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ウィルグループ Research Memo(2):人材サービスを主たる事業として国内とASEAN市場で事業を展開

注目トピックス 日本株
■会社概要

(1)会社沿革

ウィルグループ<6089>は1997年に大阪に株式会社セントメディア(現・連結子会社)を設立し、テレマーケティング事業を開始したのが始まりとなる。2000年には短期型の業務請負事業を展開していた(株)ビッグエイドを吸収合併し、ファクトリーアウトソーシング事業を開始。2002年に東京に本社を移して以降は、コールセンターアウトソーシング事業やセールスアウトソーシング事業へと事業領域を矢継ぎ早に拡大していった。2006年に現在の持株会社体制に移行し、2011年にはシンガポールの人材サービス会社を子会社化するなど、海外市場にも進出を果たした。株式の上場は2013年で、東京証券取引所第2部市場に上場し、1年後には東証第1部に市場変更を果たしている。

業績は2008年秋のリーマンショックの影響で一時的に落ち込んだものの、2011年3月期以降は右肩上がりの成長を続けており、特に、ここ1〜2年は国内外で積極的なM&Aを進めながら成長スピードを加速しており、人材サービス業界において高成長を続ける1社として注目されている。

(2)事業内容

同社グループは、人材派遣、業務請負、人材紹介等の人材サービスを主たる事業として国内及びASEAN市場で事業展開している。事業セグメントとしては派遣の業務内容別に、セールスアウトソーシング事業、コールセンターアウトソーシング事業、ファクトリーアウトソーシング事業、及びその他の事業で区分している。2017年3月期第2四半期累計の事業セグメント別構成比で見ると、セールスアウトソーシング事業が最も大きく、売上高の33.8%、セグメント利益の45.3%を占めている。コールセンターアウトソーシング事業、ファクトリーアウトソーシング事業がそれぞれ売上高、セグメント利益ともに20%台となっており、主要3事業合計で売上高の約79%、セグメント利益の約93%を占めている。

a)セールスアウトソーシング事業
セールスアウトソーシング事業は、セントメディアが提供する店頭販売員等の人材サービス事業が中心となる。主に携帯ショップや家電量販店向けに携帯電話等の販売スタッフの派遣及び業務請負を行っている。また、ここ最近ではアパレルショップへの販売スタッフ派遣や行政サービス(就労支援)の受託事業などにも展開している。2015年9月に子会社化した(株)クリエイティブバンクの事業も同セグメントに含まれる。クリエイティブバンクはIT業界を専門にしてきた広告代理店で、セールスプロモーションの企画・運営を主に手掛けており、主要顧客は外資系の大手IT企業となる。

b)コールセンターアウトソーシング事業
コールセンターアウトソーシング事業は、セントメディアが提供するコールセンターへの人材サービス事業となる。コールセンター運営企業やテレマーケティング企業向けに、主に通信会社向けのオペレーター派遣を行っている。また、自社コールセンターも保有しており、テレマーケティング業務の請負も行っている。

c)ファクトリーアウトソーシング事業
ファクトリーアウトソーシング事業は、(株)エフエージェイが提供する製造業向けの人材サービス事業となる。惣菜やサンドイッチ、弁当など「中食」やコンビニスイーツ等を製造する食品製造業向けが売上高の5割弱を占めており、主に関東エリアを中心に事業展開している。

d)その他の事業
その他の事業としては、セントメディアで展開するオフィス等への人材紹介・派遣や介護分野の人材紹介・派遣、インターネット、IoT業界に特化した幹部人材紹介など主要3事業以外の人材サービスと、(株)ボーダーリンクで行うALT(外国語指導助手)の人材派遣、(株)マーススポーツエージェントで行うスポーツセミナーの開催・イベント企画・人材紹介、2015年11月に子会社化した(株)ハイブリィドの情報システムコンサルティング事業、及び海外子会社での人材サービス事業が含まれる。

(3)同社の特徴

同社の人材サービス事業の特徴としては、「ハイブリッド派遣」を展開していることが挙げられる。「ハイブリッド派遣」とは、フィールドサポーター(常駐社員)と派遣スタッフをチームとして派遣する形態の派遣サービスで、同社の中での呼称となる。

一般派遣との違いは、経験豊富なフィールドサポーターが現場に常駐することで、派遣スタッフの指導、育成が常時可能となるほか、チームが一体となって業務改善に取り組むことで、業務パフォーマンスの早期向上が期待できるという点にある。また、派遣スタッフのメンタルフォローなども行うことで、派遣スタッフの定着率が上昇するといった効果も期待できる。こうした「ハイブリッド派遣」は、複数の派遣会社が入る大規模案件などにおいて、特にその効果が如実に現れる。同社では当初は一般派遣で受注を獲得し、その後にハイブリッド派遣を行うことで業務パフォーマンスを上げ、インストアシェアを拡大し、さらに顧客からの信頼を得ていくなかで最終的には業務請負契約に移行することを目標としている。業務請負の場合は、パフォーマンスに対するインセンティブが付くため、一般派遣やハイブリッド派遣のマージンが一定であるのに対して、自社の努力によって利益率を上げることが可能となっているためだ。

業態別の売上高を見ると、一般派遣、ハイブリッド派遣、業務請負とそれぞれ右肩上がりに拡大しており、ハイブリッド派遣が一般派遣から業務請負までの橋渡し役としてうまく機能していることがうかがえる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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