パイプドHD Research Memo(6):不正アクセスがあったものの、迅速な対応により信頼感はより強まった
[16/11/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
c)「SPIRAL EC®」への不正アクセスの影響について
2016年6月にパイプドHD<3919>の主力製品の一つであるアパレル特化型プラットフォーム「SPIRAL EC®」において、外部からの不正アクセスがあり、個人情報が不正に閲覧された可能性と、個人情報流出の痕跡が判明した。これに対して同社では、早急に全顧客に対して以下のような対応を行った。
〇初報(6月22日)
発生事象や影響範囲、原因や発生経緯、それを踏まえた応急的な対応や再発防止に向けた方針等について報告。
〇第2報(6月30日)
応急的な対応と再発防止策に対する追加報告。再発防止策の一つである「不正アクセス対策室」新設について、その背景と狙いを補足説明。
〇第3報(7月15日)
第2報後に実施した応急的な対応について追加報告。再発防止策について社外セキュリティ専門家の技術顧問就任及び応急セキュリティ対策会議の設置を報告。
〇第4報(7月27日)
第3報で報告した社外セキュリティ専門家の技術顧問を含む緊急セキュリティ対策会議において、「現状のシステムについて一定の安全性が確認できた」ことを報告。(安全宣言)
また不正アクセスを受けた「SPIRAL EC®」だけでなく、別のシステム構成である主力サービス「SPIRAL®」についても現状のシステムの安全性を改めて総点検し、安全性が確認されたことを公表した。
このように不正アクセス発生以後、同社では既存顧客に対して即座に機敏な対応を取ったが、これには全社員が一丸となって対応に当たった。そのため、約1ヶ月間は新規営業を停止せざるを得ない状況となり、これが記述のように期初予想が未達となる要因の1つともなった。また会計上では、損害賠償やサービスのセキュリティ強化に伴う一時費用として約15百万円の特別損失を計上した。
今回の不正アクセス事件は、「セキュリティ面で安全」をセールスポイントの1つとしてサービス(ソフトウェア)を提供している同社にとっては由々しき問題であり、場合によっては「事業の継続が疑われる」可能性もあった。しかしこのような危機的な状況において、同社では全社員が一丸となって迅速かつ誠実な対応をしたことで、サービス(ソフトウェア製品)の修復・改善が進んだだけでなく顧客からの信頼喪失も最小限にとどめたと言える。事実、不正アクセス発生後の解約件数はわずか数件にとどまっており、この事実は顧客は引続き同社を信頼していることを物語っている。
以上のように、今回の不正アクセス問題は一時的には同社にとっては危機的状況であったが、現在はサービス(製品)の安全性は完全に確保されているどころか、むしろ一段と強化されたと言ってもよいだろう。社内的には1ヶ月間の新規営業の機会損失があったものの、社員の団結力や業務に対する意識は以前にも増して高まっており、目に見えないプラス効果をもたらしている。さらにアカウントの解約数はわずかにとどまっており、顧客からの信頼は失われていないと言える。したがって現在では、今回の不正アクセス問題は完全に解決し、同社の事業への影響は皆無と言える。
d)財政状況及びキャッシュフローの状況
2017年2月期第2四半期末の財政状況は、資産合計は5,354百万円(前期末比1,597百万円増)となったが、主に1,500百万円の銀行借入れを行ったことに伴い現預金(流動資産)が1,477百万円増加したことによる。負債合計は3,452百万円(同1,528百万円増)となったが、主に長期借入金の増加に伴う固定負債の増加1,240百万円による。純資産は、68百万円増加して1,902百万円となったが、主に四半期純利益の計上による利益準備金の増加による。
また、営業活動によるキャッシュフローは234百万円の収入、投資活動によるキャッシュフローは142百万円の支出(主に無形固定資産の取得83百万円、投資有価証券の取得60百万円など)、財務活動によるキャッシュフローは1,386百万円の収入(主に借入れによる収入1,600百万円)となり、期間中の現金及び現金同等物は1,477百万円増加し、期末の残高は2,397百万年920百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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c)「SPIRAL EC®」への不正アクセスの影響について
2016年6月にパイプドHD<3919>の主力製品の一つであるアパレル特化型プラットフォーム「SPIRAL EC®」において、外部からの不正アクセスがあり、個人情報が不正に閲覧された可能性と、個人情報流出の痕跡が判明した。これに対して同社では、早急に全顧客に対して以下のような対応を行った。
〇初報(6月22日)
発生事象や影響範囲、原因や発生経緯、それを踏まえた応急的な対応や再発防止に向けた方針等について報告。
〇第2報(6月30日)
応急的な対応と再発防止策に対する追加報告。再発防止策の一つである「不正アクセス対策室」新設について、その背景と狙いを補足説明。
〇第3報(7月15日)
第2報後に実施した応急的な対応について追加報告。再発防止策について社外セキュリティ専門家の技術顧問就任及び応急セキュリティ対策会議の設置を報告。
〇第4報(7月27日)
第3報で報告した社外セキュリティ専門家の技術顧問を含む緊急セキュリティ対策会議において、「現状のシステムについて一定の安全性が確認できた」ことを報告。(安全宣言)
また不正アクセスを受けた「SPIRAL EC®」だけでなく、別のシステム構成である主力サービス「SPIRAL®」についても現状のシステムの安全性を改めて総点検し、安全性が確認されたことを公表した。
このように不正アクセス発生以後、同社では既存顧客に対して即座に機敏な対応を取ったが、これには全社員が一丸となって対応に当たった。そのため、約1ヶ月間は新規営業を停止せざるを得ない状況となり、これが記述のように期初予想が未達となる要因の1つともなった。また会計上では、損害賠償やサービスのセキュリティ強化に伴う一時費用として約15百万円の特別損失を計上した。
今回の不正アクセス事件は、「セキュリティ面で安全」をセールスポイントの1つとしてサービス(ソフトウェア)を提供している同社にとっては由々しき問題であり、場合によっては「事業の継続が疑われる」可能性もあった。しかしこのような危機的な状況において、同社では全社員が一丸となって迅速かつ誠実な対応をしたことで、サービス(ソフトウェア製品)の修復・改善が進んだだけでなく顧客からの信頼喪失も最小限にとどめたと言える。事実、不正アクセス発生後の解約件数はわずか数件にとどまっており、この事実は顧客は引続き同社を信頼していることを物語っている。
以上のように、今回の不正アクセス問題は一時的には同社にとっては危機的状況であったが、現在はサービス(製品)の安全性は完全に確保されているどころか、むしろ一段と強化されたと言ってもよいだろう。社内的には1ヶ月間の新規営業の機会損失があったものの、社員の団結力や業務に対する意識は以前にも増して高まっており、目に見えないプラス効果をもたらしている。さらにアカウントの解約数はわずかにとどまっており、顧客からの信頼は失われていないと言える。したがって現在では、今回の不正アクセス問題は完全に解決し、同社の事業への影響は皆無と言える。
d)財政状況及びキャッシュフローの状況
2017年2月期第2四半期末の財政状況は、資産合計は5,354百万円(前期末比1,597百万円増)となったが、主に1,500百万円の銀行借入れを行ったことに伴い現預金(流動資産)が1,477百万円増加したことによる。負債合計は3,452百万円(同1,528百万円増)となったが、主に長期借入金の増加に伴う固定負債の増加1,240百万円による。純資産は、68百万円増加して1,902百万円となったが、主に四半期純利益の計上による利益準備金の増加による。
また、営業活動によるキャッシュフローは234百万円の収入、投資活動によるキャッシュフローは142百万円の支出(主に無形固定資産の取得83百万円、投資有価証券の取得60百万円など)、財務活動によるキャッシュフローは1,386百万円の収入(主に借入れによる収入1,600百万円)となり、期間中の現金及び現金同等物は1,477百万円増加し、期末の残高は2,397百万年920百万円となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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