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ミロク情報 Research Memo(3):企業向けERP製品の販売や新規顧客開拓によるサービス収入拡大が増収に寄与

注目トピックス 日本株
■決算動向

(1) 2017年3月期第2四半期累計の業績概要

ミロク情報サービス<9928>の2017年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比10.5%増の13,080百万円、営業利益が同45.9%増の2,091百万円、経常利益が同44.8%増の2,103百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同61.6%増の1,352百万円となり、売上高、利益ともに期初会社計画を上回り、半期ベースで過去最高業績を連続で更新した。

成長戦略として取り組んできた「顧客基盤とサービス収入の拡大」並びに「受注残高を意識した経営目標管理の徹底」による効果が続いており、業績好調の要因となっている。当第2四半期累計期間においては、売上高が10.5%増とここ数年では最も高い増収率となったことが注目される。企業向けERP製品の販売や新規顧客開拓等によるサービス収入の拡大がけん引役となった。また、システム導入契約売上高の受注残については、第2四半期末で5.75ヶ月と前期末比0.43ヶ月増となり、当面の目標となる6ヶ月に近づいた。

売上総利益率は収益性の高いソフトウェアやサービス収入の構成比が上昇したことにより、前年同期比で1.7ポイント改善した。また、人件費の増加を主因に販管費は同5.8%増となったものの、増収効果により販管費率は同2.2ポイント低下した。この結果、営業利益率は同3.9ポイント上昇の16.0%に達し、大幅増益につながった。

なお、期初会社計画比で見ると、企業向けの売上が好調に推移し2.2%の増額に、また、営業利益面では計画よりも販管費を抑制できたことにより、8.4%の増額となった。

(2)品目別、販売先別売上動向

当第2四半期累計の品目別売上高を見ると、システム導入契約売上高が前年同期比11.5%増の8,315百万円、サービス収入が同7.4%増の4,355百万円、その他売上高が同27.5%増の408百万円といずれも増収と好調に推移した。その他売上高の増収要因は、中小企業の経営者やビジネスパーソン向けのWeb情報サイト「bizocean」の広告収入が媒体価値の上昇によって増加したことが主因だが、新規事業である事業承継・再生支援サービスについても、30百万円程度の増収要因となっている。

a)システム導入契約売上高
システム導入契約売上高を販売先別で見ると、会計事務所向けが前年同期比7.9%減の2,636百万円と減収となったものの、一般企業向けが同24.6%増の4,340百万円、その他(本社・子会社売上及びパートナー向け売上)が同20.5%増の1,338百万円とそれぞれ好調に推移した。会計事務所向けに関して市場が成熟していることに加えて、前年同期にマイナンバー関連でセキュリティ対策品などの需要が伸びた反動が出た格好だ。新規に開業する会計事務所の獲得は進めているが、開業初期段階はシステムも低価格プランからスタートするため、売上高も伸びにくくなっている。

一方、一般企業向けは新規顧客向けが前年同期比15.6%増、既存顧客向けが同28.6%増といずれも好調に推移した。新規顧客向けに関しては、顧客となる会計事務所の紹介に加えて、ここ1〜2年でテレビCMを積極的に使った広告宣伝活動の効果も出ているものと考えられる。一方、既存顧客向けについては買い替え需要が旺盛だったほか、買い替え時期に合わせて追加サービスの提案も行うなどクロスセルに向けた取組みを推進した効果が大幅増収の要因となった。なお、その他の売上高については、本社売上のうち商工会向けサービスの増加が主な増収要因となっており、パートナー(販売代理店)向け売上高は横ばい水準にとどまった。

品目別の売上高を見ると、ソフトウェアが中小企業向けERP製品「MJSLINK NX-I」や個別開発ソフトの売上の増加により前年同期比13.7%増の5,252百万円となったほか、ユースウェア(導入支援サービス)も新規顧客の増加に伴い同16.8%増の1,611百万円と好調に推移した。一方、ハードウェアについては同0.6%減の1,451百万円にとどまった。マイナンバー関連で前年同期はセキュリティ製品等が増加した反動による。

b)サービス収入
サービス収入の内訳を見ると、ソフト運用支援サービス(企業向けソフト保守サービス)が新規顧客の獲得を背景に前年同期比8.0%増の1,886百万円と拡大基調が続いたほか、会計事務所を通じた小規模事業者向けの簡易版会計ソフト(ソフト使用料)も同23.7%増の579百万円と好調を持続した。また、会計事務所向け総合保守サービスであるTVSの売上高も、同1.7%増の937百万円と底堅く推移したほか、ハードウェア・ネットワーク保守サービスも同8.3%増の638百万円と増収基調が続いた。これらサービスはストック型収入となるため、顧客数の拡大に伴って売上高も安定的に伸びる格好となる。とりわけ、小規模事業者向けの簡易版会計ソフトは、収益性の高いサービスとなっており利益率の上昇に寄与している。

(3)財務状況

2017年3月期第2四半期末の財務状況について見ると、総資産残高は前期末比947百万円増加の20,829百万円となった。流動資産では、収益の拡大に伴い現金及び預金が123百万円、売上債権が781百万円増加した。また、固定資産ではのれんやソフトウェア等の無形固定資産が130百万円増加したほか、有形固定資産が16百万円増加し、投資有価証券を中心に投資等が95百万円減少した。

負債合計は前期末比708百万円増加の6,531百万円となった。有利子負債が長短合わせて411百万円増加したほか、仕入債務で106百万円、未払法人税等で255百万円増加した。また、純資産については前期末比239百万円増加の14,298百万円となった。利益剰余金が786百万円増加した一方で、自己株式の取得で240百万円、その他の有価証券評価差額金で269百万円の減少要因となった。

同社の財務内容は、ここ数年収益拡大とともに大幅に改善してきた。2017年3月期第2四半期末の自己資本比率は68.3%と前期末から若干低下したものの高水準を維持しており、また、ネットキャッシュも有利子負債の増加によって前期末比では若干減少したが、事業規模からすれば潤沢な水準であり、良好な状態をキープしていると判断される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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