ダイナムジャパンHD Research Memo(5):17/3期2Qは増収・営業増益で着地、EBITDAは9.6%増
[16/12/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1) 2017年3月期第2四半期決算
ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の2017年3月期第2四半期は、営業収入79,808百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益8,208百万円(同11.2%増)、税引前利益6,635百万円(同9.4%減)、親会社株主に帰属する当期利益3,860百万円(同19.3%減)と、増収・営業増益で着地した。EBITDAは14,431百万円で前年同期比9.6%増加した。
営業収入における夢コーポレーションの新規連結影響は6,347百万円だった。営業収入の前年同期比増収額は3,965百万円であるため、新規連結がなければ2,382百万円(3.1%)の減収だったことになる。2017年3月期第2四半期は、一部機種の回収・撤去に対する代替機の手当てが業界全体で遅れていたなか、同社の出店数は3店舗にとどまった。そのため店舗数拡大による増収効果が小さく、業界全体の市場規模縮小の影響を同社も受ける形となった。結果的に、2017年3月期第2四半期は逆風の事業環境が続くなか、M&Aによる成長が成長戦略として非常に有効であることが際立った決算期となったと言える。
一方で、地域フォーカスの取り組みや実験的施策の実施など、既存店売上高の伸長に意欲的に取り組んだことは前述のとおりだ。地域フォーカスは全店で実施されているが、まだ効果はごく一部にとどまっているとみられる。それでも、第2四半期の後半において、遊技台稼働数において、回復の動き(前年同期比プラス転換、業界参考値との差が拡大)がみられつつある。
利益面では、ローコストオペレーションの徹底で営業費用(店舗費用と一般管理費等の合計)の増加を前年同期比4.6%増に抑えることが出来た結果、営業利益は前年同期比11.2%増の8,208百万円となった。
税引前利益以下が減益となったのは、金融費用において為替差損が1,439百万円計上されたことによる。ドル円のレートが期首の112.7円から期末には101.1円まで円高が進んだ結果、保有する外貨建て資産について為替差損が発生した。この影響を除けば、税引前利益以下の各項目も前年同期比対比では増益となり、全体として好調な決算であったことが確認できた。
(2) 2017年3月期通期見通しの考え方
同社は業績予想を公表していない。弊社では期初に下記のような想定を行った。
2017年3月期も業界環境の厳しさは続き、さらには遊技台撤去に対する代替機の不足から今期は新規出店が大きく減少すると予想される。このため、客数の低下がそのまま貸玉収入をヒットする可能性がある。業界全体の売上高(貸玉収入)は、2005年のピークから2014年までの9年間で年平均3.8%のペースで減少してきたが、同社自身は低貸玉営業にシフトが進んでいることや射幸性に頼らない店づくりをしていることが奏功して、減収率を業界より低めの3%にとどまると想定される。これにより2016年3月期の報告ベースの貸玉収入844,885百万円は、2017年3月期には819,538百万円に縮小する。これに対する粗利益率(“1−出玉率”)を前期並みの18.4%と仮定すると、営業収入は150,795百万円となる。ここに夢コーポレーションの7ヶ月分の営業収入7,500百万円を加えると、連結営業収入は158,295百万円(前期比1.5%増)と試算される。
2017年3月期第2四半期は上記シミュレーションとほぼ同じ線上での着地となったが、今下期については、上振れが期待できると弊社では考えている。
そのように期待する最大の理由は、同社の遊技台稼働数が、9月以降明確にプラスに転じてきていることだ。同社は低貸玉営業や射幸性に頼らない営業を行ってきたため、現在の厳しい事業環境に対する抵抗力は他社に比べて高いと考えられる。加えて、今期は期初から地域フォーカスで顧客視点に立ったサービスを打ち出し、ダイナムの固定ファンづくりに取り組んできた。そうした施策が時間の経過とともに徐々に浸透し、既存店売上のマイナスの歯止めや、プラス転換へとつながってきている可能性があると弊社では考えている。
利益面では、ローコストオペレーションの取り組みは下期も継続するため、第2四半期決算と同様、営業収入の増収が確保できれば営業利益の増益も自ずと達成されるとみている。第2四半期決算で計上された為替差損は、足元の為替レートが期末まで続けば年間ベースでは縮小することになる。為替レートは変動が激しく、拡大・縮小の双方向に動く可能性があるため予断を許さないが、本業からの利益については、今下期も相対的に堅調な推移が期待できると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(1) 2017年3月期第2四半期決算
ダイナムジャパンホールディングス<06889/HK>の2017年3月期第2四半期は、営業収入79,808百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益8,208百万円(同11.2%増)、税引前利益6,635百万円(同9.4%減)、親会社株主に帰属する当期利益3,860百万円(同19.3%減)と、増収・営業増益で着地した。EBITDAは14,431百万円で前年同期比9.6%増加した。
営業収入における夢コーポレーションの新規連結影響は6,347百万円だった。営業収入の前年同期比増収額は3,965百万円であるため、新規連結がなければ2,382百万円(3.1%)の減収だったことになる。2017年3月期第2四半期は、一部機種の回収・撤去に対する代替機の手当てが業界全体で遅れていたなか、同社の出店数は3店舗にとどまった。そのため店舗数拡大による増収効果が小さく、業界全体の市場規模縮小の影響を同社も受ける形となった。結果的に、2017年3月期第2四半期は逆風の事業環境が続くなか、M&Aによる成長が成長戦略として非常に有効であることが際立った決算期となったと言える。
一方で、地域フォーカスの取り組みや実験的施策の実施など、既存店売上高の伸長に意欲的に取り組んだことは前述のとおりだ。地域フォーカスは全店で実施されているが、まだ効果はごく一部にとどまっているとみられる。それでも、第2四半期の後半において、遊技台稼働数において、回復の動き(前年同期比プラス転換、業界参考値との差が拡大)がみられつつある。
利益面では、ローコストオペレーションの徹底で営業費用(店舗費用と一般管理費等の合計)の増加を前年同期比4.6%増に抑えることが出来た結果、営業利益は前年同期比11.2%増の8,208百万円となった。
税引前利益以下が減益となったのは、金融費用において為替差損が1,439百万円計上されたことによる。ドル円のレートが期首の112.7円から期末には101.1円まで円高が進んだ結果、保有する外貨建て資産について為替差損が発生した。この影響を除けば、税引前利益以下の各項目も前年同期比対比では増益となり、全体として好調な決算であったことが確認できた。
(2) 2017年3月期通期見通しの考え方
同社は業績予想を公表していない。弊社では期初に下記のような想定を行った。
2017年3月期も業界環境の厳しさは続き、さらには遊技台撤去に対する代替機の不足から今期は新規出店が大きく減少すると予想される。このため、客数の低下がそのまま貸玉収入をヒットする可能性がある。業界全体の売上高(貸玉収入)は、2005年のピークから2014年までの9年間で年平均3.8%のペースで減少してきたが、同社自身は低貸玉営業にシフトが進んでいることや射幸性に頼らない店づくりをしていることが奏功して、減収率を業界より低めの3%にとどまると想定される。これにより2016年3月期の報告ベースの貸玉収入844,885百万円は、2017年3月期には819,538百万円に縮小する。これに対する粗利益率(“1−出玉率”)を前期並みの18.4%と仮定すると、営業収入は150,795百万円となる。ここに夢コーポレーションの7ヶ月分の営業収入7,500百万円を加えると、連結営業収入は158,295百万円(前期比1.5%増)と試算される。
2017年3月期第2四半期は上記シミュレーションとほぼ同じ線上での着地となったが、今下期については、上振れが期待できると弊社では考えている。
そのように期待する最大の理由は、同社の遊技台稼働数が、9月以降明確にプラスに転じてきていることだ。同社は低貸玉営業や射幸性に頼らない営業を行ってきたため、現在の厳しい事業環境に対する抵抗力は他社に比べて高いと考えられる。加えて、今期は期初から地域フォーカスで顧客視点に立ったサービスを打ち出し、ダイナムの固定ファンづくりに取り組んできた。そうした施策が時間の経過とともに徐々に浸透し、既存店売上のマイナスの歯止めや、プラス転換へとつながってきている可能性があると弊社では考えている。
利益面では、ローコストオペレーションの取り組みは下期も継続するため、第2四半期決算と同様、営業収入の増収が確保できれば営業利益の増益も自ずと達成されるとみている。第2四半期決算で計上された為替差損は、足元の為替レートが期末まで続けば年間ベースでは縮小することになる。為替レートは変動が激しく、拡大・縮小の双方向に動く可能性があるため予断を許さないが、本業からの利益については、今下期も相対的に堅調な推移が期待できると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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