IXナレッジ Research Memo(1):PMO室の設置で不採算案件の減少や選別受注で収益性が改善
[16/12/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
アイエックス・ナレッジ<9753>は、独立系の中堅システムインテグレーター。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までのシステムのライフサイクルに対応した一貫したソリューションを提供する。日立製作所<6501>やNTTデータ<9613>などの大手システムインテグレーターや、みずほ情報総研(株)などのエンドユーザー系の情報システム会社を主要取引先としているが、KDDI<9433>などのエンドユーザーとも直接取引を行っている。
2017年3月期第2四半期累計期間(2016年4−9月)の業績は、売上高が前年同期比1.5%減の8,632百万円、営業利益は同7.7%増の222百万円、四半期純利益は同1.7%減の162百万円となり、減収ながら営業増益を確保し、売上高、利益ともに会社計画(売上高8,492百万円、営業利益129百万円、四半期純利益103百万円)を上回った。減収となったのは、メガバンク向けの開発案件がピークアウトしたことや、大容量ストレージ向け組込開発の案件が縮小したことが要因。にもかかわらず、営業増益を確保したのは、担当取締役直轄のPMO室を今年4月に設置した効果で不採算案件が減少したことや選別受注の推進による収益構造の変革効果により収益性が改善したためだ。ちなみに、売上総利益率は16.2%と前年同期に比べ0.6ポイント改善した。
2017年3月期業績については、上期の受注状況を踏まえて、期初通期計画(売上高18,016百万円、営業利益656百万円、当期純利益475百万円)を据え置いた。なお、下期に関しては、1)上期に減少したストレージ開発に代わる車載、映像センサーなど組込み市場の新規案件の開拓を図る、2)足元受注が好調となっている生損保や第三者検証サービスの成長事業へリソースをシフトする、3)PMO室によるチェック強化とプロジェクト支援を推進し大型不採算案件ゼロに向けた体制を徹底する、4)受注拡大に向けてキーマンとなるプロジェクトマネジャークラスの人材を育成することの4点を重要事項として取組みを継続する方針。
弊社では2017年3月期の会社計画達成可否について、売上高は2017年3月期第2四半期末の受注残高が前年同期末比で13.2%の減少となっているため、下期の受注動向次第と考える。対照的に、営業利益については前下期に不採算案件が発生し受注損失引当金を積み増ししたマイナス影響があったこと、上期はPMO室※が機能して不採算案件を実質的にゼロにコントロールできたことを考慮すると、計画達成の可能性は高いと見ている。
※Project Management Officeの略。
同社では中期財務目標として、2019年3月期に売上高20,000百万円、営業利益1,200百万円(営業利益率6.0%)を達成することを目指している。ただ、2016年3月期に大型の不採算案件が発生したために毎年行っていた見直しを16年3月期決算発表時には行わなかったため、2017年3月期決算発表時に下期の受注動向、PMOの状況等を踏まえて新たな財務目標数値を発表する予定。同社の成長に当たっては、不採算案件のコントロールと、成長事業へのリソースシフトによる着実な受注体制の確立が不可欠で、その実現が課題と考えられる。このため、引き続き不採算案件のコントロール状況と下期の成長事業の受注動向について注目する。
■Check Point
・2017年3月期第2四半期累計決算は減収ながら、不採算案件の減少、選別受注による収益性の向上により営業増益を確保
・担当取締役直轄のPMO室設置効果により不採算案件は件数、金額ともに大幅に減少、実質的にゼロを実現
・今下期の受注動向、PMOの状況を踏まえて2017年3月期決算発表時に新たな中期財務目標を発表予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
<TN>
2017年3月期第2四半期累計期間(2016年4−9月)の業績は、売上高が前年同期比1.5%減の8,632百万円、営業利益は同7.7%増の222百万円、四半期純利益は同1.7%減の162百万円となり、減収ながら営業増益を確保し、売上高、利益ともに会社計画(売上高8,492百万円、営業利益129百万円、四半期純利益103百万円)を上回った。減収となったのは、メガバンク向けの開発案件がピークアウトしたことや、大容量ストレージ向け組込開発の案件が縮小したことが要因。にもかかわらず、営業増益を確保したのは、担当取締役直轄のPMO室を今年4月に設置した効果で不採算案件が減少したことや選別受注の推進による収益構造の変革効果により収益性が改善したためだ。ちなみに、売上総利益率は16.2%と前年同期に比べ0.6ポイント改善した。
2017年3月期業績については、上期の受注状況を踏まえて、期初通期計画(売上高18,016百万円、営業利益656百万円、当期純利益475百万円)を据え置いた。なお、下期に関しては、1)上期に減少したストレージ開発に代わる車載、映像センサーなど組込み市場の新規案件の開拓を図る、2)足元受注が好調となっている生損保や第三者検証サービスの成長事業へリソースをシフトする、3)PMO室によるチェック強化とプロジェクト支援を推進し大型不採算案件ゼロに向けた体制を徹底する、4)受注拡大に向けてキーマンとなるプロジェクトマネジャークラスの人材を育成することの4点を重要事項として取組みを継続する方針。
弊社では2017年3月期の会社計画達成可否について、売上高は2017年3月期第2四半期末の受注残高が前年同期末比で13.2%の減少となっているため、下期の受注動向次第と考える。対照的に、営業利益については前下期に不採算案件が発生し受注損失引当金を積み増ししたマイナス影響があったこと、上期はPMO室※が機能して不採算案件を実質的にゼロにコントロールできたことを考慮すると、計画達成の可能性は高いと見ている。
※Project Management Officeの略。
同社では中期財務目標として、2019年3月期に売上高20,000百万円、営業利益1,200百万円(営業利益率6.0%)を達成することを目指している。ただ、2016年3月期に大型の不採算案件が発生したために毎年行っていた見直しを16年3月期決算発表時には行わなかったため、2017年3月期決算発表時に下期の受注動向、PMOの状況等を踏まえて新たな財務目標数値を発表する予定。同社の成長に当たっては、不採算案件のコントロールと、成長事業へのリソースシフトによる着実な受注体制の確立が不可欠で、その実現が課題と考えられる。このため、引き続き不採算案件のコントロール状況と下期の成長事業の受注動向について注目する。
■Check Point
・2017年3月期第2四半期累計決算は減収ながら、不採算案件の減少、選別受注による収益性の向上により営業増益を確保
・担当取締役直轄のPMO室設置効果により不採算案件は件数、金額ともに大幅に減少、実質的にゼロを実現
・今下期の受注動向、PMOの状況を踏まえて2017年3月期決算発表時に新たな中期財務目標を発表予定
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
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