メディシノバ Research Memo(1):アンメットメディカルニーズに応える新薬の開発を目指す
[16/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
メディシノバ<4875>(MediciNova, Inc.)は、2000年に設立された米国本社の創薬ベンチャーで、東証JASDAQと米NASDAQに株式を上場している。現在は米国を中心に事業活動を行っており、主にMN-166(イブジラスト)、MN-001(タイペルカスト)の2つの低分子化合物、8つのプログラムの開発を進めている。将来的には開発品のライセンスアウトだけでなく、販売も行うグローバル製薬企業を目指している。
12月19日付で、MN-166の進行型多発性硬化症を適応とするフェーズ2b臨床治験に関して、外部機関であるデータ安全性モニタリング委員会が有効性に関する中間解析データを検証した結果、米国立衛生研究所(NIH)の国立神経疾患脳卒中研究所(NINDS)に対し、本治験を当初の予定どおり継続するよう提言を行ったことが発表された。本提言を受けてNINDSは本治験の実施を継続し、最終的な治験のデータ解析を得られる時期は2017年下半期を予想している。中間解析は、臨床治験が科学的かつ倫理的観点から適切に実施され、治験参加患者の利益を保護し、不利益リスクを最小化することなどを目的に、事前に計画された手順に基づき行われるもので、安全性に問題がある場合、治験を継続しても有効性が見込めない場合には、治験が中止されるものである。今回、治験が継続されたということは、少なくとも安全性に問題がなく、何らかの有効性が認められたという理解ができる。同社では最終的な治験のデータ解析結果を待って、今後の開発方針を決定する方針だ。選択肢として最終的な治験のデータ解析結果が良好な場合、フェーズ3を独自で実施するか、もしくはライセンスアウト交渉に臨むことになる。逆にフェーズ2bで良い結果が得られなかった場合は、開発を中止する可能性もある。進行型多発性硬化症は白人に多く発症する疾患で、患者数は全世界で230万人超と多く、潜在的な市場規模は190億ドルを超えると見られるだけに、今後の開発動向が注目される。
その他、同社が開発を進めているプログラムの想定市場規模はいずれも大きい。MN-166のALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬は米国だけで10億ドルを超えるほか、MN-001で開発を進めるNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)治療薬は米国市場だけで2020年までに16億ドル、2025年までには400億ドルに達するという予測もある。同様にIPF(特発性肺線維症)治療薬は2025年までに30億ドルの市場規模に達すると調査会社で予測されている。また、MN-166の開発プログラムである薬物依存治療やアルコール依存治療薬も社会的な経済損失を考えれば、潜在的な需要は大きいと言える。同社はMN-166、MN-001のいずれかをライセンスアウトする可能性はあるとしている。
当面の業績は臨床治験等の研究開発が先行するため、損失が続く見通しだ。2016年12月期は営業損失で10,254千ドル(前期は8,822千ドルの損失)を見込んでいる。今年の同社株価上昇に伴う、業績目標に対する達成度に基づく役職員へのストックオプションの会計上の評価額の増加により、前期比では若干損失額が拡大する見込みとなる。ただし、あくまでも会計上の評価であり、キャッシュアウト額は若干減少する見込みとなっている。2016年9月末の現金及び現金同等物は24,971千ドルとなっており、約2年分の運転資金を確保しているが、今後も開発資金需要が生じれば、各種エクイティファイナンスにより資金調達していく可能性が高い。
■Check Point
・市場規模の大きい米国で開発を進め、収益化を目指す
・いまだに有効な治療方法が確立されていない疾病に対する新薬の開発を行っている
・米国食品医薬品局(FDA)からファストトラック5本、オーファンドラッグ3本の指定承認を取得し、欧州委員会からも1本のオーファンドラッグ指定承認を取得ている
・複数の新薬開発パイプラインについて米国国立衛生研究所(NIH)からの助成金を受けている
・MN-166、MN-001のいずれか一方をライセンスアウトする可能性を示唆している
・有利子負債はなく、研究資金は株式市場で調達
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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12月19日付で、MN-166の進行型多発性硬化症を適応とするフェーズ2b臨床治験に関して、外部機関であるデータ安全性モニタリング委員会が有効性に関する中間解析データを検証した結果、米国立衛生研究所(NIH)の国立神経疾患脳卒中研究所(NINDS)に対し、本治験を当初の予定どおり継続するよう提言を行ったことが発表された。本提言を受けてNINDSは本治験の実施を継続し、最終的な治験のデータ解析を得られる時期は2017年下半期を予想している。中間解析は、臨床治験が科学的かつ倫理的観点から適切に実施され、治験参加患者の利益を保護し、不利益リスクを最小化することなどを目的に、事前に計画された手順に基づき行われるもので、安全性に問題がある場合、治験を継続しても有効性が見込めない場合には、治験が中止されるものである。今回、治験が継続されたということは、少なくとも安全性に問題がなく、何らかの有効性が認められたという理解ができる。同社では最終的な治験のデータ解析結果を待って、今後の開発方針を決定する方針だ。選択肢として最終的な治験のデータ解析結果が良好な場合、フェーズ3を独自で実施するか、もしくはライセンスアウト交渉に臨むことになる。逆にフェーズ2bで良い結果が得られなかった場合は、開発を中止する可能性もある。進行型多発性硬化症は白人に多く発症する疾患で、患者数は全世界で230万人超と多く、潜在的な市場規模は190億ドルを超えると見られるだけに、今後の開発動向が注目される。
その他、同社が開発を進めているプログラムの想定市場規模はいずれも大きい。MN-166のALS(筋萎縮性側索硬化症)治療薬は米国だけで10億ドルを超えるほか、MN-001で開発を進めるNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)治療薬は米国市場だけで2020年までに16億ドル、2025年までには400億ドルに達するという予測もある。同様にIPF(特発性肺線維症)治療薬は2025年までに30億ドルの市場規模に達すると調査会社で予測されている。また、MN-166の開発プログラムである薬物依存治療やアルコール依存治療薬も社会的な経済損失を考えれば、潜在的な需要は大きいと言える。同社はMN-166、MN-001のいずれかをライセンスアウトする可能性はあるとしている。
当面の業績は臨床治験等の研究開発が先行するため、損失が続く見通しだ。2016年12月期は営業損失で10,254千ドル(前期は8,822千ドルの損失)を見込んでいる。今年の同社株価上昇に伴う、業績目標に対する達成度に基づく役職員へのストックオプションの会計上の評価額の増加により、前期比では若干損失額が拡大する見込みとなる。ただし、あくまでも会計上の評価であり、キャッシュアウト額は若干減少する見込みとなっている。2016年9月末の現金及び現金同等物は24,971千ドルとなっており、約2年分の運転資金を確保しているが、今後も開発資金需要が生じれば、各種エクイティファイナンスにより資金調達していく可能性が高い。
■Check Point
・市場規模の大きい米国で開発を進め、収益化を目指す
・いまだに有効な治療方法が確立されていない疾病に対する新薬の開発を行っている
・米国食品医薬品局(FDA)からファストトラック5本、オーファンドラッグ3本の指定承認を取得し、欧州委員会からも1本のオーファンドラッグ指定承認を取得ている
・複数の新薬開発パイプラインについて米国国立衛生研究所(NIH)からの助成金を受けている
・MN-166、MN-001のいずれか一方をライセンスアウトする可能性を示唆している
・有利子負債はなく、研究資金は株式市場で調達
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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