システム ディ Research Memo(10):16/10期は2ケタ増収増益で着地
[17/02/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
(1) 2016年10月期決算
システムディ<3804>の2016年10月期は、売上高3,108百万円(前期比16.2%増)、営業利益193百万円(同23.0%増)、経常利益186百万円(同24.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益134百万円(同7.9%減)と、増収増益で着地した。しかし期初予想との対比では、売上高、各利益項目とも未達となり、3ヶ年中期経営計画の最終年度の業績目標をクリアすることができなかった。
2016年10月期の業況は、全般的には順調に推移した。同社が掲げる「V&V Business」の中では、大規模事業者を対象とするValue Businessにおいて日本大学や野村不動産のメガロス、京都府などから大型案件を受注した。またVolume Businessにおいても小規模事業者に対するクラウドサービスの契約件数が順調に伸長した。弊社が2016年10月期における注目点として挙げていた公会計ソフト「PPP」の導入自治体数は一気に511自治体にまで拡大し、もう1つの注目点のストック収入も868百万円(前期比35.8%増)となり、同社の成長戦略は着実に進展しつつあることが確認できた決算であった。
そうしたなか、期初計画に対して未達となったのは、大型案件の収益計上のずれ込みがあったことが原因だ。これには3件の大型案件が関与しているが、特に大きかったのは公教育ソリューション事業において、某県の案件(県立高校向け公務支援ソフトの販売)の入札のタイミングが予定よりも遅れて2016年10月をまたいでしまったことだ。また、日本大学の大型案件も受注規模が大きく当初から複数年にわたる収益計上が予定されていたものの、作業量の膨大さがゆえに2016年10月期中の収益計上額は当初の見込みを下回った。さらに、ウェルネスソリューション事業においても受注済みの大型案件に関してパートナー企業の交代に伴う商流の再構築があり、収益計画を狂わせることとなった。
しかしながら、上記の未達要因となった3案件についての懸念は不要だ。日本大学の案件については確定受注であり問題はない。公教育ソリューション事業の案件については、延期された入札が2016年11月に実施され、同社は予定どおり落札に成功した。したがってこの案件の収益は2017年10月期に計上されることになる。また、ウェルネスソリューション事業の案件についても同社は新たなパートナー企業とともに再受注に成功している。
同社の製品サービスについての競争環境などには大きな変化は見られない。それぞれの市場において競合相手は存在するものの、価格競争の激化や新規参入といった大きな変化は起きていないもようだ。前述のように、パッケージソフトではバージョンアップを重ねることで顧客満足度と収益性向上の両立が図られていることに加え、クラウドサービスなどによるストック収入の増大で、全社ベースの利益率は上昇方向にあると考えられる。それを裏付ける1つの指標として売上高販管費率の推移がある。売上高の拡大ペースに比べて販管費の増加ペースは緩やかに抑えられているため、売上高販管費率は着実に低下してきており、企業体質として利益が出やすい収益構造へと転換が進みつつあることがうかがえる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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(1) 2016年10月期決算
システムディ<3804>の2016年10月期は、売上高3,108百万円(前期比16.2%増)、営業利益193百万円(同23.0%増)、経常利益186百万円(同24.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益134百万円(同7.9%減)と、増収増益で着地した。しかし期初予想との対比では、売上高、各利益項目とも未達となり、3ヶ年中期経営計画の最終年度の業績目標をクリアすることができなかった。
2016年10月期の業況は、全般的には順調に推移した。同社が掲げる「V&V Business」の中では、大規模事業者を対象とするValue Businessにおいて日本大学や野村不動産のメガロス、京都府などから大型案件を受注した。またVolume Businessにおいても小規模事業者に対するクラウドサービスの契約件数が順調に伸長した。弊社が2016年10月期における注目点として挙げていた公会計ソフト「PPP」の導入自治体数は一気に511自治体にまで拡大し、もう1つの注目点のストック収入も868百万円(前期比35.8%増)となり、同社の成長戦略は着実に進展しつつあることが確認できた決算であった。
そうしたなか、期初計画に対して未達となったのは、大型案件の収益計上のずれ込みがあったことが原因だ。これには3件の大型案件が関与しているが、特に大きかったのは公教育ソリューション事業において、某県の案件(県立高校向け公務支援ソフトの販売)の入札のタイミングが予定よりも遅れて2016年10月をまたいでしまったことだ。また、日本大学の大型案件も受注規模が大きく当初から複数年にわたる収益計上が予定されていたものの、作業量の膨大さがゆえに2016年10月期中の収益計上額は当初の見込みを下回った。さらに、ウェルネスソリューション事業においても受注済みの大型案件に関してパートナー企業の交代に伴う商流の再構築があり、収益計画を狂わせることとなった。
しかしながら、上記の未達要因となった3案件についての懸念は不要だ。日本大学の案件については確定受注であり問題はない。公教育ソリューション事業の案件については、延期された入札が2016年11月に実施され、同社は予定どおり落札に成功した。したがってこの案件の収益は2017年10月期に計上されることになる。また、ウェルネスソリューション事業の案件についても同社は新たなパートナー企業とともに再受注に成功している。
同社の製品サービスについての競争環境などには大きな変化は見られない。それぞれの市場において競合相手は存在するものの、価格競争の激化や新規参入といった大きな変化は起きていないもようだ。前述のように、パッケージソフトではバージョンアップを重ねることで顧客満足度と収益性向上の両立が図られていることに加え、クラウドサービスなどによるストック収入の増大で、全社ベースの利益率は上昇方向にあると考えられる。それを裏付ける1つの指標として売上高販管費率の推移がある。売上高の拡大ペースに比べて販管費の増加ペースは緩やかに抑えられているため、売上高販管費率は着実に低下してきており、企業体質として利益が出やすい収益構造へと転換が進みつつあることがうかがえる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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