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ケネディクス Research Memo(8):J-REITは拡大基調で推移

注目トピックス 日本株
■ケネディクス<4321>の業界環境

1. 不動産投資ファンド市場の動き
(株)三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、2016年6月末のJ-REIT、私募ファンドを合わせた市場規模(運用資産額ベース)は約30.3兆円となっている。過去からの推移を見ると、J-REITはリーマン・ショック以降、伸び悩みが見られたものの、2013年から拡大基調で推移している。また、私募ファンドについても保有物件の売却を進めたことなどから縮小傾向をたどってきたが、足元では4年ぶりに増加に転じている。物件売却の一巡やマイナス金利政策によりエクイティ投資家の不動産への投資意欲が高まったことが要因として挙げられる。都内の不動産マーケットでは物件取得が困難な状況が続いており、私募ファンド市場の見通しには不透明感も漂うが、いかに適正価格で物件を取得できるかがポイントとなっている。一方、東証REIT指数については、年前半がマイナス金利政策などにより好調であったものの、年後半は長期金利の上昇などの影響によりやや軟調に推移する局面もあった。ただ、J-REITの銘柄数は順調に増えており、2016年12月末で57銘柄(そのうち、2016年の新規7銘柄)となっている。J-REITへの資金流入額も、日銀による買入れ(887億円)を含めて年間4,700億円の高い水準を確保しており、年末残高は過去最高の3兆9,951億円に達している。

2. 不動産投資環境
(1) オフィス市場
オフィスビル平均成約賃料は2013年にプラスに転じており、足元では高い水準で推移している。平均空室率も改善傾向にある。2017年も新規供給は比較的低水準であるため、空室率が大幅に悪化することはなさそうだ。ただ、2018年以降は3年連続で大規模な新規供給が予想されており、その影響を見守る必要がある。

(2) 住宅・物流施設市場
東京23区のマンション賃料総合指数は2015年にプラスに転じており上昇傾向が続いている。稼働率も高い水準で推移している。マンション供給戸数の増加に伴う需給バランスの緩和が懸念されるものの、都心への人口流入が続いており、特に高品質な賃貸住宅への需要は根強く、市況が大崩れする懸念はないだろう。

2016年の物流施設市場は過去最高の新規供給があったものの、結果的にそれを上回る新規需要により年末の空室率は前年末を下回って着地した。eコマース企業や物流企業に加え、店舗販売を主体とするアパレル企業などによるインターネット通販強化のための物流拠点の見直しなどが需要をけん引したもようである。2017年以降も大量供給が続く見通しであるが、先進的な物流施設への高い需要に支えられ、市場が大幅に悪化することはないとみられている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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