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リプロセル Research Memo(4):iPS細胞を使った細胞医薬品の開発を進める方針

注目トピックス 日本株
■事業の進捗状況について

(2)再生医療事業

リプロセル<4978>は再生医療分野への進出の第一歩として、2016年11月に台湾のバイオベンチャーであるステミネントと細胞医薬品に関する共同開発及び販売契約の締結を発表した。ステミネントが台湾と米国で開発を進めている他家由来幹細胞を用いた細胞医薬品「ステムカイマル」の国内での独占的開発及び販売を進めていくことになる。

「ステムカイマル」は現在、脊髄小脳変性症を対象として台湾で臨床第II相試験が行われ、米国でも臨床第II相試験の準備が進められている。脊髄小脳変性症は、小脳や脳幹、脊髄の神経細胞が変性してしまうことにより、徐々に歩行障害や嚥下障害などの運動失調を引き起こす希少疾患で、国内での患者数は約3万人で難病指定されている。根治療法はまだ存在せず、米国でもFDA(米国食品医薬品局)によりオーファンドラッグに指定されている。「ステムカイマル」を静脈注射により投与することで、神経細胞の変性進行が抑制される効果が動物実験において確認されており、症状の悪化を防ぐことを目的とした治療薬となる。治療代は薬価次第ではあるものの数百万円程度が想定される。

今後のスケジュールとしては、約1年かけて日本の法規制に適合した製品の研究開発を行い、2017年度内に治験申請の提出及び承認を目指していく。臨床第I/IIa相試験を2年程度かけて行い、2020年頃を目途に条件・期限付き早期承認制度を活用して承認を得て、条件付きでの販売を開始し、並行して第IIb/III相臨床試験を行い、2023年頃を目途に最終的な承認を目指していく。本契約に当たって、同社はステミネントに1億円の出資を行い、今後のマイルストーンでの支払額として合計4億円(条件・期限承認取得時、最終承認取得時)と治験費用を予定しており、収益化の時期としては2021年度以降を見込んでいる。

なお、「ステムカイマル」は脊髄小脳変性症以外にも、アルツハイマー病やパーキンソン病等の神経変性疾患や、変形性関節症などその他のパイプラインでの開発も進められており、同社は他の疾患を対象とした開発の優先交渉権も獲得している。なお、開発で使用する「ステムカイマル」は台湾から輸入する格好となる。

同社では今回の「ステムカイマル」の開発によって得られるノウハウを持って、将来的にはヒトiPS細胞を使った細胞医薬品の開発を進めていく方針であり、今後の開発動向が注目される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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