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イード Research Memo(2):CMP事業とCMS事業を有する

注目トピックス 日本株
■会社・事業概要

1. 会社概要
イード<6038>はコンテンツマーケティング企業で、コンテンツマーケティングプラットフォーム事業とコンテンツマーケティングソリューション事業を有する。もともとは、2000年に(株)インターネット総合研究所の100%子会社として設立され、株式会社アイ・アール・アイ コマースアンドテクノロジー(以下、IRI-CT)として事業を開始した。IRI-CTのWebメディアを通じてカテゴライズされたユーザーの獲得力と、マーケティングリサーチの融合を目指して、旧(株)イードを吸収合併、IRI-CTの商号を「株式会社イード」と改称した。

2. セグメント
同社は、コンテンツマーケティングプラットフォーム事業(CMP事業)とコンテンツマーケティングソリューション事業(CMS事業)から構成される。2017年6月期第2四半期累計業績の連結売上高においては、CMP事業は83.2%、CMS事業が16.8%だった一方で、セグメント利益では、CMP事業が63.6%、CMS事業が36.4%とCMS事業の構成比が高くなっている。CMP事業がクライアント企業をCMS事業に紹介し、CMS事業がCMP事業にソリューションの提供をするなど、連携を取っている。

(1) コンテンツマーケティングプラットフォーム事業(CMP事業)
Webメディア・コンテンツを運営しながら、顧客企業に対してインターネット広告・データコンテンツを提供している。具体的には、BtoCでは無料で提供しているが、BtoBにおいて広告・eコマースで課金する仕組み。同社が運営しているWebメディア・コンテンツは20ジャンル46サイトに及び、情報・通信、自動車・関連品からファッション・アクセサリーまで幅広い業種に展開している。

(2) コンテンツマーケティングソリューション事業(CMS事業)
顧客企業に対してリサーチソリューションとECソリューションを提供する。リサーチソリューションでは、大規模な定量調査から生活者個人に対する定性調査まで提供しており、マーケティングリサーチ、デザイン関連リサーチ、ユーザビリティ/人間中心設計、海外リサーチをメニューとして取りそろえている。実際のリサーチには、高度なネットリサーチからリアルな行動観察まで幅広い分野をカバーしている。ECソリューションでは、BtoC向けのECサイトを構築支援するシステムを中心に展開しており、デザインの自由度、外部システムとの連携、スマートフォンなどのスマートデバイス対応などの機能強化を提供している。

3. 特徴と強み
(1) 「iid-CMP」
同社は、CMP事業において数多くのWebメディアやコンテンツを運営しているが、それをうまく運用できている肝となっているのが、iid-CMPというWebメディア及びコンテンツを管理・配信するためのシステムである。集客機能(SEO施策、SNS対応、Webページ高速表示、スマートフォンを含めた最適なユーザビリティ、ユーザーエクスペリエンス、「オススメ記事」設定、ユーザーのリピーター化)、ローコストオペレーションノウハウ(システムの共同利用・CPUリソース分散機能、ポータルサイトへのニュース記事提供フォーマット共有化、最適なネットワーク広告・アフィリエイト広告の共同運用、記事交換機能)、データベースへの蓄積(コンテンツにより取得したビッグデータ管理)、コンテンツマネジメント機能(ニュース記事・ニュース写真投稿、文章校正・類似度チェック)を有する。これらの機能により売上を拡大するのはもちろんのこと、コストの最適化、データ管理、編集効率化が可能となっている。実例を挙げると、iid-CMPへの移行により、M&Aによって取得した「シネマカフェ」のページビュー(PV)は12ヶ月で1.8倍、オウンド・メディアの「FASHION HEADLINE」は同12.1倍、新規事業開発の「リセマム」は同22.0倍と、際立った成果を示している。

(2) M&Aによる取得とその効果
M&AによるWebメディア等の取得は積極的に行っている。経営陣のこれまでの人的ネットワークが主な情報入手ルートで、常時5サイト程度検討しているようだ。基本5年の投資回収期間の適用を行っている。なお、2年以内の黒字化を徹底しており、これまですべて達成している(撤退サイトはすべてビジネス相手先都合がほとんど)。38サイトの取得総額は10億5,089万円(内訳は、事業取得総額3億6,009万円、出資総額6億9,080万円で撤退サイトを含む)で、1サイト平均2,765万円で取得した計算になる。38サイトの平均年間売上高は6,871万円で、営業利益は1,028万円と投資収益率を考えても高水準となっている。

4. 事業リスク
同社は、広告・マーケティング収入への依存、インターネット業界への対応、検索エンジンへの対応、M&Aにおけるリスク、ニュース記事の第三者の権利侵害やサービスの特許侵害等、法令に係るリスク、競合他社や類似Webメディアとの競争激化や大手企業の参入、システム障害などをリスクとして挙げている。他社のキュレーションサイトにおいて発生した問題が記憶に新しいが、同社のWebメディアの運営には取材活動を中心とした旧来型の出版業界の手法を採用していたこともあり、問題となったキュレーションサイトで見られたようなリスクはないと確認している。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



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