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ミロク情報 Research Memo(5):新規事業の育成で更なる成長ステージへ

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

(3)今後の成長戦略について

ミロク情報サービス<9928>は現在、第3次中期経営計画の最終年度を進行中で、2018年3月期より次期中期経営計画をスタートする。現段階での経営目標値は、2021年3月期に売上高500億円、経常利益率30%、ROE30%を掲げている。2017年3月期予想比で見ると、売上高で1.92倍、経常利益では3.75倍となり、年平均成長率で換算すれば18%増収、39%増益のペースと意欲的な目標値となっている。

同社では今後、事業別の売上目標など詳細を詰めていく方針としているが、基本構想としては既存事業での安定成長に加えて、ここ1〜2年で種をまいてきた新規事業を育成していくことで、製品・サービスのラインナップを拡充し、また対象となる顧客層も会計事務所、中堅・中小企業だけでなく、個人や海外市場に裾野を拡大するなど事業領域を拡大していくことで目標を達成していく考えだ。以下、新規事業の取り組み状況について見てみる。

a) BtoBプラットフォーム「bizsky」事業について
同社は中小企業を主要顧客として、企業の経費削減や業務効率化、資金調達などの経営課題に応えるための様々なコンテンツサービスを提供するマーケットプレイス機能を備えたBtoBクラウドプラットフォーム「bizsky(ビズスカイ)」を構築した。

提供するコンテンツの第1弾として、中小企業を対象として、振込作業の効率化と振込手数料のコスト削減に資する「楽(らく)たす振込」を開発、2016年9月より提供を開始した。初期費用、月額利用料が無料で、振込手数料は1件あたり一律310円(税込)と安価に設定されており、中小企業にとっての導入メリットは大きいと言える。また、紙の請求書を受領し振込代行するサービス「請求書丸投げプラン」(30円(税込)/1件)もオプションメニューとして用意している。同サービスは、2015年12月に子会社化したクラウドインボイス(株)が担当する。ビジネスモデルとしては、導入企業からの振込処理を同社が一括で行うことで銀行に支払うコストを引き下げ、振込手数料との差額分が同社の利益となる。契約企業数は緩やかなペースとなっているが、同社ではまずは既存顧客を中心に販促活動を行っていくことにしている。

また、年明けには請求書発行に関する業務効率化支援サービスの提供を開始予定のほか、給与明細配信や入金消込など企業の資金管理に関連する業務において順次、業務の効率化に寄与するサービスを開始していく予定となっている。同社ではこれらサービスの提供によって10万社の顧客獲得を目標としている。10万社を達成するには新規顧客の開拓が必須となるが、約200万人のビジネスマンが利用しているビジネス情報サイト「bizocean」からの送客も行いながら、顧客数を増やしていく戦略だ。

10万社が同社のプラットフォーム「bizsky」上のサービスを利用するようになれば、「bizsky」がBtoBのマーケットプレイスに進化することになる。同業他社にとっては10万社という見込み顧客が集う「bizsky」は魅力的な販売チャネルとなるためだ。同社では、最終的に「bizsky」を中小企業が集まる日本最大のビジネスクラウドプラットフォームにすることを目標としている。

その他、子会社のクラウドインボイスの記帳代行サービスについても、今後営業を強化していく考えだ。同社の顧客である会計事務所だけでなく、顧客ではない会計事務所に対しても営業活動を進めていく。記帳代行サービスをフック役として、財務・会計システムの他社からのリプレイスを進めていく戦略だ。

b)ビジネス情報サイト「bizocean」
ビジネス情報サイト「bizocean」については2016年4月に事業分割し、子会社化した。今後IPOも視野に入れながら、事業を拡大していく方針となっている。2016年11月末現在で登録会員数は国内で約193万人だが、2017年3月期末に201万人、2020年度末に300万人を目指すほか、東南アジアやインドなど海外会員で4,000万人を目標として掲げている。

同サイトは企業が日々業務で利用する書類等の書式・テンプレートを無料でダウンロードできるサイトとして人気を博しており、現在は同サイト上のディスプレイ広告及び登録会員へのメルマガ配信による広告収入が収益源となっている。売上高は2015年3月期の4億円強から2016年3月期は5億円となり、2017年3月期は9億円を見込んでいる。固定費がさほど掛からず、営業利益率は30%と高水準となっていることから、今後事業規模が拡大すれば利益への貢献度も大きくなるものと予想される。

今後の事業展開としては、サイト上で動画広告を開始するほか、テンプレートの有料サービス(CtoCマーケットプレイス)も2017年以降本格的に開始する予定となっている。また、海外市場については同様のビジネス情報サイトがまだほとんどないことから、今後の開拓余地は大きいと見られる。各国への展開として、M&Aなども選択肢として考えられる。

c)中小企業の事業承継・事業再生支援サービス
子会社のmmapで展開している中小企業向け事業承継・事業再生支援サービスについては、同社の顧客でもある会計事務所と協業しながら、日本一のセルサイドプラットフォームを確立することを目標としている。

ビジネスモデルとしては、会計事務所と紹介パートナー契約を結んだ後に、同会計事務所から事業承継または再生支援のニーズがある顧問先企業を紹介してもらい、当該企業とアドバイザリー契約を結び、支援サービスを行うスキームとなる。売上高としては承継先等が決まった場合に受領する手数料があり、また、費用としては紹介パートナー先へ支払う手数料がある。

このため、案件数を増やしていくためには、パートナーとなる会計事務所をいかに増やしていくことができるかが重要なポイントとなる。2016年9月末時点でパートナー数は約1,365事務所と順調に増えており、2017年3月末には2,000事務所まで拡大していくことを目標としている。また、相談件数については2016年3月期で約100件の譲渡希望案件があり、このうち数件の成約実績があった。当第2四半期累計期間では約240件の相談件数に対して7件の成約実績となっている。2017年3月期通期では相談件数で450件を目標としている。状況としては順調で、中小企業の事業承継に関する相談件数が圧倒的に多い。同社では2018年3月期以降の収益化を計画しているが、今後はスピード感を持って事業展開を進めていくことが課題となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<NB>

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