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テックファーム Research Memo(2):システム開発と自動車アフターマーケット向け業務支援システムが両輪

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. 会社概要
テックファームホールディングス<3625>はモバイル関連のアプリケーションやミドルウエアなどの受託開発から、保守・運用、分析、コンサルティングまでを手掛けるテックファーム(1991年設立)を中心に、米国カジノ向け電子決済サービス事業を進めるPSI(2014年設立)、自動車アフターマーケット向け業務支援システムを展開しているEBE(2015年3月子会社化)を傘下に置く持株会社である。また2016年11月には、住宅リフォーム支援事業への進出を目的に、建築・不動産事業を営む(株)三輝と合弁で(株)サンキテックを設立(出資比率14%)している。サンキテックについても、いずれは子会社化する予定となっている。

現在の事業構造としては、テックファームのソフトウエア受託開発(SI)事業を安定基盤とし、各社で展開する自社サービス事業を今後の成長基盤と位置付けている。自社サービスの開発リソースについては、テックファームが技術力を提供する格好となっている。

2. 事業内容
事業セグメントはソフトウエア受託開発事業と自動車アフターマーケット事業の2つに区分されており、ソフトウエア受託開発事業にテックファームとPSIが、自動車アフターマーケット事業にEBEが含まれている。各子会社の事業内容と特徴は以下のとおり。

(1) テックファーム
テックファームの強みは、システム開発から保守・運用、コンサルティングまでワンストップでサービスを提供できる点にある。とりわけモバイル分野での知見が深く、顧客企業が求める様々なニーズに対応できるシステム開発力や、無線通信分野における高い技術開発力を有していることが特徴だ。顧客数は現在160〜200社程度で、このうち上位20社で売上高の約80%を占める。主力顧客はNTTドコモ<9437>で、2017年6月期第2四半期累計期間における同事業セグメントの売上構成比の約28%を占めている。

また、2014年に(株)ミライトと共同開発したタブレット端末を用いたホテル客室向け情報配信サービス「ee-TaB*(イータブ・プラス)※」事業を展開している。同事業はストック型ビジネスモデルとなり、2016年12月末時点で国内13ヶ所のホテル、客室数で約2,200室に導入されている。売上規模としてはまだ年間で数千万円程度と軽微なものの、今後は同様のビジネスモデルをホテル以外の業界に独自で横展開していく計画となっている。

※ホテルや旅館の客室にタブレット端末を設置し、多言語コンテンツを配信するサービス。

(2) PSI
PSIは、米国カジノ市場向けモバイル電子決済サービスの事業開発・運営を目的に、2014年3月に100%子会社として設立された。2016年9月には米国のカジノゲーミング業界の展示会「Global Gaming Expo」で、同社と日本金銭機械<6418>の米国子会社及び、ゲーム機、ATM端末の大手メーカーである米国Everi Holdings Inc.(以下、Everi)の3社で共同出展している。2015年のデモソリューションに加えて、今回はテックファームが開発したビーコンプラットフォームを追加し、カジノフロア内における飲食店向けマーケティングソリューションとしての提案も行っている。また2016年12月には、カジノゲーム機用チケット印刷機で最大手となるTransactと2017年春よりカジノゲーミング向けソリューションの開発について協業していくことを発表している。

現状は、カリフォルニア州のローカルカジノにおいてフィールドテストを2017年6月までに開始すべく、現地レギュレーター(規制等を定めるカジノ協会)と交渉を進めている段階にある。

(3) EBE
EBEは2015年3月に株式取得(出資比率67.5%)により子会社化した企業で、自動車アフターマーケット向けに特化した業務支援ソフトの開発・販売、及び保守・コンサルティングサービスを展開している。主要顧客は自動車整備業者や鈑金業者などで、その他にガラス・部品卸業者や中古自動車販売業者なども顧客対象としている。現在の顧客数は約1,100社に上る。

自動車アフターマーケットでは、過去に販売された自動車の膨大な部品データ(種類や価格など)をベースに、部品交換や修理等の整備コスト、あるいは中古車の販売価格の見積もり等を行っているが、同社ではこれら部品をデータベース化して見積もり作業を効率化する業務支援ソフトの開発・販売を行っている。競合はブロードリーフ<3673>、(株)タジマ、ディーアイシージャパン(株)などで、同社は業界3位グループに位置するが、テックファームグループに入ったことで信用力が向上し、従来よりも取り扱えるデータ量が格段に増えた。これにより、製品競争力が強化され、新規顧客の開拓が進んでいる。今後も、テックファームが持つモバイル関連のシステム開発技術と融合することで利便性の高いソフトやソリューションサービスを開発して行く予定で、事業規模をさらに拡大していく戦略となっている。

なお、株式取得に伴って発生したのれんは1,007百万円となり、年間で80百万円ののれん償却が発生(12年定額償却)する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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