IXナレッジ Research Memo(4):PMO機能を強化し、その効果が顕在化
[16/12/21]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■強みと事業リスク
(1)同社の強み
アイエックス・ナレッジ<9753>の強みは、コンサルティングからシステム開発、システム運用・保守に至るまでの総合的かつ一貫的なサービスを提供できる体制を整えていることを挙げることができる。加えて、創業以来長年にわたり構築してきた強固でバランスのとれた顧客基盤を有することも強みと考えられる。2017年3月期第2四半期累計期間における顧客別の売上構成を見ると、NTTデータグループを筆頭に2位のみずほフィナンシャルグループ、売上上位10位のソニー損害保険株式会社までのウエイトは70%強、20位までのウエイトが80%強となっており、上位の顧客から安定的に受注を確保していることがうかがえる。
さらに、これらのユーザーとの取引関係で蓄積してきた業務知識やノウハウを保有することも強みとなっている。銀行の外為システム開発に関しては、ユーザーから同社の実績が評価され、大手システムインテグレーターを経由せずにエンドユーザーと直接取引しているのは、その表れと言える。
(2)事業等のリスク
事業のリスクとして、1)人材の確保・育成、2)景気変動によるリスク、3)システム開発に関わるリスクの3点を挙げることができる。まず、人材の確保・育成については、主力業務であるシステム開発において、事業の根幹を成すエンジニア(技術要員)の確保が最重要課題である。同社では、毎年春の定期採用及び不定期のキャリア採用で技術者を確保し、社内における教育・研修により優れた技術者を育成している。さらに、同業のパートナー企業からの要員派遣を受け入れ活用しているが、先端的な技術スキルを有する技術者の不足傾向が続いており、こうした技術者を充分に確保、育成できない場合には、業績が伸び悩む可能性がある。
次に、情報サービス業界は景気変動による影響を受けやすいこともリスクとして挙げられる。足元は、マイナンバー制度の開始や、その後の情報連携に絡んだ需要により官公庁の需要が旺盛なことに加えて、景気回復に伴うユーザーのIT投資マインドの改善による需要増加を背景に民間企業の需要も堅調に推移している。しかし、景気の悪化により民間企業を中心にIT投資が抑制されれば、価格競争が激化し、それに伴って単価の下落が業績に悪影響を与える可能性がある。
主力事業として顧客企業等の各種情報システムの受託開発を行っているが、複雑化し短納期化するシステム開発において、計画どおりに品質を確保できない場合や、開発期間内に完了しないことによるコスト増大の可能性があることは、大きなリスクである。同社では、こうした事態を極力防止するために、案件の受注段階でのチェックやプロセスの進捗管理を、プロジェクトマネジメントを行う専門部署を設け対応してきた。しかし、過去数回にわたり業績にネガティブな影響を与えた不採算案件が発生しており、その機能は十分に発揮されていない。このため、PMOの機能強化による不採算案件の撲滅が大きな経営課題となっていた。この課題を解決するために、2016年4月に担当取締役直轄のPMO室を新設したほか、経営会議の権限拡充によるモニタリングを実施、従来以上にPMO機能を強化した。この効果が顕在化する格好となり、2017年3月期第2四半期累計期間では赤字プロジェクト件数・金額が大幅に減少した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
<TN>
(1)同社の強み
アイエックス・ナレッジ<9753>の強みは、コンサルティングからシステム開発、システム運用・保守に至るまでの総合的かつ一貫的なサービスを提供できる体制を整えていることを挙げることができる。加えて、創業以来長年にわたり構築してきた強固でバランスのとれた顧客基盤を有することも強みと考えられる。2017年3月期第2四半期累計期間における顧客別の売上構成を見ると、NTTデータグループを筆頭に2位のみずほフィナンシャルグループ、売上上位10位のソニー損害保険株式会社までのウエイトは70%強、20位までのウエイトが80%強となっており、上位の顧客から安定的に受注を確保していることがうかがえる。
さらに、これらのユーザーとの取引関係で蓄積してきた業務知識やノウハウを保有することも強みとなっている。銀行の外為システム開発に関しては、ユーザーから同社の実績が評価され、大手システムインテグレーターを経由せずにエンドユーザーと直接取引しているのは、その表れと言える。
(2)事業等のリスク
事業のリスクとして、1)人材の確保・育成、2)景気変動によるリスク、3)システム開発に関わるリスクの3点を挙げることができる。まず、人材の確保・育成については、主力業務であるシステム開発において、事業の根幹を成すエンジニア(技術要員)の確保が最重要課題である。同社では、毎年春の定期採用及び不定期のキャリア採用で技術者を確保し、社内における教育・研修により優れた技術者を育成している。さらに、同業のパートナー企業からの要員派遣を受け入れ活用しているが、先端的な技術スキルを有する技術者の不足傾向が続いており、こうした技術者を充分に確保、育成できない場合には、業績が伸び悩む可能性がある。
次に、情報サービス業界は景気変動による影響を受けやすいこともリスクとして挙げられる。足元は、マイナンバー制度の開始や、その後の情報連携に絡んだ需要により官公庁の需要が旺盛なことに加えて、景気回復に伴うユーザーのIT投資マインドの改善による需要増加を背景に民間企業の需要も堅調に推移している。しかし、景気の悪化により民間企業を中心にIT投資が抑制されれば、価格競争が激化し、それに伴って単価の下落が業績に悪影響を与える可能性がある。
主力事業として顧客企業等の各種情報システムの受託開発を行っているが、複雑化し短納期化するシステム開発において、計画どおりに品質を確保できない場合や、開発期間内に完了しないことによるコスト増大の可能性があることは、大きなリスクである。同社では、こうした事態を極力防止するために、案件の受注段階でのチェックやプロセスの進捗管理を、プロジェクトマネジメントを行う専門部署を設け対応してきた。しかし、過去数回にわたり業績にネガティブな影響を与えた不採算案件が発生しており、その機能は十分に発揮されていない。このため、PMOの機能強化による不採算案件の撲滅が大きな経営課題となっていた。この課題を解決するために、2016年4月に担当取締役直轄のPMO室を新設したほか、経営会議の権限拡充によるモニタリングを実施、従来以上にPMO機能を強化した。この効果が顕在化する格好となり、2017年3月期第2四半期累計期間では赤字プロジェクト件数・金額が大幅に減少した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正 )
<TN>