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シノケングループ<8909>---東京の用地仕入れ強化を推進、2016年12月期通期では大幅増益を見込む

注目トピックス 日本株
ラジオNIKKEI マーケットプレスの『フィスコ presents 注目企業分析』10月20日放送において、シノケングループ<8909>を取り上げている。主な内容は以下の通り。

■会社概要
シノケングループ<8909>は、アパート販売事業、マンション販売事業を2本柱とし、東京、福岡、名古屋など国内主要都市圏で事業展開。電話営業が主流の業界にあって、1990年に福岡で創業して以来、セミナーや広告などによるプル型営業を特徴としている。
アパート販売は、土地を持たないサラリーマン層に土地からあっせんするというアパート経営の常識を覆すビジネスモデル。フロービジネスのアパート販売やマンションの販売に伴い、不動産賃貸管理、家賃滞納保証などのストック収益が自動的に積み上がる仕組みになっている。2012年12月に福岡市の介護事業者を買収したのを皮切りに介護事業に参入。2014年2月にマンション施工の内製化を主目的に老舗中堅ゼネコンの(株)小川建設を買収し、ゼネコン事業にも事業領域を広げた。

リーマンショックを受けた金融機関の貸し渋りにより、不動産の流動性が低下し、2009年3月期に棚卸資産評価損などにより、41.4億円の最終赤字となり、財政内容が毀損した。決算期を12月に変更した2009年12月には小幅の赤字が残ったが、金融市場の落着きを受け2010年12月期に黒字化した。以降、6期連続増収増益と業績は急成長し、財務内容も回復してきた。この間、M&Aも活用し、介護関連事業、ゼネコン事業など周辺事業へ事業領域を拡大してきた。

■事業概要
7セグメントで構成されており、フロービジネスのa)アパート販売事業、b)マンション販売事業、c)ゼネコン事業と、その周辺事業でストックビジネスのd)不動産賃貸管理事業、e)金融・保証関連事業、f)介護関連事業、g)その他(LPガス供給販売事業など)に大別される。祖業であるアパート販売とマンション販売が収益の柱。アパート販売、マンション販売に連動し、ストックビジネスが着実に積み上がるビジネスモデルになっている。

■ビジネスモデルの特徴と強み
アパート経営と言うと地主が相続税対策や遊休資産の活用のために行うものというイメージが強く、実際、大手ハウスメーカーや大東建託<1878>などでは地主に対し、そのような提案をし、アパート建築を請負っている。こうしたなか、同社では土地を持たず自己資金も少ない普通のサラリーマン、公務員層を主要ターゲットに、老後に向けた資産形成の一手段として土地付きアパートを提案するという業界の常識を覆す独自のビジネスモデルで事業を展開してきた。


土地から購入して果たしてアパート経営が成立するのかという疑念が持たれるところだが、創業来約26年にわたり、同社グループが供給してきた3,000棟以上のアパートで経営破綻を起こしたことは一例もない。高い入居率を維持してきたこと、アパートローンは変動金利だが、創業来、総じて低金利が続いてきたことなどによる。高い入居率を維持できてきたのは、1)大都市圏の市街地で駅から10分圏内で賃貸需要が確実に見込めるエリアに限って物件供給をしてきたこと(売上高拡大のために立地条件を緩めることをしなかった)、2)若年層に訴求するデザイン性に優れた物件を供給してきたこと、3)狭小地や変形地などを生かすプラニング力に優れ(木造はプレハブに比べ土地の形状に合わせて設計しやすい)、比較的用地を安く取得してきたこと、4)大手ハウスメーカーに比べ建築費が格段に安いこと(戸当たり建築費は400万円程度)、5)大手ハウスメーカーに比べ建築費が安いことから競争力の高い家賃設定が可能なこと、などによる。


■フロービジネスでの販売に連れて自動的にストックビジネスが積み上がる
介護関連事業以外のストックビジネスの収益は、フロービジネスでの販売に連動して自動的に積み上がる仕組みになっている。足元は金融機関の積極的な不動産融資姿勢などを受け、フロービジネスが高い伸びとなっているため、ストックビジネスの収益のウエイトは低下しているが、着実に積み上がっている。リーマンショックのような金融市場の激変などが起きた場合にはストックビジネスが業績の下支えとなるだろう。
また、ストックビジネスの柱である不動産賃貸管理事業では、高い入居率を維持しており、これがフロービジネスの営業においてプラスに働く(リピートや紹介につながるなど)といった好循環を生んでいる。


■2016年12月期第2四半期業績
2016年12月期第2四半期累計(1月-6月)決算は、売上高364億円(前年同期比26.3%増)、営業利益51.7億円(同32.5%増)、経常利益46.2億円(同19.6%増)、純利益30.2億円(同15.3%増)。7セグメントすべてで増収増益となり、第2四半期累計業績としては過去最高益を更新した。特に、マンション販売事業やゼネコン事業の利益率向上がけん引した。販管費が40.4億円(同42.4%増)と大幅に増加したが、これを吸収した。販管費の大幅増は、1)アパート販売事業拡大のための用地仕入れ要員の増員、2)今年1月に買収したアップルケアの新規連結、3)今年1月からの積極的なテレビCMの投下、などによる。

期初会社業績予想に対しては、売上高で24.2億円、営業利益で11.7億円、経常利益で7.2億円、純利益で3.2億円、それぞれ上回った。マンション販売事業やゼネコン事業の利益率が想定以上になったことが上振れの主因となったもよう。


■2016年12月期業績見通し
2016年12月期会社業績予想は、売上高720億円(前期比30.7%増)、営業利益75.0億円(同10.2%増)、経常利益71.0億円(同10.1%増)、純利益48.0億円(同7.9%増)。第2四半期累計決算発表時には期初会社予想が据え置かれた。通期会社業績予想に対する上期の進捗率は、売上高50.6%、営業利益68.9%、経常利益65.2%、純利益63.1%と高い。経常利益が会社予想の71億円を10%上回る78.1億円を超えることが見込まれる場合、特別配当金として期末に3円の増配を行う予定としているが、余裕を持って上振れするとみられる。

■相続増税を背景にしたアパートの供給過剰懸念
2015年1月からの相続税の課税強化を受け、地主の相続税対策としてのアパートの建築需要が高まっている。大手ハウスメーカーや大東建託などのアパート営業の積極化、地銀など金融機関のアパートローンの積極的な融資姿勢とあいまってアパートの着工が増加している。このため、アパートが供給過剰になり、空室率が上昇しているとのメディア報道が増えている。日銀が地銀に対してアパートローンに対するリスク管理体制の改善を求めるといった動きもある。

相続税対策としてのアパートは、総じて郊外物件が多い。また、郊外にもかかわらず利回りを重視して戸当たり面積を狭くするケースも多く、居住ニーズとのミスマッチを生じることが少なくない。受給バランスが崩れているのはこうした郊外アパート。これに対し、同社では大都市圏の人気沿線の駅から徒歩10分圏内の立地という方針を堅持して供給していること、大手ハウスメーカーが供給するアパートに比べ、建築費が安く家賃を低く設定できていることなどにより空室率を非常に低位で抑えている。このため同社が手掛けるアパートに対する金融機関の融資姿勢は引続き非常に積極的だ。立地条件は今後も緩めることはしない方針であり、将来の入居率悪化、それを受けた投資用アパート需要の減退の懸念は乏しいと言えるだろう。

■株価動向
5月半ばの高値3110円辺りをピークに調整が続いており、8月末安値をボトムにリバウンドをみせていたが、26週線に上値を抑えられる格好で13週線に上値を抑えられている。ただ足元で3日続伸から25日線を捉えてきている。同水準には13週線が位置しており、短期及び中期トレンドでもいったんシグナルが好転する可能性がある。

ラジオNIKKEI マーケットプレス
『フィスコ presents 注目企業分析』毎週月・木曜14:30〜14:45放送




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