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アクセル Research Memo(5):自主規制導入の影響が一巡する2018年3月期以降は回復に転じる予想

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

(2)中期経営目標について

アクセル<6730>は中期経営目標として、2019年3月期に売上高18,000百万円、ROE15%を設定している(2014年4月発表)。営業利益の水準で3,000百万円、当期純利益で2,100百万円、大規模な資本政策が実施されなければ、EPSで190円の水準が見込まれる。

前提となる遊技機器の市場規模は2019年3月期で290万台、リユース率は約37%とし、グラフィックスLSIの販売数量は120万個、市場シェアで65%程度を見込んでいる。市場規模については2017年3月期に250万台と一旦落ち込むものの、自主規制導入の影響が一巡する2018年3月期以降は回復に転じると見ている。

2019年3月期における売上高の内訳を見ると、遊技機器向けグラフィックスLSIで2016年3月期比43%増の10,000百万円、同市場向けのその他製品で同4.6倍増の8,000百万円を見込んでいる。その他LSIの中で組み込み機器向けLSIについては数%を占める程度で、大半は遊技機器向けのメモリモジュールや演出周辺LSIで占めることになる。

このため、目標達成に向けては遊技機器向けグラフィックスLSIのシェアアップと、その他LSIの拡販などシステムビジネスへの展開による機器1台当たり売上高の拡大を進めることが必要となる。現段階でこれら施策については着実に成果が出始めており、市場規模が290万台水準まで回復すれば、目標達成の可能性はあると弊社では見ている。

a)グラフィックスLSIのシェアアップ戦略
グラフィックスLSIのシェアは、2019年3月期に66%と一段の上昇を見込んでいるが、これは次世代品「AG6」の本格量産開始に伴って、シェアをさらに拡大していく戦略となっているためだ。「AG6」については画像圧縮伸長率や最大メモリ容量の拡張など基本性能が向上するほか、最先端プロセスを使うことによってコスト競争力も競合品と比較して一段と増す製品となっている。2018年3月期中に試作品が完成し、2019年3月期より本格量産に入る予定となっている。なお、「AG6」より海外ファウンドリーメーカーに製造委託する予定となっている。

また、顧客が新機種の開発工程で利用する専用の開発支援ツールを提供することによって、顧客の囲い込みも進めていく。2015年より業界初となる遊技機器専用の開発支援ツール「DUKE」の一部機能について既にリリースしているが、今後も順次、その範囲を広げていく予定で、2018年までにすべての開発工程のシームレス化を実現する予定となっている。遊技機器の開発では、新機種の企画立案から映像コンテンツの開発、大当たりまでのシーケンス制御など開発工程ごとに別々の開発ツールを使っており、最後にデバッグ※を行っていた。これに対して「DUKE」は全ての開発工程でシームレスに対応できるため、開発期間の短縮化が期待できることになる。

※コンピュータプログラムの欠陥を探し出し、取り除く作業

b)システムビジネスへの展開
同社の推計によれば、遊技機器市場において同社が製品化しているグラフィックスLSI、メモリモジュール、LEDドライバなどの需要は全体で年間500億円程度あると見ている。同社の売上高は2017年3月期見込みで10,000百万であり、これら領域でのシェア拡大による成長ポテンシャルは大きいと言える。メモリモジュールやLEDドライバなどはグラフィックスLSIよりも付加価値が低いため売上総利益率は低下することになるが、絶対額としては拡大していくことになる。

具体的な戦略としては、グラフィックスLSI単品の販売から、周辺部品も含めた基板モジュールでの販売形態に切り替えていく。基板モジュールの販売比率としては、2017年3月期の5%から2019年3月期は25%まで引き上げていく計画となっており、販売単価も約1.5倍となるため、売上増に寄与することになる。

また、前述したように汎用のメモリモジュールビジネスを拡大していくほか、演出周辺LSIなどの開発も進めていく。メモリモジュールに関しては、従来、機器メーカーが自社で半導体を調達し、モジュール化するケースが大半であったが、同社で低コスト化した汎用のメモリモジュールを開発したことで、今後のシェア拡大が見込まれる。また、演出用LSIでは、複数の液晶サブ画面を一括して制御するLSIを開発し、2017年3月期下期より販売を開始する予定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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