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マーケットE Research Memo(4):売り手と買い手それぞれのニーズを理解、双方からの信頼を得る

注目トピックス 日本株
■リユース事業の現況

(2)強みと特徴

マーケットエンタープライズ<3135>の強みは、自社の存在意義を正当化するだけの価値を利用者(売り手と買い手の双方)に提供できている点にあると弊社では考えている。リユース品の取引は、インターネットオークションや専用サイトを通じて行われることも多い。これらはC to Cだが、同社のようなリユース業者が介在するケースはC to B to Cとなる。Bが介在することで、両サイドのCにとってそれだけ利益が縮小する懸念が生じる。リユース業者として、そうした懸念を払しょくし、逆に価値を提供できれば、同業他社に対して大きな差別化要因となるだけでなく、C to CからC to B to Cへという商流の変化をもたらし市場拡大につなげることもできる。

売り手と買い手のそれぞれのニーズを分析・検討すると、リユース品取引のポイントが見えてくる。すなわち、1)商品・価格への信頼性、2)取引の安全性、3)作業の簡便性・省力化、の3点に大きく集約できる。もっと簡潔に言うならば、“安心・安全の確保”だ。同社が提供する取引システムは、これらの点をすべてクリアしており、そこが同社の特徴・強みとなっていると弊社では評価している。

1)商品・価格の信頼性への対応
まず入口の部分で売り手に信頼感を与える部分として、26カテゴリーの専門サイトの存在を挙げることができる。自分の愛用品を“わかる人”に評価してほしいというのは普遍的な心理であろう。同社は専門メディア(サイト)と専門家を配置し、適正価格だけでなく、商品への思いを顧客と共有できる体制を構築している。

価格の面では、精度の高い査定データベースを構築して適正化、透明性の確保に努めている。これは買取価格や販売価格はもちろん、買取依頼件数の動向や商品の状態などのデータを反映しながら、日々更新されているものだ。これにより同社は、同一モデルで同程度のものであれば同じレンジの査定価格を提案できる体制となっている。販売においても同様だ。取引実績というエビデンスに基づいた価格をオファーすることで、価格面での不安や不信感を排除することができている。

商品への信頼の確保という点では、「3大保証」(動作保証、延長保証、買取保証)を付けていることが挙げられる。こうした保証サービスは、個人はもちろん、リユース事業者であっても提供するのが難しいサービスだ。同社は買取時の商品査定と、買取後のメンテナンスをきちんと行う体制を確立することで、こうした保証サービスの提供を可能としている。

2)取引の安全性
取引の安全性については、上場企業という事実が売り手と買い手の双方に大きな安心感を提供できているのは疑いないだろう。さらに、売り手に対して同社は、リユースセンターに商品が到着して買取価格が確定すれば翌日に代金を送金する体制となっている。事前査定と支払タイミングの明示で、売り手は代金回収のめどを立てられるようになっており、これは売り手からすれば同社を選択する大きな動機付けになっていると弊社ではみている。

3)作業の簡便性・省力化
買い手の梱包・配送に対する期待値は高く、評価制度における重要な評価ポイントとなっている。同社はリユース事業者としてこの点が問題となるケースはほぼないと言えるだろう。一方、売り手の側からは、C to Cの場合には、梱包・発送を自身で行うことになる。商品の内容によっては大きな手間となるケースもある。しかし同社を相手に売却する場合には、出張買取、宅配、店頭買取の選択が可能だ。最も利用頻度が高い宅配の場合でも、同社が必要な梱包材を手配するため、基本的には箱詰めだけですむという簡便さがある。こうしたロジスティクス面でも、同社はリユース事業者としての存在価値を打ち出すことができている。

同社が各種施策を通じて売り手と買い手の双方から信頼を獲得できていることを明確に表すデータがある。それは、取引1件当たりの平均単価(販売ベース)だ。C to Cの個人間取引も含めた、一般的なリユース取引の平均単価が約2,500円であるのに対して、同社の平均単価は25,000円と、約10倍の差となっている。高額品の取引においては、取引上のリスクを軽減するためにリユース業者を活用する流れが定着しつつあり、その際に同社が選ばれていることは、同社が信頼を勝ち得ている証であり、同社の強みであると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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