ファストロジク Research Memo(10):不動産市況の下落が追い風となる
[16/10/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(2)2017年7月期見通し
2017年7月期についてファーストロジック<6037>は、売上高1,600百万円(前期比25.3%増)、営業利益590百万円(同1.0%増)、経常利益590百万円(同4.5%増)、当期純利益385百万円(同3.5%増)と増収増益を予想している。
2017年7月期の業績予想のポイントは、2016年7月期と同様に足場固め、すなわち先行投資の時期であるという点だ。前述のように、同社が当面の間、目指すのは投資用不動産の情報サービス企業として圧倒的なシェアを確保し、その結果として持続的成長が可能になる“仕組み”を作り上げることだ。同社のような業態の企業にとって最大のアセットは人材であり、その人材獲得及び人材育成が、同社にとっての投資となる。2017年7月期の業績予想において売上高の増収額に比較して営業利益以下の各利益項目の増益幅が小さいのは、こうした理由からだ。
売上高について同社は前期比25.3%の増収を予想している。「楽待」の物件掲載数や会員数はこれまで年20%〜30%の成長を続けているが、2017年7月期においてもこのペースを維持することを同社は目指している。他方、各サービスの単価アップや加盟店1店舗当たり売上高の上昇については織り込んでいない。利益については、前述のように人件費や広告宣伝費の増加が、増収による増益効果をほぼ相殺するため、営業利益は前期比1.0%増と実質横ばい圏にとどまるという計画となっている。
このような2017年7月期の会社側業績予想について、弊社では以下のような理由から、実現可能性は十分高いとみている。1つ目は、前期に獲得し訓練された人材がフル稼働するという点だ。「楽待」に対する潜在需要は大きく、営業人員を増強すればそれに対する一定の物件掲載数や加盟店数の増加が期待できる状況にある。加えて期中採用の人材も戦力として加わるため、営業体制強化が増収につながる可能性は非常に高いと弊社ではみている。
2つ目は不動産市況の下落だ。不動産市況がピークアウトしたのは現状では共通認識となっているが、2017年7月期からは価格下落が鮮明化してくるとみられる。同社は情報サービス会社であり、その収益モデルは不動産市況の影響は受けない。投資用不動産にあっては、市況下落は一時的には投資利回りに上昇につながるため、同社にとってはむしろ追い風になると期待される。
3つ目は「大家さんの味方」の貢献だ。前述のように、弊社では「大家さんの味方」には「楽待」の会員を活性化させ、物件の流通スピードを上げる、触媒のような働きがあるとみている。「大家さんの味方」については、2016年7月期を通じてブラッシュアップの投資を行った。
(3)2018年7月期の考え方
2018年7月期の業績について、弊社では以下のように考えている。
売上高は前期同様、前期比20%〜30%増となるとみている。その構成は2017年7月期と同様、物件掲載数や加盟店数といったX軸による成長が主要因だ。このシナリオの背景についても2017年7月期と同じく、新規獲得人材の収益貢献や不動産市況の下落による投資用不動産に対する情報ニーズの高まりがあると弊社では考えている。以上のような想定のもと、売上高は2,000百万円の大台乗せが1つの目安になるとみている。
一方、利益については見方が難しい。同社が“足場固め”を計画どおり2017年7月期に終了させることができれば、費用の発生は通常ペースに戻ってくる。しかしながら、人材獲得やポータルサイトの拡充・改良で遅れが発生したり、新たな成長投資案件が発生したような場合は、再度、先行投資としての費用が発生することも予想される。その場合でも前年同期減益とはならないと弊社では考えているが、増益率は再び大きく圧縮されたものとなる可能性がある。
2018年7月期の業績動向は、2017年7月期の進捗状況に依存していると言える。同社は業績予想値こそ通期のみであるが、決算説明資料は四半期ベースで開示されているため、同社の2017年7月期の業況を注意深く見守ることで2018年7月期の業績動向もある程度見えてくるものと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(2)2017年7月期見通し
2017年7月期についてファーストロジック<6037>は、売上高1,600百万円(前期比25.3%増)、営業利益590百万円(同1.0%増)、経常利益590百万円(同4.5%増)、当期純利益385百万円(同3.5%増)と増収増益を予想している。
2017年7月期の業績予想のポイントは、2016年7月期と同様に足場固め、すなわち先行投資の時期であるという点だ。前述のように、同社が当面の間、目指すのは投資用不動産の情報サービス企業として圧倒的なシェアを確保し、その結果として持続的成長が可能になる“仕組み”を作り上げることだ。同社のような業態の企業にとって最大のアセットは人材であり、その人材獲得及び人材育成が、同社にとっての投資となる。2017年7月期の業績予想において売上高の増収額に比較して営業利益以下の各利益項目の増益幅が小さいのは、こうした理由からだ。
売上高について同社は前期比25.3%の増収を予想している。「楽待」の物件掲載数や会員数はこれまで年20%〜30%の成長を続けているが、2017年7月期においてもこのペースを維持することを同社は目指している。他方、各サービスの単価アップや加盟店1店舗当たり売上高の上昇については織り込んでいない。利益については、前述のように人件費や広告宣伝費の増加が、増収による増益効果をほぼ相殺するため、営業利益は前期比1.0%増と実質横ばい圏にとどまるという計画となっている。
このような2017年7月期の会社側業績予想について、弊社では以下のような理由から、実現可能性は十分高いとみている。1つ目は、前期に獲得し訓練された人材がフル稼働するという点だ。「楽待」に対する潜在需要は大きく、営業人員を増強すればそれに対する一定の物件掲載数や加盟店数の増加が期待できる状況にある。加えて期中採用の人材も戦力として加わるため、営業体制強化が増収につながる可能性は非常に高いと弊社ではみている。
2つ目は不動産市況の下落だ。不動産市況がピークアウトしたのは現状では共通認識となっているが、2017年7月期からは価格下落が鮮明化してくるとみられる。同社は情報サービス会社であり、その収益モデルは不動産市況の影響は受けない。投資用不動産にあっては、市況下落は一時的には投資利回りに上昇につながるため、同社にとってはむしろ追い風になると期待される。
3つ目は「大家さんの味方」の貢献だ。前述のように、弊社では「大家さんの味方」には「楽待」の会員を活性化させ、物件の流通スピードを上げる、触媒のような働きがあるとみている。「大家さんの味方」については、2016年7月期を通じてブラッシュアップの投資を行った。
(3)2018年7月期の考え方
2018年7月期の業績について、弊社では以下のように考えている。
売上高は前期同様、前期比20%〜30%増となるとみている。その構成は2017年7月期と同様、物件掲載数や加盟店数といったX軸による成長が主要因だ。このシナリオの背景についても2017年7月期と同じく、新規獲得人材の収益貢献や不動産市況の下落による投資用不動産に対する情報ニーズの高まりがあると弊社では考えている。以上のような想定のもと、売上高は2,000百万円の大台乗せが1つの目安になるとみている。
一方、利益については見方が難しい。同社が“足場固め”を計画どおり2017年7月期に終了させることができれば、費用の発生は通常ペースに戻ってくる。しかしながら、人材獲得やポータルサイトの拡充・改良で遅れが発生したり、新たな成長投資案件が発生したような場合は、再度、先行投資としての費用が発生することも予想される。その場合でも前年同期減益とはならないと弊社では考えているが、増益率は再び大きく圧縮されたものとなる可能性がある。
2018年7月期の業績動向は、2017年7月期の進捗状況に依存していると言える。同社は業績予想値こそ通期のみであるが、決算説明資料は四半期ベースで開示されているため、同社の2017年7月期の業況を注意深く見守ることで2018年7月期の業績動向もある程度見えてくるものと考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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