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サイバリンクス Research Memo(8):売上高は中期経営計画数値を下回ったが、経常利益は超過達成

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2016年12月期決算
サイバーリンクス<3683>の2016年12月期業績は、売上高が前期比0.2%増の9,310百万円、営業利益が同20.8%減の582百万円、経常利益が同19.1%減の588百万円、当期純利益は同22.1%減の333百万円となった。経常利益の前期比増減要因は、M&A効果を含むサービス提供の拡大による流通クラウド分野の収入増が184百万円、前期における特需が今期に減少したことによる官公庁クラウド分野の収入減が98百万円、M&Aに伴う人件費及びのれん償却費等の増加とAI等のITクラウド事業における研究開発費の増加による販管費の増加により191百万円の減、モバイルネットワーク事業の利益率改善が14百万円の増、タイムスタンプにかかる全社研究開発費用等の増により47百万円の減に影響し経常利益588百万円で着地した。償却前経常利益は、前期比10.2%減の933百万円。

(1) セグメントの状況
セグメント別では、ITクラウド事業の売上高が前期比4.3%増の5,167百万円、 セグメント利益が同20.8%減の400百万円、モバイルネットワーク事業の売上高が同4.5%減の4,143百万円、セグメント利益が同3.5%増の432百万円、調整額245百万円のマイナス。ITクラウド事業では、前期に合併により取得したインターネットEDIサービス(BACREX)を含むクラウドサービスの提供拡大により、流通業向けクラウドサービス分野の売上高が増加、順調だったが、官公庁クラウド分野は、前期に医療情報連携プラットフォームにかかる開発案件や、法改正に伴う自治体向けシステム開発案件等を計上した反動が響き、ITクラウド事業は増収減益となった。モバイルネットワーク事業は、フィーチャーフォンの販売台数減少に加えて、スマートフォンの実質販売価格の見直し影響による来店客数の減少傾向が続き、携帯電話端末販売台数及び売上高は前期を下回る結果となった。しかしながら、応対品質向上や、NTTドコモが提供するブロードバンドサービス(ドコモ光)の獲得に注力することなどにより、売上高の減少を補い、セグメント利益段階では増益を確保した。

(2) 財務状態及びキャッシュ・フローの状況
2016年12月期末における総資産は前期末比で254百万円増加し5,419百万円となった。内訳を見ると、固定資産は前期末比350百万円増加した一方で、流動資産が同95百万円減少した。固定資産が増加した主因は、有形固定資産の同213百万円の増による。負債は同29百万円減の1,984百万円で、有利子負債が同50百万円減少し期末の有利子負債残高は552百万円となった。一方、純資産は当期純利益の計上などにより同284百万円増加し3,434百万円となった。期末の自己資本比率は62.9%で、前期末比2.1ポイント上昇した。

2016年12月期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末比5百万円減少の475百万円となった。各キャッシュ・フローの状況について見ると、営業活動によるキャッシュ・フローは763百万円の収入となった。その他70百万円の支出と負ののれん発生益12百万円が減少要因となったものの、税引当期純利益の558百万円の寄与があったほか、減価償却費279百万円、売上債権の減少額106百万円などが増加要因として働いたためだ。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出356百万円、無形固定資産の取得による支出271百万円、関係会社株式の取得による支出67百万円、事業譲受による支出62百万円、などにより714百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額63百万円のほか、長期借入金の返済による支出50百万円、短期借入金の純減額27百万円などで139百万円の支出となった。

2. 2017年12月期業績予想
同社の2017年12月期業績予想は、売上高が前期比5.3%増の9,800百万円、営業利益が同4.9%増の611百万円、経常利益が同8.8%増の640百万円、当期純利益が同15.9%増の387百万円。償却前経常利益は同23.5%増となる1,152百万円の見通し。定常収入比率は、前期比2.4ポイント上昇の42.8%を予想。中期経営計画対比では、売上高はモバイルネットワーク事業の売上高減少の影響でわずかに未達を見込むが、ITクラウド事業は順調に推移し、定常収入も計画を上回ると見込んでいる。

(1) ITクラウド事業
同社は、ITクラウド事業の2017年12月期業績を、売上高が前期比12.2%増の5,800百万円、経常利益が同11.5%増の447百万円を予想している。「@rms」次期バージョンを2017年にリリース予定、前期のM&Aに伴うユーザー拡大等の効果もあり、流通クラウド分野、官公庁クラウド分野とも増収増益の見通し。流通クラウド分野では、「@rms」次期バージョンをファーストユーザーに導入する効果のほか、下期にはカスタマイズにかかる売上げも計上、2016年12月期のM&Aによる新サービス追加による定常収入増を見込む。開発中の新サービス(C2Platform)の開発に注力、企業間連携認証基盤の確立とAI技術の応用に取り組む方針である。官公庁クラウド分野では、自治体システムの強靭性向上対応、自治体情報セキュリティクラウドサービス提供開始、防災関連サービスで奈良県に進出、新たに「統合住民サービス」の構築に着手する計画となっている。

(2) モバイルネットワーク事業
モバイルネットワーク事業の2017年12月期業績予想は、売上高が前期比3.5%減の4,000百万円、経常利益が同4.8%減の412百万円。実質販売価格の見直しの影響による来店客数減少に伴い、減収減益の見通しとなっている。岩出店の大型化により商品力強化とともに顧客満足度の向上を図るほか、引き続き、「ドコモ光」獲得と周辺商材の販売強化に取り組む。費用面では、店舗の大型化に伴い下期から償却費の負担を見込んでいる。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



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