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TOKAI Research Memo(8):積極的な投資で成長戦略を実行する方針の次期中期経営計画を策定中(訂正)

注目トピックス 日本株
■TOKAIホールディングス<3167>の今後の見通し

(4)次期中期経営計画のポイント

次期中期経営計画については2021年3月期までの4ヶ年計画となる見通しで、詳細については2017年5月に発表する予定となっている。ポイントとしては、2017年3月期までの中期経営計画で財務体質の改善が順調に進んだことを受け、成長投資に軸足をシフトして収益拡大を進めていくことを打ち出していく方針だ。従来は営業キャッシュフロー約4割を設備投資に、約2割を株主還元他に、残り約4割を有利子負債の削減に充当してきたが、有利子負債が適正水準まで削減できたことから、2018年3月期以降はこの約4割の部分を設備投資やM&Aなどの投資費用に充当していく考えだ。年間の投資費用としては従来100億円規模だったものが、200億円規模へと倍増することになり、積極的な投資を行うことで収益成長を加速していく考えだ。また、次期中期経営計画での課題ポイントとして、「中核事業の顧客基盤拡大とM&Aの推進」「総合力としてのTLCの推進」を挙げている。

a)中核事業の顧客基盤拡大とM&Aの推進
同社ではガス・石油事業やCATV事業など中核事業の顧客基盤拡大を図るため、M&Aなども活用した営業エリアの拡大を進めていく計画となっている。

LPガス業界では中小事業者が多いが、今後は大手事業者の寡占化が進むものと予想される。通信や電力など生活インフラサービスの販売自由化が進み、セット販売による顧客獲得競争が激化するなかで、価格競争力のない中小事業者は淘汰されていくと考えられるためだ。このため同社では今後も営業エリアを拡張し、顧客件数の拡大を進めていく戦略だ。2018年3月期以降は新たに三重県のほか、CATV事業の営業エリアである長野県や岡山県への進出も視野に入れており、M&Aなどによりエリア展開をスムーズに進めていくことも選択肢として想定される。

また、都市ガス業界においては2017年4月以降、小売の完全自由化がスタートする。都市ガス事業者は現在、全国で203事業者(うち公営26事業者)があるが、大手ガス会社を除けば資本力の小さい事業者が多く、今後、業界の再編が進む可能性がある。同社ではガス事業だけでなく、情報・通信サービスやCATVサービスなど複数の生活インフラサービスを提供する強みを活かし、シナジーが見込める案件があればM&Aによってグループ化を図り、顧客基盤の拡充を進めていく戦略だ。

こうした営業エリアの拡大戦略により、ガス事業の顧客件数は2016年3月期の634千件から2021年3月期には800千件と約1.26倍増を目指していく計画となっている。

一方、CATV事業においても、今後は4Kや8Kといった超高精細放送の普及が見込まれるなかで光化投資が必要となってきており、投資余力のない中小規模事業者は大手事業者に吸収されていくことが予想されている。CATV業界では(株)ジュピターテレコム(ブランド名J:COM)が有料放送の視聴可能世帯シェアで47%(2015年12月時点)、サービス加入件数で524万件、グループCATV会社数は28社75局と圧倒的なポジションを確立しているが、同社グループも顧客件数で業界第6位となっており、営業エリアは静岡県、神奈川県、千葉県、長野県、岡山県の5県で6局展開している。光化対応では長野のLCVが唯一、対応していないものの、その他の局では50〜100%の間で光化が進んでおり、今後10年程度かけてすべての局で100%光化を進めていく計画となっている。今後、既存局の光化投資に加えて、M&Aにより新たなCATV事業者をグループ化していくことで、顧客基盤の拡大を図っていく計画となっている。

なお、M&Aについてはこれら中核事業だけでなく、全方位的にグループでのシナジーが見込める案件であれば前向きに検討していく方針となっている。同社では、生活総合サービス企業として、ライフイベントに関わる新規事業の立ち上げも視野に入れており、必要であればM&Aなども検討していく考えだ。

b)総合力としてのTLCの更なる推進
次期中期経営計画では、同社の課題となっている1顧客当たり複数サービスの契約率向上に注力していく方針となっている。現在、同社グループが提供するサービスの中で複数を契約している顧客の比率(クロスセル率)は7%台の水準にとどまっており、「Total Life Concierge」(暮らしの総合サービス)構想※を掲げている同社としては、十分にその強みを活かしきれていないのが現状だ。ただ、本社のある静岡県内でのクロスセル率は15.9%と他エリアと比較して高くなっている。サービス別の内訳を見ると、都市ガスユーザーのクロスセル率が36.7%と最も高く、次いでCATVが32.7%、LPガスが23.1%となっている。このため、これらサービスの営業エリアを静岡県以外でも展開していくことがクロスセル率の向上に有効と思われる。

※「Total Life Concierge」構想・・・暮らしに関わるあらゆるサービスをワンコントラクト、ワンストップ、ワンコールセンターで提供し、顧客やその先の地域・社会・地球環境とのつながりを深めながら、人々の豊かな生活や地域社会の発展、地球環境保全に貢献する企業を目指している。

また、クロスセルの営業活動についても従来は、グループ各社間で顧客情報の共有だけにとどまっており、受け身的な営業姿勢であったが、2017年4月以降はこれを能動的な営業姿勢に変えられるよう社内での施策を検討している段階にある。同社ではこうした取り組みにより、将来的にはクロスセル率を30〜40%まで高めていきたい考えで、TLC構想を推進していくことで、更なる収益成長を目指していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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