サムティ Research Memo(7):地方大都市圏でも開発を拡大させ、中長期的な安定拡大を目指す
[17/02/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
1. 中長期経営計画
サムティ<3244>は、2016年11月期から新たな中長期経営計画をスタートしている。前回の中長期経営計画が外部環境(日銀による追加金融緩和、インバウンド需要の拡大等)や内部環境(事業エリアの拡大、J-REIT事業への進出、東証1部への市場変更等)の変化により2期前倒しで達成できる見通しとなったことから、2018年11月期の計画を増額修正するとともに、新たに2020年11月期の計画を設定した。2020年11月期の目標として、売上高1,000億円水準、経常利益100億円水準を目指している。
2. 今後の方向性とその進捗
同社は今後の成長戦略として、(1) SRR を中心としたビジネスモデルの構築、(2) 地方大都市圏における戦略的投資、(3) ホテル開発事業の展開の3つの軸を掲げている。また、財務目標として、資本効率の維持と財務基盤の確立を目指す。
(1) SRR を中心としたビジネスモデルの構築
順調に立ち上がったSRRを中心として、仕入、開発、賃貸、販売、販売後のフィー収入までの一気通貫型のビジネスモデルをさらに進化させる方針である。具体的には、開発物件をSRR向けに優先的に供給するとともに、供給後のアセットマネジメントやプロパティマネジメント業務を受託することにより安定的なフィービジネスの確立を目指すものである。すなわち、SRRの成長を同社の成長に結び付ける戦略と言える。前期末現在、SRRへの供給検討物件(ウェアハウジング)として、全国の政令指定都市を中心に10物件(760戸)を保有している。今後2年から3年をかけてSRRの資産規模1,000億円の実現に向けて物件供給を進めていくとともに、安定的なアセットマネジメント手数料を拡大する方針である。
(2) 地方大都市圏における戦略的投資
2016年11月期から2020年11月期までの5年間における総投資額として約3,000億円を計画している。具体的な施策としては以下のとおりである。2016年11月期の仕入れ実績は約395億円(開発用地及び収益不動産)、2017年11月期計画では約553億円を予定しており、今後さらに投資ペースを加速する方針とみられる。
a) 開発エリアの拡大
これまで首都圏及び関西圏を中心としてきたが、北海道や中部、九州等、各支店エリアにも開発エリアを拡大する。
b) 開発アセットの多様化
アコモデーションアセット(賃貸住宅、ホテル及びヘルスケア施設等の賃貸住宅周辺領域の不動産) を対象としているSRRは、ホテルの組み入れも可能(保有資産残高の20%まで)となっており、各支店エリアを中心としてホテル開発にも積極的に取り組む。
c) 収益不動産や再生不動産については、地方大都市圏の利回りの高い物件の発掘に取り組むとともに、回転を効かせることでキャッシュフローを確保する。
(3) ホテル開発事業の展開
前述した総投資額約3,000億円のうち、約530億円についてはホテル開発事業(土地+建築費)に投資する計画である。具体的には、北海道エリアに50億円(2棟から3棟)、首都圏に190億円(10棟程度)、中部圏に50億円(2棟から3棟)、関西圏に130億円(5棟から6棟)、九州圏に110億円(5棟程度)を予定している。「S-PERIAホテル」を新たなブランド名として展開するとともに、ビジネス及びインバウンドの両方の需要を取り込む方針である。前期は、前述のとおり、福岡をはじめ数物件の用地を確保した。ただ、ホテル開発事業への投資については、地域によって物件を厳選の上、慎重に進める構えとしている。
(4) 財務戦略
一定の財務健全性を保持しつつ、持続的な成長を実現する方針である。具体的には、2020年11月期における自己資本比率30%以上を目指す一方、ROE15%以上、ROA7%以上の資本効率を維持する。また、有利子負債コストの削減やネットD/Eレシオ2.0倍以下についても目標に掲げている。
(5) その他
海外事業への進出についても取り組む。その一環として2016年9月には、ベトナムの主要都市ホーチミンにて不動産開発・賃貸事業を営む不動産会社を投資ターゲットとするファンドへの出資(500万米ドル)を行った。本件を海外事業の足掛かりとし、高い成長が期待できるASEAN諸国を中心に現地法人等との共同開発や賃貸用不動産の購入・保有、さらには海外支店または子会社の開設を視野に入れ、更なる海外事業展開の拡大を図っていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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1. 中長期経営計画
サムティ<3244>は、2016年11月期から新たな中長期経営計画をスタートしている。前回の中長期経営計画が外部環境(日銀による追加金融緩和、インバウンド需要の拡大等)や内部環境(事業エリアの拡大、J-REIT事業への進出、東証1部への市場変更等)の変化により2期前倒しで達成できる見通しとなったことから、2018年11月期の計画を増額修正するとともに、新たに2020年11月期の計画を設定した。2020年11月期の目標として、売上高1,000億円水準、経常利益100億円水準を目指している。
2. 今後の方向性とその進捗
同社は今後の成長戦略として、(1) SRR を中心としたビジネスモデルの構築、(2) 地方大都市圏における戦略的投資、(3) ホテル開発事業の展開の3つの軸を掲げている。また、財務目標として、資本効率の維持と財務基盤の確立を目指す。
(1) SRR を中心としたビジネスモデルの構築
順調に立ち上がったSRRを中心として、仕入、開発、賃貸、販売、販売後のフィー収入までの一気通貫型のビジネスモデルをさらに進化させる方針である。具体的には、開発物件をSRR向けに優先的に供給するとともに、供給後のアセットマネジメントやプロパティマネジメント業務を受託することにより安定的なフィービジネスの確立を目指すものである。すなわち、SRRの成長を同社の成長に結び付ける戦略と言える。前期末現在、SRRへの供給検討物件(ウェアハウジング)として、全国の政令指定都市を中心に10物件(760戸)を保有している。今後2年から3年をかけてSRRの資産規模1,000億円の実現に向けて物件供給を進めていくとともに、安定的なアセットマネジメント手数料を拡大する方針である。
(2) 地方大都市圏における戦略的投資
2016年11月期から2020年11月期までの5年間における総投資額として約3,000億円を計画している。具体的な施策としては以下のとおりである。2016年11月期の仕入れ実績は約395億円(開発用地及び収益不動産)、2017年11月期計画では約553億円を予定しており、今後さらに投資ペースを加速する方針とみられる。
a) 開発エリアの拡大
これまで首都圏及び関西圏を中心としてきたが、北海道や中部、九州等、各支店エリアにも開発エリアを拡大する。
b) 開発アセットの多様化
アコモデーションアセット(賃貸住宅、ホテル及びヘルスケア施設等の賃貸住宅周辺領域の不動産) を対象としているSRRは、ホテルの組み入れも可能(保有資産残高の20%まで)となっており、各支店エリアを中心としてホテル開発にも積極的に取り組む。
c) 収益不動産や再生不動産については、地方大都市圏の利回りの高い物件の発掘に取り組むとともに、回転を効かせることでキャッシュフローを確保する。
(3) ホテル開発事業の展開
前述した総投資額約3,000億円のうち、約530億円についてはホテル開発事業(土地+建築費)に投資する計画である。具体的には、北海道エリアに50億円(2棟から3棟)、首都圏に190億円(10棟程度)、中部圏に50億円(2棟から3棟)、関西圏に130億円(5棟から6棟)、九州圏に110億円(5棟程度)を予定している。「S-PERIAホテル」を新たなブランド名として展開するとともに、ビジネス及びインバウンドの両方の需要を取り込む方針である。前期は、前述のとおり、福岡をはじめ数物件の用地を確保した。ただ、ホテル開発事業への投資については、地域によって物件を厳選の上、慎重に進める構えとしている。
(4) 財務戦略
一定の財務健全性を保持しつつ、持続的な成長を実現する方針である。具体的には、2020年11月期における自己資本比率30%以上を目指す一方、ROE15%以上、ROA7%以上の資本効率を維持する。また、有利子負債コストの削減やネットD/Eレシオ2.0倍以下についても目標に掲げている。
(5) その他
海外事業への進出についても取り組む。その一環として2016年9月には、ベトナムの主要都市ホーチミンにて不動産開発・賃貸事業を営む不動産会社を投資ターゲットとするファンドへの出資(500万米ドル)を行った。本件を海外事業の足掛かりとし、高い成長が期待できるASEAN諸国を中心に現地法人等との共同開発や賃貸用不動産の購入・保有、さらには海外支店または子会社の開設を視野に入れ、更なる海外事業展開の拡大を図っていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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