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リプロセル Research Memo(3):創薬支援事業の拡大、再生医療分野への進出に経営リソースを注ぐ段階

注目トピックス 日本株
■事業の進捗状況について

リプロセル<4978>は成長戦略の第1段階として、ヒトiPS細胞の開発向けを中心とした研究試薬事業を伸ばし、第2段階としてiPS細胞の製造販売や受託開発サービス等の創薬支援事業を拡大し、最終的には細胞医薬品の開発販売等の再生医療分野へ展開していくことを目標に掲げている。ここ1〜2年はグローバル展開に向けた事業体制を構築するため、欧米のベンチャー企業の子会社化を進めてきたが、2016年に欧米ともにこれら子会社の再編統合が終わり、体制構築にめどが付いたことで、創薬支援事業の拡大及び再生医療分野への進出に経営リソースを注ぐ段階に入ってきたと言える。実際、2016年後半以降、両事業において具体的な動きが出始めている。

(1)創薬支援事業

ここ1〜2年でiPS細胞を使って開発を進める動きが医薬品業界だけでなく化粧品業界などでも活発化してきている。iPS細胞を作製する企業が増え、品質の向上だけでなく製造コストも下がってきたことが背景にあり、日米欧で事業展開を進める同社にとっては事業拡大の好機となる。実際、共同開発案件などの依頼も増加している。具体的には、2016年11月に化粧品開発のキレートジャパンと、幹細胞培養技術を応用した新規化粧品等の開発及び製造を共同で進めていくと同時に、(株)昇陽を含めた3社で販売のための合弁会社、(株)リプロキレート(出資比率35%)を設立したと発表した。

化粧品市場では、幹細胞に含まれる成長因子を抽出して化粧水や乳液などの成分に加えた商品が米国で開発、業務用として商品化され始めており、今後成長が見込める新領域として注目され始めている。今回の共同開発では、同社が培養した幹細胞から成長因子を抽出するところまでを担当し、キレートジャパンが成長因子を組み込んだ化粧品の開発を行うことになる。当面は製造コストが高いため、高級品に位置する製品として開発を進め、2017年度中の商品化を目指している。国内の化粧品関連の市場規模は2015年に1兆5千億を超えているが、このうち幹細胞の成長因子が活用できそうな「頭髪用化粧品」「皮膚用化粧品」「仕上用化粧品」の市場は全体の9割以上を占めており、将来的な成長ポテンシャルは大きいと言える。今後、開発した化粧品の販売が拡大していけば、同社業績には製造担当部分で得られる利益のほか、合弁で設立した販売会社で得られる利益(持分法投資利益)が寄与することになる。

また、同様に2016年11月にファンケルとヒトiPS細胞由来モデル細胞の開発に関する受託契約の締結を発表している。契約の概要は、ファンケルがアンチエイジングに着目した製品開発を行うために必要なヒトiPS細胞由来のモデル細胞を同社がオーダーメイドで開発し、提供するというもの。ファンケルでの新製品の開発工程において、製品評価用として同モデル細胞が利用されるものと見られる。このため売上高としては一時的なものとなるが、今後もヒトiPS細胞由来のモデル細胞を使った製品開発のプロジェクトが続く可能性もある。

なお、ヒトiPS細胞の作製受託サービスは1回で100万円程度となっており、これに検査工程や分化誘導工程まで進めるとさらに単価は上昇することになる。ヒトiPS細胞の受託開発案件は米国市場で多いが、ここ最近では国内、欧州でも増え始めており、今回のようにオーダーメイド型モデル細胞の受託開発も含めて、今後、ヒトiPS細胞の受託開発サービスの市場は本格的に立ち上がっていくものと予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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