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イグニス Research Memo(3):17年9月期第1四半期は増収ながら減益となるもほぼ想定内

注目トピックス 日本株
■決算動向

1. 2017年9月期第1四半期決算
イグニス<3689>の2017年9月期第1四半期の業績は、売上高が前年同期比7.2%増の1,416百万円、営業利益が同63.7%減の148百万円、経常利益が同66.5%減の136百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同70.7%減の67百万円と増収ながら減益となった。

売上高は、「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)が継続的な安定運用により好調に推移したことに加えて、婚活サービス「with」(コミュニティ)が大きく拡大してきた。また、その他(メディア等)が伸びているのは、前年同期にはまだ立ち上がっていなかったビジネス情報メディア「U-NOTE」によるものである。一方、利益面では、積極的な事業投資により先行費用が増加したことで営業減益となった。新プロダクト開発や新規事業の開発に伴う研究開発費のほか、「with」を中心とした広告宣伝費の増加等が利益を圧迫した。ただ、今期は新規投資に合計15億円を予定しており想定内の動きとみてよいだろう。特に、研究開発費は、ネイティブゲーム(新タイトル)やVR関連などが中心となっているようだ。

財政状態については、総資産が「現金及び預金」や「営業貸付金」、「投資その他」の増加により5,679百万円(前期末比31.1%増)に増加したが、自己資本も新株予約権が行使(約18億円の資金調達)されたことにより4,197百万円(前期末比72.6%増)に拡大し、自己資本比率は73.9%(前期末は56.1%)に大きく改善している。したがって、資本増強を図りながら、成長に向けた事業投資及び手元資金を確保したと評価できる。なお、「営業貸付金」の増加(前期末比309百万円増)についても、事業投資としての側面が強いもののようだ。

2. 事業別の業績及び活動実績
(1) コミュニティの売上高は、前年同期比686.2%増の135百万円と大きく拡大した。前期第4四半期から本格的に立ち上げってきた婚活サービス「with」が、心理学及び統計学的アプローチによる差別化や積極的な広告宣伝の投入が奏功して足元でも順調に伸びている(前四半期比でも77.9%増)。国内SNSランキング(for iPhone)でも10位台前半にて定着してきた。

(2) ネイティブゲームの売上高は、前年同期比5.3%減の1,168百万円の減収となったが、消費税にかかる特殊要因※1を考慮すれば実質的には微増である。また、「進撃の巨人」とのコラボイベントなどにより、過去最高の売上高を更新した前期第4四半期との対比では13.4%減と縮小したものの、好調を持続していると評価してよいであろう。累計ダウンロード数は320万DLを突破し、国内アプリストア売上ランキング(for iPhone)でも10位を達成した。季節イベントや他社サービス、人気コンテンツ※2とのコラボレーションなどにより継続的な安定運用体制を実現している。

※1 決算上は前年同期比で98百万円の減収となっているが、今期よりネイティブゲームを手掛ける子会社が消費税の課税事業者となったことが影響している。したがって、その分を差し引けば、実態としては前年同期比で33百万円増の増収となっている。
※2 2016年11月には「七つの大罪 聖戦の予兆」とのコラボ企画を実施した。


(3) その他(メディア等)の売上高も、前年同期比57.9%増の112百万円と大きく拡大している。前年同期には立ち上がっていなかった「U-NOTE」の伸びが増収に寄与した。なお、その他の売上高の大半は「U-NOTE」(メディア)によるものだと推定される。したがって、裏を返せば、メディア以外の小規模アプリが大きく縮小したとの見方もできる。前期第4四半期との対比では9.8%減と減収になっているのも、小規模アプリの縮小が続いていることが要因である。

3. 新規事業の進捗
(1) VRは、2016年11月に新会社パルスを設立すると、2016年12月には順天堂大学教授(堀江氏、川戸氏)とのVR技術応用(認知症の防止・進行遅延効果の研究をVRコンテンツ開発に活用)に関する共同研究を開始した。また、他にも複数のプロジェクトが準備を進めている。

(2) ライフハックは、カーテン自動開閉機「めざましカーテンmornin’」の販売が順調に推移し累計の販売個数が16,000個を突破した。ただ、持分法による損益では3百万円程度の投資損失(営業外費用)となっていることから、まだ収益貢献できる規模には至っていないようである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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