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ハイアス Research Memo(2):業界のイノベーションを先導し、住宅不動産の資産価値の維持・向上を目指す

注目トピックス 日本株
■会社概要

1. 沿革
ハイアス・アンド・カンパニー<6192>は、大手経営コンサルティング会社を前職とする社長が、前職時代の住宅産業界での経験を生かして、住宅関連に特化したコンサルティング会社として2005年に創業された。

同社の使命は、「個人が住宅不動産を納得し安心して取得(購入)、居住(運用)、住替(売却)できる環境をつくること。住宅取得が個人の資産形成に直結する社会の実現。」とし、企業理念に以下の3項目を挙げている。

(1) 個人最大の資産は「住宅」、この事実を深く受け止め、資産価値を守る方法を創造していきます。
(2) 将来のリスクをより小さくする、新しい住宅不動産資産の取得方法を創造していきます。
(3) 不可逆となってきた住宅不動産業界のイノベーションを先導する企業を目指します。

同社の企業理念の背景には、日本の「住宅・宅地」資産の価値が20年〜30年で毀損し、住宅購入するとほとんどの場合で、「売却額−ローン元本残債」がマイナスになるという実態がある。それに比べて欧米の場合は、その住宅のロケーションとしての価値や修繕・改築などを加えた付加価値によって、住宅・宅地の価値が上昇する場合が多くみられる。同社は、日本における個人資産の約7割を占める住宅不動産の資産価値の維持・向上を図り、そのために住宅・不動産業界のイノベーションを先導することを目指している。

2. 事業内容
同社は、地域の中小企業(建設業者、工務店、不動産仲介業者など)を会員組織としてネットワーク化を図り、これらの会員企業に対して、同社の2本柱となるパッケージソリューションを提供するという事業を展開している。それは、業態転換の必要性を持つ企業には「ビジネスモデルパッケージ」を、経営(事業)におけるプロセスや機能の効率化が必要な企業には「経営効率化パッケージ」をというように、それぞれの企業の状況に応じて最適なソリューションを提供するというものである。同社のパッケージはIT系ベンダーが提供するパッケージソフトのようなものにとどまらない。勿論、同様のサービスをクラウドサービスとしても提供するが、建材などのハードウェアも含み、工法技術や売り方・経営管理手法などのノウハウの提供・教育など、顧客である建設業者・工務店などが求めるビジネスモデル全体を提供するものである。

さらに、一般消費者向けに、連結子会社(株)ansを通じて、住宅購入に必要な情報を提供する住宅購入支援のサービスを行っている。会員企業数は2016年10月末現在で1,263社、専門工務店・工務店・不動産会社などである。

連結子会社は、上記ansと、地盤保証サービスその他住宅不動産の資産価値を保全するサービスの提供を行う一般社団法人住宅不動産資産価値保全保証協会と、不動産相続に関するコンサルタント事業を展開する(株)K-コンサルティング、及び2017年1月に株式を追加取得して子会社化した、R+houseの部材供給を行う(株)アール・プラス・マテリアルの4社である。

同社は不動産市場における企業・一般消費者を顧客としているが、一般の不動産事業会社のように好不況の波の影響を受けることはあまりない。顧客である企業・一般消費者は好不況の波によって、設備投資や消費購買を調整するが、同社はコンサルティング事業であり、むしろ顧客企業・一般消費者からの不況時における相談がビジネスチャンスにつながる場合もある。また、豊富に取りそろえたパッケージソリューションが、企業・一般消費者のそれぞれのライフサイクルに応じたニーズに対応することで継続的な事業拡大が期待できる。

(1) パッケージソリューション・サービス
同社のパッケージソリューションは、ビジネスモデルパッケージと経営効率化パッケージの2つに大別できる。さらに、顧客企業や個人ユーザーのニーズに応じて、様々なデザインハウス、建築工法、経営管理手法などの商品・ソリューションを取りそろえている。

以下、各パッケージソリューションを紹介する。(各商品・ソリューション名の後の年次は該当商品・ソリューションのリリース年)

a) ビジネスモデルパッケージ
住環境に関わる快適性能を追求する「技術+性能部材提供+教育+代行」などのノウハウやサービスを提供する。

1) R+house(2009年)
建築家とつくる高性能な住宅を手の届く価格で実現する住宅事業。価格帯は1,800万円〜2,000万円で、現在の同社の主力商品。
2) WILL STYLE(2009年)
狭小敷地でも収益住宅を可能にする賃貸用一戸建建設事業
3) HySPEED(2007年)
環境に優しく液状化にも強い自然砕石を利用した締固め工法事業
4) TIGHT=MOLD(2011年)
高い生産性と施工精度を実現する基礎断熱工法事業
5) ecol'oeuf(2013年)
高性能住宅を適正価格で提供する規格型住宅事業
6) ハウス・イン・ハウス(2014年)
非破壊・短工期・安心価格で健康な生活を実現する省エネ・断熱リフォーム事業
7) DECOS DRY(2006年)
セルロースファイバー断熱材を利用した乾式吹き込み型断熱工法事業
8) トチスマ(2014年)
中立な立場から支援する不動産売買仲介サービス
9) ADM(2015年)
高い機能と高いデザイン性を兼ね備えた規格住宅。R+houseに続く同社の新主力商品。価格帯は1,400万円〜1,800万円。

b) 経営効率化パッケージ
顧客企業の経営効率化のため、ビジネスプロセス機能に関わる「ASPシステム+教育」などのサービスを提供する。

1) BUILD MASTER(2011年)
入力代行サービス付きの住宅履歴情報クラウド型管理システム
2) リライフクラブ(2008年)
ライフプラン相談力を高めて住宅取得検討者の信頼と営業機会の獲得を支援するネットワーク、及び住宅購入の投資判断を支援するネットワーク
3) ハイアークラブ(2006年)
家計資産の中心である不動産資産の活用提案力と相続相談力を高めるシステム
4) CMS(2014年)
経営者自らで適時粗利管理ができるマスター管理不要の原価管理システム
5) AMS(2012年)
地域最大級の物件情報の集約と高い営業生産性を実現するシステム
6) ハイアス家価値サポート(2016年)
業界初設備延長保証とメンテナンスサービスの提供で生涯顧客化を実現するサービス

(2) 主力商材 R+house
同社は、「R+house」は、デザイン、性能、コストの面で競合優位性を持つとしている。まずデザイン面では、約80名の建築家ネットワークを保有し、建築家の高いデザイン性をもつ。性能面では、2020年に義務化される、高気密・高断熱・高耐久の省エネ基準を大幅にクリアし、標準でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準対応している。そしてコスト面では、Web受発注システムによりメーカー工場出荷価格での直取引で部材調達しコストダウンしている。

また、「R+house」の受注数は、市場全体の新築住宅着工数が減少傾向にある中で、順調に拡大しており、2017年4月期予測で1,001戸となっている。会員企業数も2017年4月期の上期実績で223社と増加しており、今後とも同社の主力商品として売上拡大に貢献するだろう。競合としては、全国的には大手ハウスメーカー、ローカルでは地元のトップビルダーだが、同等の価格帯ではデザイン・性能などで競合優位性を持つとしている。

「R+house」の会員数を都道府県別エリア充足率(不動産市場で言う「エリア」数に対して、会員企業がカバーする比率)で見ると、全国では5割を超過したとしている。西高東低で、首都圏などの大都市圏と北日本で比較的低い状況がうかがえるが、大都市圏はエリアの絶対数が多く大手ハウスメーカーを含めた競合が多いこと、北日本は東日本大震災の影響と住宅仕様の違い(壁の厚みなど)で進出が遅れていること、などによる。今後は、大都市圏や北日本でも徐々に対応を推進していくとしている。

(3) 新規施策
同社は、2017年4月期における新規施策として、「ADM(アーキテクチャル・デザイナーズ・マーケット)」と「不動産相続の相談窓口」の2つの商材をリリースした。

a) ADM(アーキテクチャル・デザイナーズ・マーケット)
「R+house」の関連商材の規格住宅商材として2016年9月に一般募集を開始した。「R+house」の価格帯が1,800万円〜2,000万円であるのに対して、「ADM」は1,400万円〜1,800万円と、ボリュームの大きい低予算のエンドユーザー向けに対応しており、デザイン性も高く「R+house」に続く第2の主力商材として期待されている。募集開始以来、会員数も順調に伸びている。

b) 不動産相続の相談窓口
高齢者層が保有する家計資産の移転が進むことにより、今後ますます活性化する相続市場向けの商材として、2016年10月に提供を開始した。相続を切り口にして、地域の不動産資産の承継、活用(仲介買取、リフォーム、など)といった幅広い不動産ビジネスを展開する。こちらも、加盟数は堅調に増加している。

c) クラウドファンディング、民泊に関するビジネス検討
まだ詳細の公表はしていないが、不動産法規制上の認可を待ち、戸建賃貸に関する出資をクラウドファンディング活用で行う仕組みや、住宅建築と民泊を合わせて実現させる資産形成を提案する街づくりプランを検討中である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田 秀樹)



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