オンコリスバイ Research Memo(1):テロメライシンの治験を推進、2018年以降のライセンス契約締結目指す
[17/03/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
オンコリスバイオファーマ<4588>は、腫瘍溶解ウイルスによる新規がん治療薬や新規がん検査薬の開発を目的に2004年に設立されたバイオベンチャー。開発した医薬品候補のライセンス契約から発生する「契約一時金収入、開発進展に伴うマイルストーン収入と上市後のロイヤリティ収入等」を獲得する医薬品事業と、医薬品事業と同様のライセンス収入と製薬会社・検査会社・医療機関にウイルス製剤検査薬を販売して収入を獲得する検査事業を展開する。開発品の上市実績はまだなく、開発ステージの企業となる。
1. メラノーマ、食道がんを対象とした治験を2017年に開始
同社は主要パイプラインであるテロメライシンの臨床試験を日米で進めている。国内では食道がんを対象に放射線治療との併用による第1相臨床試験、及びチェックポイント阻害剤との併用による第1/2相の医師主導臨床試験を実施する予定となっている。2017年3月に放射線治療を併用した第1相臨床試験の治験計画届をPMDAに提出した。一方、米国ではメラノーマを対象とした第2相臨床試験計画届を2016年8月にFDAに提出し、現在は第1例目の投与に向けた準備を進めている段階にある。順調に進めば2018年前半にも中間解析を実施し、結果が良ければライセンス交渉を進め、2018年内の契約締結を目指していく。また、2016年に中国の江蘇恒瑞医薬股フン有限公司(フンは人偏に分)(以下、ハンルイ)と、中国・マカオ・香港市場を対象とした独占的ライセンス契約を締結した。同社では、ハンルイに対して現在、テロメライシンの製造技術移転を進めており、今後、中国でも臨床試験が始まる見通しだ。
2. その他パイプラインの開発動向
がん治療薬として開発を進めているOBP-801については、新たに眼科領域でのプロジェクトを進めている。京都府立医科大学と共同研究契約を締結し、緑内障手術後の眼圧再上昇を抑制する薬としての開発を進めていく。現在は、動物モデルでの試験を行っており、今夏頃には結果が判明する見通しとなっている。また、2015年より鹿児島大学と共同研究を進めてきた新規B型肝炎治療薬候補となる化合物候補も絞り込みが進み、2017年は動物モデルでの試験を実施し、2018年以降に米国での臨床試験開始を目指している。一方、テロメスキャンに関しては、CTC(血中循環がん細胞)検査薬としてだけでなく、新たにPTC※検査薬としての開発を進めていく計画で、2017年中にも国内で胃がんの臨床試験の開始を目指している。
※患者の腹腔洗浄液から検出されるがん細胞
3. 業績動向
2016年12月期の業績は、売上高で前期比47.0%増の178百万円、営業損失で861百万円(前期は951百万円の損失)となった。ライセンス契約一時金やマイルストーン収入の増加により増収となったものの、固定費や開発費負担により損失が続いている。2017年12月期は売上高で前期比12.2%増の200百万円、営業損失で1,400百万円を見込む。売上高はマイルストーン収入の増加等により増収となるが、研究開発費が臨床試験の開始に伴い前期の360百万円から700百万円に増加するほか、特許関連費用で200百万円の支出を見込んでいる。研究開発費は2018年12月期も700〜800百万円程度が見込まれているが、仮にテロメライシンのライセンス契約が締結できれば黒字に転じる見通しだ。
■Key Points
・ウイルス製剤を用いた医薬品事業及び検査薬事業を展開
・治験費用の増加により2017年12月期は損失額が拡大見込み
・食道がん向けは将来的には対象領域を拡大し、米国での展開も目指していく
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<TN>
オンコリスバイオファーマ<4588>は、腫瘍溶解ウイルスによる新規がん治療薬や新規がん検査薬の開発を目的に2004年に設立されたバイオベンチャー。開発した医薬品候補のライセンス契約から発生する「契約一時金収入、開発進展に伴うマイルストーン収入と上市後のロイヤリティ収入等」を獲得する医薬品事業と、医薬品事業と同様のライセンス収入と製薬会社・検査会社・医療機関にウイルス製剤検査薬を販売して収入を獲得する検査事業を展開する。開発品の上市実績はまだなく、開発ステージの企業となる。
1. メラノーマ、食道がんを対象とした治験を2017年に開始
同社は主要パイプラインであるテロメライシンの臨床試験を日米で進めている。国内では食道がんを対象に放射線治療との併用による第1相臨床試験、及びチェックポイント阻害剤との併用による第1/2相の医師主導臨床試験を実施する予定となっている。2017年3月に放射線治療を併用した第1相臨床試験の治験計画届をPMDAに提出した。一方、米国ではメラノーマを対象とした第2相臨床試験計画届を2016年8月にFDAに提出し、現在は第1例目の投与に向けた準備を進めている段階にある。順調に進めば2018年前半にも中間解析を実施し、結果が良ければライセンス交渉を進め、2018年内の契約締結を目指していく。また、2016年に中国の江蘇恒瑞医薬股フン有限公司(フンは人偏に分)(以下、ハンルイ)と、中国・マカオ・香港市場を対象とした独占的ライセンス契約を締結した。同社では、ハンルイに対して現在、テロメライシンの製造技術移転を進めており、今後、中国でも臨床試験が始まる見通しだ。
2. その他パイプラインの開発動向
がん治療薬として開発を進めているOBP-801については、新たに眼科領域でのプロジェクトを進めている。京都府立医科大学と共同研究契約を締結し、緑内障手術後の眼圧再上昇を抑制する薬としての開発を進めていく。現在は、動物モデルでの試験を行っており、今夏頃には結果が判明する見通しとなっている。また、2015年より鹿児島大学と共同研究を進めてきた新規B型肝炎治療薬候補となる化合物候補も絞り込みが進み、2017年は動物モデルでの試験を実施し、2018年以降に米国での臨床試験開始を目指している。一方、テロメスキャンに関しては、CTC(血中循環がん細胞)検査薬としてだけでなく、新たにPTC※検査薬としての開発を進めていく計画で、2017年中にも国内で胃がんの臨床試験の開始を目指している。
※患者の腹腔洗浄液から検出されるがん細胞
3. 業績動向
2016年12月期の業績は、売上高で前期比47.0%増の178百万円、営業損失で861百万円(前期は951百万円の損失)となった。ライセンス契約一時金やマイルストーン収入の増加により増収となったものの、固定費や開発費負担により損失が続いている。2017年12月期は売上高で前期比12.2%増の200百万円、営業損失で1,400百万円を見込む。売上高はマイルストーン収入の増加等により増収となるが、研究開発費が臨床試験の開始に伴い前期の360百万円から700百万円に増加するほか、特許関連費用で200百万円の支出を見込んでいる。研究開発費は2018年12月期も700〜800百万円程度が見込まれているが、仮にテロメライシンのライセンス契約が締結できれば黒字に転じる見通しだ。
■Key Points
・ウイルス製剤を用いた医薬品事業及び検査薬事業を展開
・治験費用の増加により2017年12月期は損失額が拡大見込み
・食道がん向けは将来的には対象領域を拡大し、米国での展開も目指していく
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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