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ボルテージ Research Memo(2):環境変化に即し、ビジネスモデルを改革。再び成長軌道に

注目トピックス 日本株
■ビジネスモデル改革プラン『3年戦略』を発表

(1)業績の振り返りと『3年戦略』策定の背景

前述の通り、ボルテージ<3639>は創業以来着実な成長を遂げてきたが、その間には多くのモバイルコンテンツメーカーをふるいにかけた環境変化も起こっている。具体的にはソーシャルゲームの台頭や、主要なデバイスがガラケーからスマートフォンへ移行したことなどがそれにあたる。とりわけスマートフォンの出現と急速な普及拡大は、配信PF におけるソーシャル専業PFからOS 系PF (App Store やGoogle Play) への移行に加え、アプリタイプのWeb アプリからネイティブアプリへの移行を加速させた。

同社は2016年6月期までの3年間において、「OS系ファースト」のスローガンのもと、スマートフォン対応を進めてきた。同社のようなモバイルコンテンツ・サプライヤーにとって配信プラットフォームやアプリ技術の変化の影響は非常に大きく、変化の波を乗り越えられず淘汰されるサプライヤーも少なくない。そうしたなかでも同社は、成長率鈍化は見られたものの、環境変化をなんとか乗り切り持続的な売上高の向上を達成してきた。

一方利益については、2012年6月期のピーク利益を更新できない状況が続いている。また、期初予想の達成度という点では、2014年6月期においては計画を上回って着地したものの、それに続く2015年6月期と2016年6月期の2期間は期初予想に対して未達となった。ここ数年は利益成長が停滞している同社だが、その原因は、日本語版恋愛ドラマアプリにおいてヒットが出にくくなってきているなかで、次代の成長源として期待したサスペンスや英語版恋愛ドラマアプリの立ち上がりが遅れていることにある。

2016年7月に社長に復帰した津谷氏は、新規事業の収益化の遅れの原因は、株式公開のタイミングに遡るという結論に行き着いた。同社は2010年6月に東証マザーズ市場に上場し、その1年後に東証1部に指定替えとなった。このタイミングは、恋愛ドラマアプリという新市場が急拡大の時期でもあり、市場のリーダーである同社にとっては、恋愛ドラマアプリは“出せば売れる”という状況だった。その時の成功体験と制作・販売の手法をそのまま新規事業の英語版恋愛ドラマアプリやサスペンスアプリにおいても適用させたことが、新規事業が立ち上がってこない最大の原因というのが津谷社長の分析だ。そして、そうした事業の開発・立ち上げのノウハウ欠如の原因をさらに突き詰めたところ、新しい事業立ち上げ経験のある人材の不足という現実に行き当たった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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