DVx Research Memo(2):不整脈事業、虚血事業、その他事業と3事業を展開
[16/12/16]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■事業概要
1986年創業の医療機器専門商社で、2007年に株式を上場して以来、連続増収増益、実質増配を続けている。ディーブイエックス<3079>の事業は「不整脈事業」「虚血事業」「その他事業」と3つの事業に区分されている。
2017年3月期第2四半期累計の売上高構成比で見ると、「不整脈事業」が83.6%、「虚血事業」が13.8%と2事業で全体の97%以上を占めており、ここ数年この傾向は変わっていない。また、セグメント利益の構成比は「虚血事業」が28.6%と、売上高構成比と比較してやや高くなっている。これは「虚血事業」が主に海外医療機器の独占販売権を持つ輸入総代理店として、国内の商社向けに医療機器を販売しており、価格支配力が強いことが要因となっている。ただ、国内で販売していくうえでのマーケティングコストや薬事申請費用を同社が負担するほか、為替変動リスクも直接負うことになる。
一方、「不整脈事業」はメーカーまたは商社から関連商品を仕入れて医療施設に販売するビジネスモデルで、同じ製品を扱う競合企業も多い。このため、価格競争が生じやすい事業環境となっているが、同社では商品の技術情報などに精通した営業マンの育成に注力しており、営業技術サポート力の高さで他社との差別化を図っている。例えば、ペースメーカなどの埋め込みデバイスに関わる情報提供担当者の質的向上を目的として、CDR(Cardiac Device Representatives)認証制度が業界内で設けられている。植込み型医療機器版のMR(医療情報担当者)制度であり、業界指定の講習会と検定試験に合格すればCDRの資格を取得できる。同社の営業人員は約100名いるが、そのうち約70%は既にCDRを取得しており、業界で最大規模となっている。
(1)「不整脈事業」
「不整脈事業」における主な取扱製品としては、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)、検査用電極カテーテル、アブレーション(心筋焼灼術)カテーテルなどが挙げられる。
同社の取り扱う製品は専門的な技術知識を必要とされるだけでなく、サポート力も要求されるため、実際に製品を扱う医師と営業マンの信頼関係が取引上で最も重要視される。不整脈関連製品を専門に扱う商社は少なく、経験豊富なベテラン営業マンを多く抱え、症例件数の多い医療施設で高い納入実績を持つことが同社の強みとなっている。また、厚生行政が地域基幹病院に高度医療を集中させ、医療の効率化を図ろうとしていることも、同社にとっては追い風となっている。
2015年度の市場シェアは、関東エリアで40%、全国平均で21%とトップシェアとなっており、年々エリアの拡大と新規顧客を開拓しながら、市場シェアを拡大している(2008年度の国内シェアは13%)。新規顧客(医療施設)を開拓するきっかけとして一番多いケースは、顧客である医師が転勤するタイミングとなる。転勤先においても取引の継続を希望する医師が多く、転勤先の医療施設が新規顧客となっていく。このため、転勤先が地方の医療施設で同社の営業拠点がない場合は、採算を考慮した上で出張所や営業所を開設し、顧客対応していくことになる。直近では2015年9月に沖縄、2016年4月に土浦(茨城県)に出張所を開設しており、全国の営業拠点は「虚血事業」も含めて23拠点(本社、営業所16、出張所6)体制となっている。
(2)「虚血事業」
「虚血事業」における主な取扱製品としては、自動造影剤注入装置(製品名ACIST(アシスト))、エキシマレーザ血管形成システム、PTAバルーンカテーテルなどがあり、同社が独占販売権を持ち輸入総代理店となって、販売代理店を通じて全国の医療施設に販売している。営業拠点は全国主要都市に6拠点を配置している。
2000年に輸入販売を開始した自動造影剤注入装置は、装置本体の市場シェアが50%と高く、導入している医療施設数は2016年3月末時点で400施設を超え、台数では約600台が稼働している。国内での普及はほぼ一巡しており、現在は消耗品販売が売上高の中心となっている。なお、仕入先である米ACIST Medical Systems, Inc.の日本法人設立に伴い、2016年12月末を持って独占販売契約を終了し、その後は顧客の引き継ぎ業務を行っていく。
エキシマレーザ血管形成システムは、2012年7月にコロナリー(冠動脈治療用)カテーテルの保険適用が開始されたことで本格的に普及が始まった製品となる。2016年9月末時点の導入医療施設数は80施設を超え、稼働台数は108台となっている。現在、新たな適応疾患として下肢末梢動脈治療用での薬事承認申請に向けた協議を進めている。そのほか、PTAバルーンカテーテルについては朝日インテック<7747>の100%子会社であるフィルメック(株)に製造委託している。
(3)「その他事業」
「その他事業」セグメントには、脳神経外科関連商品や一般外科関連商品、消化器関連商品、放射線防護用品、書籍等、主力事業である「不整脈事業」や「虚血事業」に属さない商品が含まれている。また、医療現場での困りごとを解決する商品の開発販売もしている。脳神経外科関連商品に関しては2010年に事業譲受した静岡の営業拠点を中心に展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>
1986年創業の医療機器専門商社で、2007年に株式を上場して以来、連続増収増益、実質増配を続けている。ディーブイエックス<3079>の事業は「不整脈事業」「虚血事業」「その他事業」と3つの事業に区分されている。
2017年3月期第2四半期累計の売上高構成比で見ると、「不整脈事業」が83.6%、「虚血事業」が13.8%と2事業で全体の97%以上を占めており、ここ数年この傾向は変わっていない。また、セグメント利益の構成比は「虚血事業」が28.6%と、売上高構成比と比較してやや高くなっている。これは「虚血事業」が主に海外医療機器の独占販売権を持つ輸入総代理店として、国内の商社向けに医療機器を販売しており、価格支配力が強いことが要因となっている。ただ、国内で販売していくうえでのマーケティングコストや薬事申請費用を同社が負担するほか、為替変動リスクも直接負うことになる。
一方、「不整脈事業」はメーカーまたは商社から関連商品を仕入れて医療施設に販売するビジネスモデルで、同じ製品を扱う競合企業も多い。このため、価格競争が生じやすい事業環境となっているが、同社では商品の技術情報などに精通した営業マンの育成に注力しており、営業技術サポート力の高さで他社との差別化を図っている。例えば、ペースメーカなどの埋め込みデバイスに関わる情報提供担当者の質的向上を目的として、CDR(Cardiac Device Representatives)認証制度が業界内で設けられている。植込み型医療機器版のMR(医療情報担当者)制度であり、業界指定の講習会と検定試験に合格すればCDRの資格を取得できる。同社の営業人員は約100名いるが、そのうち約70%は既にCDRを取得しており、業界で最大規模となっている。
(1)「不整脈事業」
「不整脈事業」における主な取扱製品としては、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)、検査用電極カテーテル、アブレーション(心筋焼灼術)カテーテルなどが挙げられる。
同社の取り扱う製品は専門的な技術知識を必要とされるだけでなく、サポート力も要求されるため、実際に製品を扱う医師と営業マンの信頼関係が取引上で最も重要視される。不整脈関連製品を専門に扱う商社は少なく、経験豊富なベテラン営業マンを多く抱え、症例件数の多い医療施設で高い納入実績を持つことが同社の強みとなっている。また、厚生行政が地域基幹病院に高度医療を集中させ、医療の効率化を図ろうとしていることも、同社にとっては追い風となっている。
2015年度の市場シェアは、関東エリアで40%、全国平均で21%とトップシェアとなっており、年々エリアの拡大と新規顧客を開拓しながら、市場シェアを拡大している(2008年度の国内シェアは13%)。新規顧客(医療施設)を開拓するきっかけとして一番多いケースは、顧客である医師が転勤するタイミングとなる。転勤先においても取引の継続を希望する医師が多く、転勤先の医療施設が新規顧客となっていく。このため、転勤先が地方の医療施設で同社の営業拠点がない場合は、採算を考慮した上で出張所や営業所を開設し、顧客対応していくことになる。直近では2015年9月に沖縄、2016年4月に土浦(茨城県)に出張所を開設しており、全国の営業拠点は「虚血事業」も含めて23拠点(本社、営業所16、出張所6)体制となっている。
(2)「虚血事業」
「虚血事業」における主な取扱製品としては、自動造影剤注入装置(製品名ACIST(アシスト))、エキシマレーザ血管形成システム、PTAバルーンカテーテルなどがあり、同社が独占販売権を持ち輸入総代理店となって、販売代理店を通じて全国の医療施設に販売している。営業拠点は全国主要都市に6拠点を配置している。
2000年に輸入販売を開始した自動造影剤注入装置は、装置本体の市場シェアが50%と高く、導入している医療施設数は2016年3月末時点で400施設を超え、台数では約600台が稼働している。国内での普及はほぼ一巡しており、現在は消耗品販売が売上高の中心となっている。なお、仕入先である米ACIST Medical Systems, Inc.の日本法人設立に伴い、2016年12月末を持って独占販売契約を終了し、その後は顧客の引き継ぎ業務を行っていく。
エキシマレーザ血管形成システムは、2012年7月にコロナリー(冠動脈治療用)カテーテルの保険適用が開始されたことで本格的に普及が始まった製品となる。2016年9月末時点の導入医療施設数は80施設を超え、稼働台数は108台となっている。現在、新たな適応疾患として下肢末梢動脈治療用での薬事承認申請に向けた協議を進めている。そのほか、PTAバルーンカテーテルについては朝日インテック<7747>の100%子会社であるフィルメック(株)に製造委託している。
(3)「その他事業」
「その他事業」セグメントには、脳神経外科関連商品や一般外科関連商品、消化器関連商品、放射線防護用品、書籍等、主力事業である「不整脈事業」や「虚血事業」に属さない商品が含まれている。また、医療現場での困りごとを解決する商品の開発販売もしている。脳神経外科関連商品に関しては2010年に事業譲受した静岡の営業拠点を中心に展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>