システム ディ Research Memo(7):公立高校向けは順調な進捗
[17/02/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業部門別動向
(4)公教育ソリューション事業
公教育ソリューション事業は公立の小・中・高校向けに校務支援システム「School Engine」を提供している。私立学校や(規模が大きい)国公立大学を対象とする学園ソリューション事業との大きな違いとして、自治体の教育委員会が管理している公立学校では予算の制約が厳しいこと、中小規模の学校が多いこと、などが挙げられる。こうした実情に合わせて、システムディ<3804>では「School Engine」をクラウドサービスで提供している。今は教育委員会集中管理型が大半だが、完全クラウド対応を完了しているのは業界の中では同社だけでクラウド化の進展により今後の拡大が見込まれる。
公教育ソリューション事業のもう1つの特徴は、直接の売込み先が個々の学校ではなく、県あるいは市町村の教育委員会であるという点だ。各教育委員会が導入を決定すれば、当該教育委員会が管轄する公立学校すべてに(一部例外はある)導入されるという流れになる。その意味では私立学校向けよりも営業効率が良いようにも見えるが、必ず入札というプロセスを経る必要があるため、確実性は私立学校向けよりも低くなりがちだと弊社ではみている。クラウド化によるスケールメリットは、この点を補う上では重要なポイントと言える。対象顧客別では、都道府県レベルの教育委員会を顧客化し公立高校を取り込むことが最も効率は良いが、学校数で言えば全国約1,700の市町村教育委員会が管轄する小・中学校が圧倒的に多く、ここにおけるシェア拡大も重要テーマであることに変わりはない。
公教育ソリューション事業の2016年10月期は、トップシェアを握る都道府県立学校(主として高校)市場と、市町村立学校市場(主として小・中学校)の両方で導入校数を拡大させた。2016年10月末時点では全国927校に同社製品が導入されている。特に高等学校では13県が同社製品を導入しており、これは実質的市場シェアで50%超に相当するとみられる。同社では、全都道府県が導入した最終時点でも50%のシェア(25都道府県への納入)を目指している。公立高校向けではほかに堺市と京都市(いずれも政令指定都市)も同社製品を導入しており、高校向けは順調な進捗となっている。
一方、小・中学校向けは、顧客数は着実に増加しているものの36市町村にとどまっている。マーケットサイズが約1,700自治体であることを考えると、進捗としては遅れている印象だ。この理由として同社は、クラウドサービスへの理解が進みにくいことを挙げている。クラウドサービスの利便性よりも個人情報流出へのリスクがより強く認識されているということだ。この点については根気強く説明をして理解を求めるほか、各自治体の担当者(教育委員)のコンピューターリテラシーに対応した操作性の向上を図るなどの、地道な営業努力を続けることが必要と考えられる。
2017年10月期は、当初2016年10月期に予定されていた県立高校に関する入札案件が2017年10月期にずれ込んだ影響がプラスに働くため、この点で一段の業容拡大が期待される。同社は当該案件について既に落札し、確定受注としている。現時点では校務支援ソフトを未導入の自治体も、徐々にそうした支援ソフトを導入する流れにあることは疑いなく、完全クラウド化による低コストを武器に、着実に顧客数を拡大していくと弊社では期待している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<HN>
(4)公教育ソリューション事業
公教育ソリューション事業は公立の小・中・高校向けに校務支援システム「School Engine」を提供している。私立学校や(規模が大きい)国公立大学を対象とする学園ソリューション事業との大きな違いとして、自治体の教育委員会が管理している公立学校では予算の制約が厳しいこと、中小規模の学校が多いこと、などが挙げられる。こうした実情に合わせて、システムディ<3804>では「School Engine」をクラウドサービスで提供している。今は教育委員会集中管理型が大半だが、完全クラウド対応を完了しているのは業界の中では同社だけでクラウド化の進展により今後の拡大が見込まれる。
公教育ソリューション事業のもう1つの特徴は、直接の売込み先が個々の学校ではなく、県あるいは市町村の教育委員会であるという点だ。各教育委員会が導入を決定すれば、当該教育委員会が管轄する公立学校すべてに(一部例外はある)導入されるという流れになる。その意味では私立学校向けよりも営業効率が良いようにも見えるが、必ず入札というプロセスを経る必要があるため、確実性は私立学校向けよりも低くなりがちだと弊社ではみている。クラウド化によるスケールメリットは、この点を補う上では重要なポイントと言える。対象顧客別では、都道府県レベルの教育委員会を顧客化し公立高校を取り込むことが最も効率は良いが、学校数で言えば全国約1,700の市町村教育委員会が管轄する小・中学校が圧倒的に多く、ここにおけるシェア拡大も重要テーマであることに変わりはない。
公教育ソリューション事業の2016年10月期は、トップシェアを握る都道府県立学校(主として高校)市場と、市町村立学校市場(主として小・中学校)の両方で導入校数を拡大させた。2016年10月末時点では全国927校に同社製品が導入されている。特に高等学校では13県が同社製品を導入しており、これは実質的市場シェアで50%超に相当するとみられる。同社では、全都道府県が導入した最終時点でも50%のシェア(25都道府県への納入)を目指している。公立高校向けではほかに堺市と京都市(いずれも政令指定都市)も同社製品を導入しており、高校向けは順調な進捗となっている。
一方、小・中学校向けは、顧客数は着実に増加しているものの36市町村にとどまっている。マーケットサイズが約1,700自治体であることを考えると、進捗としては遅れている印象だ。この理由として同社は、クラウドサービスへの理解が進みにくいことを挙げている。クラウドサービスの利便性よりも個人情報流出へのリスクがより強く認識されているということだ。この点については根気強く説明をして理解を求めるほか、各自治体の担当者(教育委員)のコンピューターリテラシーに対応した操作性の向上を図るなどの、地道な営業努力を続けることが必要と考えられる。
2017年10月期は、当初2016年10月期に予定されていた県立高校に関する入札案件が2017年10月期にずれ込んだ影響がプラスに働くため、この点で一段の業容拡大が期待される。同社は当該案件について既に落札し、確定受注としている。現時点では校務支援ソフトを未導入の自治体も、徐々にそうした支援ソフトを導入する流れにあることは疑いなく、完全クラウド化による低コストを武器に、着実に顧客数を拡大していくと弊社では期待している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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