DivaSystem」は、前期に機能や操作性を大幅に向上した新製品を投入した効果で堅調に推移したほか、より幅広い経営情報の活用に関する提案に取り組んだ成果として、その他の製品ライセンス販売も大幅に伸長したことが増収要因となった。
コンサルティング・サービスは前期比4.9%増の5,660百万円となった。ERPの導入コンサルティング・サービスに関しては、不採算プロジェクトの収束に向けて人的リソースを集中し、新規の受注活動をストップしたため減収となったものの、IFRS(国際財務報告基準)の適用やグローバル・ガバナンス体制の強化、BIツールの経営戦略への活用といった経営管理・戦略に対する投資意欲は旺盛で、全体では増収基調が続いた。また、ジールについては金融機関向けの大型開発案件を計上したこともあり好調に推移した。
サポート・情報検索サービスは、前期比12.7%増の3,198百万円となった。増収要因の1つはアウトソーシング・サービスの成長によるもので、大企業を中心に連結決算業務や連結納税業務のアウトソーシング需要を確実に取り込んでいる。契約社数は、「DivaSystem」の既存顧客を中心に30社を超えるまでになっている模様だが、全顧客に対する比率で見ればまだ1割にも満たない水準であり、今後の成長ポテンシャルが大きいサービスとして注目される。その他のサービスでは、「DivaSystem」の契約企業数増加や高い継続利用率を背景に、保守売上が堅調に推移したほか、監査法人向けを中心とした情報検索サービスも前期並みの水準で推移した。
なお、四半期ベースの受注高、売上高の推移を見ると、いずれも基調としては右肩上がりの増加を示している。2016年6月期4四半期について見れば、受注高は前年同期比9.8%増の2,830百万円、売上高は同5.2%増の2,627百万円といずれも四半期ベースでの過去最高を更新しており、また、受注残高も同11.7%増の1,964百万円と過去最高水準で推移するなど、同社の業績は着実に成長を続けていると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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