イグニス Research Memo(2):「無料ネイティブアプリ」と「ネイティブソーシャルゲーム」が事業の柱
[16/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売を手掛けている。主に広告収入と課金収入による「無料ネイティブアプリ」と課金収入による「ネイティブソーシャルゲーム」の2つを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立している。
「次のあたりまえを創る。何度でも」をビジョンに掲げ、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど、数多くの小規模アプリを量産してきたことが、ノウハウの蓄積を含め、過去の高い成長をけん引してきた。2015年9月期からは、これまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることで収益構造改革に取り組んでいる。
ネイティブアプリは、App Store及びGoogle Play等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されているが、同社はスマートフォンアプリ事業を収益モデル別に、「無料ネイティブアプリ」(広告収入及び課金収入モデル)、「ネイティブソーシャルゲーム」(課金収入モデル)の大きく2つの事業に分類している。
2016年9月期実績では、好調な「ぼくとドラゴン」の貢献により「ネイティブソーシャルゲーム」が売上高の86.5%を占めている。一方、これまで同社の収益基盤を支えてきた「無料ネイティブアプリ」については、収益貢献までに時間のかかる更新型アプリ※(中・大規模アプリ)に注力していることから一旦縮小しているが、これは収益構造改革を進めるに当たっての一時的な現象と見るのが妥当である。
※試行的な運用によりユーザーの声を反映させるなどの改善を図りながら成長させていくアプリ。
なお、中・大規模アプリへのシフトに伴って収益モデルが変化してきた(課金収入モデルの重要性が高まってきた)ことや、新たな事業分野での成長軸が立ち上がってきたことから、これまでの「無料ネイティブアプリ」と「ネイティブソーシャルゲーム」という枠組みから、既存事業を「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つの事業に変更するとともに、新たに「ライフハック」及び「VR」などの新規事業を追加した(2017年9月期より実施)。
各事業(2016年9月期までの枠組み)の特徴は以下のとおりである。
(1)無料ネイティブアプリ(広告・課金収入モデル)
このモデルは無料で提供するアプリ内に広告を掲載することで、広告主からの広告収入を主な収益源とする。したがって、ダウンロード数及びMAUを増やすことが広告収入の拡大に結びついてきた。スマートフォンの使い勝手及び日常生活の利便性を高めるツール系アプリのほか、カジュアルゲーム系アプリ、コミュニケーション系アプリなど、様々なジャンルのアプリを展開している。無料ながら有料アプリと同等の品質を保証していることに加え、利便性の追求などがユーザーからの評価を高め、ダウンロード数及びMAUの拡大に貢献してきた。
ただ、2015年9月期からは、環境変化への対応及び事業拡大を目的として、コミュニティ領域などの更新型アプリ(中・大規模アプリ)へと開発の軸を移しており、更なるユーザー数の積み上げとライフタイムの長期化に取り組んでいる。また、最近の環境変化により、無料ネイティブアプリにおいても、広告収入だけではなく課金収入の重要性も高まってきている。2016年9月期は、新たな成長軸として期待される「with」が緩やかなペースで立ち上がってきたことに加え、2015年10月に買収した「U-NOTE」も足元で急速に伸びている。なお、2017年9月期からは、前述した事業区分の変更により、「with」が「コミュニティ」、「U-NOTE」が「メディア」に分類されることになる。
(2)ネイティブソーシャルゲーム(課金収入モデル)
このモデルはアイテム課金を基本とするネイティブソーシャルゲームを提供している。ソーシャルゲームは他のユーザーとコミュニケーションを取りながらプレイするオンラインゲームである。開発本数を一定数に絞り込むことで品質の高いゲームを提供するという方針のもと、2015年2月には2作品目となる「ぼくとドラゴン」をリリースし、順調に立ち上がった。2016年9月期も多彩なイベントや人気コンテンツとのコラボ、機能追加等により好調を持続しており、同社の業績の伸びをけん引している。2016年8月には累計300万DLを突破、デイリー売上ランキングでも上位に収斂・定着する傾向が顕著になっており、ロングセラーゲームとしての足場を固めつつある。
同社グループは、連結子会社11社及び持分法適用関連会社1社で構成される(2016年9月末現在)。連結子会社には、無料ネイティブアプリの企画・開発・運営・販売を行う(株)アイビー、(株)IGNIS APPS、IGNIS AMERICA, INC. (米国子会社)のほか、ネイティブソーシャルゲームの企画・開発・運営・販売を行う(株)スタジオキング、新しい視点でSNSを展開するALTR THINK(株)(2014年10月に買収)のほか、2015年10月に買収した(株)U-NOTEなどがある。
なお、2016年2月に持分法適用関連会社のM.T.Burn(株)の株式を譲渡した一方、2016年9月にはIoTベンチャー企業である(株)ロビットとの資本業務提携を行い、持分法適用関連会社とした。ロビットは、「ハードとソフトで新しい価値を生み出す」というビジョンを掲げ、人々の生活の不便や困難を解決し、日常をより良くすることを目指している「ものづくり企業」である。2016年7月には世界初となるスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’」を発売し、好評を博しているようだ。
また、2017年9月期に入ってからも2016年11月にはVR領域への進出を目的として新たに子会社パルス(株)を設立している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売を手掛けている。主に広告収入と課金収入による「無料ネイティブアプリ」と課金収入による「ネイティブソーシャルゲーム」の2つを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立している。
「次のあたりまえを創る。何度でも」をビジョンに掲げ、日常的に利用する高品質なツール系アプリなど、数多くの小規模アプリを量産してきたことが、ノウハウの蓄積を含め、過去の高い成長をけん引してきた。2015年9月期からは、これまでの小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることで収益構造改革に取り組んでいる。
ネイティブアプリは、App Store及びGoogle Play等のプラットフォームを通じてスマートフォンユーザーに提供されているが、同社はスマートフォンアプリ事業を収益モデル別に、「無料ネイティブアプリ」(広告収入及び課金収入モデル)、「ネイティブソーシャルゲーム」(課金収入モデル)の大きく2つの事業に分類している。
2016年9月期実績では、好調な「ぼくとドラゴン」の貢献により「ネイティブソーシャルゲーム」が売上高の86.5%を占めている。一方、これまで同社の収益基盤を支えてきた「無料ネイティブアプリ」については、収益貢献までに時間のかかる更新型アプリ※(中・大規模アプリ)に注力していることから一旦縮小しているが、これは収益構造改革を進めるに当たっての一時的な現象と見るのが妥当である。
※試行的な運用によりユーザーの声を反映させるなどの改善を図りながら成長させていくアプリ。
なお、中・大規模アプリへのシフトに伴って収益モデルが変化してきた(課金収入モデルの重要性が高まってきた)ことや、新たな事業分野での成長軸が立ち上がってきたことから、これまでの「無料ネイティブアプリ」と「ネイティブソーシャルゲーム」という枠組みから、既存事業を「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つの事業に変更するとともに、新たに「ライフハック」及び「VR」などの新規事業を追加した(2017年9月期より実施)。
各事業(2016年9月期までの枠組み)の特徴は以下のとおりである。
(1)無料ネイティブアプリ(広告・課金収入モデル)
このモデルは無料で提供するアプリ内に広告を掲載することで、広告主からの広告収入を主な収益源とする。したがって、ダウンロード数及びMAUを増やすことが広告収入の拡大に結びついてきた。スマートフォンの使い勝手及び日常生活の利便性を高めるツール系アプリのほか、カジュアルゲーム系アプリ、コミュニケーション系アプリなど、様々なジャンルのアプリを展開している。無料ながら有料アプリと同等の品質を保証していることに加え、利便性の追求などがユーザーからの評価を高め、ダウンロード数及びMAUの拡大に貢献してきた。
ただ、2015年9月期からは、環境変化への対応及び事業拡大を目的として、コミュニティ領域などの更新型アプリ(中・大規模アプリ)へと開発の軸を移しており、更なるユーザー数の積み上げとライフタイムの長期化に取り組んでいる。また、最近の環境変化により、無料ネイティブアプリにおいても、広告収入だけではなく課金収入の重要性も高まってきている。2016年9月期は、新たな成長軸として期待される「with」が緩やかなペースで立ち上がってきたことに加え、2015年10月に買収した「U-NOTE」も足元で急速に伸びている。なお、2017年9月期からは、前述した事業区分の変更により、「with」が「コミュニティ」、「U-NOTE」が「メディア」に分類されることになる。
(2)ネイティブソーシャルゲーム(課金収入モデル)
このモデルはアイテム課金を基本とするネイティブソーシャルゲームを提供している。ソーシャルゲームは他のユーザーとコミュニケーションを取りながらプレイするオンラインゲームである。開発本数を一定数に絞り込むことで品質の高いゲームを提供するという方針のもと、2015年2月には2作品目となる「ぼくとドラゴン」をリリースし、順調に立ち上がった。2016年9月期も多彩なイベントや人気コンテンツとのコラボ、機能追加等により好調を持続しており、同社の業績の伸びをけん引している。2016年8月には累計300万DLを突破、デイリー売上ランキングでも上位に収斂・定着する傾向が顕著になっており、ロングセラーゲームとしての足場を固めつつある。
同社グループは、連結子会社11社及び持分法適用関連会社1社で構成される(2016年9月末現在)。連結子会社には、無料ネイティブアプリの企画・開発・運営・販売を行う(株)アイビー、(株)IGNIS APPS、IGNIS AMERICA, INC. (米国子会社)のほか、ネイティブソーシャルゲームの企画・開発・運営・販売を行う(株)スタジオキング、新しい視点でSNSを展開するALTR THINK(株)(2014年10月に買収)のほか、2015年10月に買収した(株)U-NOTEなどがある。
なお、2016年2月に持分法適用関連会社のM.T.Burn(株)の株式を譲渡した一方、2016年9月にはIoTベンチャー企業である(株)ロビットとの資本業務提携を行い、持分法適用関連会社とした。ロビットは、「ハードとソフトで新しい価値を生み出す」というビジョンを掲げ、人々の生活の不便や困難を解決し、日常をより良くすることを目指している「ものづくり企業」である。2016年7月には世界初となるスマートフォン連動型カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’」を発売し、好評を博しているようだ。
また、2017年9月期に入ってからも2016年11月にはVR領域への進出を目的として新たに子会社パルス(株)を設立している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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