高木証券 Research Memo(1):「ファンド・ラボ」シリーズ、「投信の窓口」で更なる投信コンサルの強化を図る
[16/11/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
高木証券<8625>は、大阪市北区に本店を置く中堅証券会社であり、近畿及び関東を中心に12店舗を構える。1873(明治6)年創業の老舗であり、個人取引を主体とした対面営業に定評がある。同社は証券業界を取り巻く環境変化に対応し、更なる発展を遂げるため、新たな「高木ブランド」の確立に取り組んでいる。対面営業の強みが生かせる投資信託を第1の戦略商品として位置付けるとともに、相続税対策などを含めたコンサルティング営業を強化することで、顧客との長期的な取引を前提とした「家計資産のベストパートナー」を目指している。
同社戦略の柱は、投資信託のコンサルティング営業の強化である。投資信託の品ぞろえを充実させるとともに、同社が独自に開発した「ファンド・ラボ」シリーズ(ファンド分析ツール)により、客観的な分析に基づいた顧客目線のコンサルティング営業で差別化を図っている。2015年11月には、業界初となる投資信託専門店「投信の窓口」を東京の日本橋と三軒茶屋に同時オープンすると、2016年6月には大阪(梅田)にも3店舗目を開設した。また、2016年4月からは「投信の窓口」Web支店(対面オンラインサービス)も開始している。TVCMを含めた積極的な広告宣伝活動により認知度を高め、取引拡大に結び付ける戦略であり、いよいよ本格稼働に向けて体制が整ってきた。
ただ、2017年3月期第2四半期累計期間の業績は、営業収益が前年同期比24.1%減の2,248百万円、営業損失が1,542百万円(前年同期は620百万円の損失)と減収及び営業減益(損失幅の拡大)となった。相場環境の低迷等を背景として受入手数料が大きく減少したことに加えて、「投信の窓口」に係る先行費用(TVCMを含む広告宣伝費や「投信の窓口」(大阪)開設費、システム開発費等)が利益を圧迫した。もっとも、最終的な純損益については投資有価証券の売却益により大幅な増益を確保しており、財務基盤の健全性は維持されている。「投信の窓口」については、まだ本格的な収益貢献には至っていないものの、尻上がりに来店客数や「預かり資産残高」等が増加しており、おおむね計画どおりに立ち上がってきたと言える。
2017年3月期の業績予想については、経済情勢や市場環境の変動による影響を大きく受けやすい事業の特殊性から、他の証券会社同様に開示はない。下期についても、相場環境等の動向に左右される可能性を否定できないが、「投信の窓口」を中心とした投資信託のコンサルティング営業の強化を図ることで、中長期的には安定収益源である信託報酬の比率を高めていく方針である。
足元では外部要因(相場環境の低迷等)により、他の証券会社と同様に業績は苦戦しているが、だからこそ、独自路線の展開により安定収益源を確保する同社の方向性には合理性があると評価できる。また、国策とも言える「貯蓄から投資へ」(長期的な資産形成の促進)の流れも同社にとっては大きな追い風となろう。弊社では、「投信の窓口」による収益貢献化に向けた道筋はもちろん、中長期的な視点から事業拡大を見据えた打ち手をどのように仕掛けていくのかに注目している。特に、これまで培ってきた知的資本(豊富な投信ラインナップや独自の分析ツール、コンサルティング営業ノウハウ等)で差別化を図ることができる同社には、他業態との提携を含めて、様々な事業機会の可能性が考えられる。貴重な財産をどのような形で価値創造に結び付けていくのか、取捨選択や優先順位の判断、事業展開のスピードなど、今後の経営手腕にかかっていると言える。
■Check Point
・国策「貯蓄から投資へ」の流れで証券会社の重要性が増す
・17/3期2Qは相場環境や「投信の窓口」立ち上げの先行投資などで減収、営業減益で着地
・TVCMなどの宣伝効果により「投信の窓口」への問い合わせ数や来客件数は尻上がりに増加
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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同社戦略の柱は、投資信託のコンサルティング営業の強化である。投資信託の品ぞろえを充実させるとともに、同社が独自に開発した「ファンド・ラボ」シリーズ(ファンド分析ツール)により、客観的な分析に基づいた顧客目線のコンサルティング営業で差別化を図っている。2015年11月には、業界初となる投資信託専門店「投信の窓口」を東京の日本橋と三軒茶屋に同時オープンすると、2016年6月には大阪(梅田)にも3店舗目を開設した。また、2016年4月からは「投信の窓口」Web支店(対面オンラインサービス)も開始している。TVCMを含めた積極的な広告宣伝活動により認知度を高め、取引拡大に結び付ける戦略であり、いよいよ本格稼働に向けて体制が整ってきた。
ただ、2017年3月期第2四半期累計期間の業績は、営業収益が前年同期比24.1%減の2,248百万円、営業損失が1,542百万円(前年同期は620百万円の損失)と減収及び営業減益(損失幅の拡大)となった。相場環境の低迷等を背景として受入手数料が大きく減少したことに加えて、「投信の窓口」に係る先行費用(TVCMを含む広告宣伝費や「投信の窓口」(大阪)開設費、システム開発費等)が利益を圧迫した。もっとも、最終的な純損益については投資有価証券の売却益により大幅な増益を確保しており、財務基盤の健全性は維持されている。「投信の窓口」については、まだ本格的な収益貢献には至っていないものの、尻上がりに来店客数や「預かり資産残高」等が増加しており、おおむね計画どおりに立ち上がってきたと言える。
2017年3月期の業績予想については、経済情勢や市場環境の変動による影響を大きく受けやすい事業の特殊性から、他の証券会社同様に開示はない。下期についても、相場環境等の動向に左右される可能性を否定できないが、「投信の窓口」を中心とした投資信託のコンサルティング営業の強化を図ることで、中長期的には安定収益源である信託報酬の比率を高めていく方針である。
足元では外部要因(相場環境の低迷等)により、他の証券会社と同様に業績は苦戦しているが、だからこそ、独自路線の展開により安定収益源を確保する同社の方向性には合理性があると評価できる。また、国策とも言える「貯蓄から投資へ」(長期的な資産形成の促進)の流れも同社にとっては大きな追い風となろう。弊社では、「投信の窓口」による収益貢献化に向けた道筋はもちろん、中長期的な視点から事業拡大を見据えた打ち手をどのように仕掛けていくのかに注目している。特に、これまで培ってきた知的資本(豊富な投信ラインナップや独自の分析ツール、コンサルティング営業ノウハウ等)で差別化を図ることができる同社には、他業態との提携を含めて、様々な事業機会の可能性が考えられる。貴重な財産をどのような形で価値創造に結び付けていくのか、取捨選択や優先順位の判断、事業展開のスピードなど、今後の経営手腕にかかっていると言える。
■Check Point
・国策「貯蓄から投資へ」の流れで証券会社の重要性が増す
・17/3期2Qは相場環境や「投信の窓口」立ち上げの先行投資などで減収、営業減益で着地
・TVCMなどの宣伝効果により「投信の窓口」への問い合わせ数や来客件数は尻上がりに増加
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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