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タカショー Research Memo(5):17/1期3Qは減収減益、天候不順やホームユース向けの落ち込みが影響

注目トピックス 日本株
■決算動向

(2) 2017年1月期第3四半期累計期間の業績

タカショー<7590>の2017年1月期第3四半期累計期間の連結業績は、売上高が前年同期比5.5%減の13,382百万円、営業利益が同28.2%減の569百万円、経常利益が同91.5%減の63百万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が26百万円(前年同期は430百万円の利益)と減収減益となり、純損失に陥った。

為替相場(邦貨換算レート)の変動(円高)による影響※を含めた海外子会社の縮小と、低調に推移しているホームユース向けが業績の足を引っ張った。特に、第3四半期会計期間だけを取り上げると、海外子会社には持ち直しの兆しがみられるものの、天候不順や取引先の在庫調整などの影響によるホームユース向けの落ち込みが大きいようだ。一方、注力するプロユース向け(エバーアートウッド関連商品や独自のローボルトライトなど)は堅調に推移しており、同社の成長戦略の軸は着実に進展している。

※海外子会社の業績を円貨に換算する際に用いられる換算レートが円高に振れたことが、売上高の減少を招いた。

損益面では、減収による利益の下押しにより営業減益となったことに加えて、外貨建て資産に対する為替差損504百万円(営業外費用)を計上したことが大幅な経常減益を招き、純損失に陥る要因となった。

財政状態については、中国生産拠点の増強や国内工場(和歌山県及び栃木県の2拠点)の増設に伴う固定資産の増加により総資産が17,039百万円(前期末比1.7%増)に拡大した一方、自己資本は配当金の支払いや為替換算調整勘定のマイナスにより6,751百万円(前期末比8.3%減)に縮小したことから自己資本比率は39.6%(前期末は43.9%)に低下した。有利子負債は5,067百万円(前期末比15.2%増)に増加しているものの、流動比率は116.8%(前期末は134.8%)と高い水準を維持しており、財務の安全性に懸念はない。

販売ルート別(単体)及び主力商品(連結)の業績は以下のとおりである。

プロユース向けの売上高(累計)は、前年同期比で約4%増(弊社推定)と着実に伸びている。2015年度の新設住宅着工数が増加したことを受け、エクステリア市場がおおむね好調に推移したことから同社独自の高付加価値商品が伸長した。とりわけ主力の「エバーアートウッド(アルミ製人工木)」関連商品が前年同期比で約10%増(弊社推定)と順調に伸びたほか、「エバーアートボード(天然素材を再現したアルミ複合板)」が同約40%増(弊社推定)、「ライティング」も好調なローボルトが同約20%増(弊社推定)と大きく拡大している。また、これまで縮小傾向にあった人工強化竹垣(エバーバンプー)などの和風関連商品についても販売強化策(10年保証制度を含め)が奏功して好調に推移している。

一方、ホームユース向けの売上高(累計)は、前年同期比で約10%減(弊社推定)と業績の足を引っ張った。特に、第3四半期会計期間での落ち込みが目立っている。デッキ関連商品などの新商品の投入により販売が増加したものの、天候不順や取引先における在庫調整などの影響で木製品関連商品などの販売が減少したことにより低調に推移した。

また、海外展開(海外子会社)については、売上拡大を目的としてグローバルスタンダードアイテム(海外販売商品の定番化)を進めるなかで、前期に設立したベジトラグUSA(米国)が順調に立ち上がってきたものの、為替相場(邦貨換算レート)の変動による影響に加えて、ヨーロッパの異常気象の影響や不採算販売先の整理を行ったことから、海外売上高(累計)は1,186百万円(前年同期比33.1%減)に減少した。ただ、第3四半期会計期間だけを取り上げると、全体的に持ち直しの兆しがみられる。特に、ベジトラグUSA(米国)とタカショーオーストラレイジア(豪州)は現地通貨ベースで順調に伸びているほか、ベジトラグUK(英国)も堅調に推移、立て直しを図っている(有)タカショーヨーロッパ(ドイツ)も落ち着きを取り戻してきているようだ。なお、ベジトラグUSA(米国)は、大手ホームセンター(ホームデポ、ロウズなど)との口座開設が進んでおり、売上高(累計)は50百万円超(前年同期の約4倍)とまだ小規模ながら、今後の事業拡大に向けて順調に立ち上がってきた。

以上から、第3四半期累計期間の業績をまとめると、為替相場の変動(円高)による影響を受けたこと、ホームユース向けが想定を下回って推移していることがネガティブ要因となった一方、プロユース向けはおおむね計画どおりに進展していること、海外子会社についても、ベジトラグUSAが順調に立ち上がってきたことや、足元で全体的に持ち直しの兆しがみられることがポジティブ要因として挙げられる。

なお、為替相場の変動が連結業績に与える影響については、1)海外子会社の業績を円ベースに引き直すことにより発生するもの(売上高、利益の増減要因)と、2)国内で保有する外貨建て資産(及び負債)の決済(評価)などにより発生するもの(為替差損益として営業外損益に計上)の大きく2つに分類される。2)については、為替予約などの手段により為替リスクをヘッジ(損益の振れを回避)することができるものの(ただし、ヘッジコストがかかる)、1)については通常コントロールができない性質のものである。また、1)については、海外子会社における本来の業績の動きをゆがめる可能性があることにも注意が必要である。すなわち、海外子会社の業績が伸びたとしても、円高の進行度合いにより、売上高、利益ともに円換算上では縮小した形となってしまう(逆も然り)。したがって、為替相場の変動が激しい局面においては、為替相場の影響を割り引いて判断することや、海外子会社の業績を現地通貨ベースでフォローする必要がある。

(3)主な取り組み

今期における主な活動実績と今後の取り組みは以下のとおりである。

a)中国における生産拠点(江西高秀)の増強
今後の事業拡大や生産量アップ(新製品の生産ライン確保)を目的として隣接する不動産(土地使用権)とともに、本社ビルや工場建屋を取得した(取得価格は合計約4.4億円)。グローバルスタンダードアイテム(海外販売商品の定番化)による事業拡大に向けた基盤づくりの一環として位置付けられる。特に、「ベジトラグ」ブランドによる米国展開が大手ホームセンター向けに順調に立ち上がったことから、まずは量産化への要請に対応できる体制構築に狙いがあると考えられる。また、大型インジェクション成形機及びアルミ熱転写機などの導入による生産アイテムの拡充なども計画している。

b)タカショーヨ100%子会社化による販社体制の強化(8月7日付)
長年の課題となっていたタカショーヨーロッパの100%子会社化(従前の議決権比率は70%)を実現するとともに、不採算販売先の整理などによる損益改善を図っている。

c)ベジトラグUSAにおいて新事務所をスタート(7月1日付)
ベジトラグUSAが順調に立ち上がってきたことから、米国での更なる販路拡大を目指して、オフィス、ショールーム、倉庫を兼ね備えた新事務所を開設した。

d)国内工場の増設
下期においては、和歌山工場(ガーデンクリエイト)及び栃木工場(ガーデンクリエイト関東)の増設を予定している(投資総額は約2億円)。海外からの引き合いも増えていた「エバーアートウッド」などプロユース向けの生産能力の増強や新商品の投入が目的とみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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