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カンロ Research Memo(1):苦難の時を乗り越えて2021年12月期経常利益26億円に挑む

注目トピックス 日本株
■要約

カンロ<2216>は、飴やグミなどの製造販売を行うキャンディメーカー。創業は大正元年の1912年で、キャンディ業界の老舗と言える。1955年に発売開始したしょうゆを隠し味に使用したカンロ飴が大ヒット。最近では、「金のミルクキャンディ」シリーズや「ピュレグミ」が有名。

1. 収益構造
安定的な国内キャンディ事業を基軸とし、成長著しいグミも積極的に取り込んでいる。2016年12月期連結売上高における飴の割合は6〜7割程度、グミは2〜3割弱と推定。三菱商事<8058>と業務提携及び総販売代理店契約を締結しており、販売高の多くは同社を通じて行っているのが特徴で与信管理上のメリットがある。砂糖と水あめが飴の主原材料であるため新規参入障壁が低いが、同社は高付加価値商品を市場投入することで差別化に取り組んでいる。

2. 決算と2017年12月期業績予想、単元株式数の変更及び株式併合の発表
2016年12月期の連結業績は売上高が前期比0.2%増の19,716百万円、経常利益が同104.2%増の612百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同476.0%増の500百万円。新商品や素材菓子の売上減もあったが、「金のミルクキャンディ」シリーズ及びグミの売上げの伸長で微増収の着地となった。利益面では、製造ラインの稼働率の上昇、工場における改善活動、廃棄損の減少、物流コストの削減、効率的な販売促進活動により販売コストの削減などが費用減に寄与し、大きく増益。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期の特別損失の反動減や受取保険金、繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額の計上などで前期比では大きな伸びとなった。また、決算発表時に単元株式数の変更(1,000株→100株)と株式の併合(5株を1株に併合)も発表。2017年3月開催予定の定時株主総会において原案どおり可決承認されれば、2017年7月1日をもって効力が発生する。

3. 中期経営計画「NewKANRO 2021」:2021年12月期に売上高260億円、経常利益26億円を目指す
2016年8月に中期経営計画「NewKANRO 2021」を発表。キャンディNo.1企業として、品質、ブランド力、売上げ・利益でNo.1となり、社員満足度、株主満足度・社会的責任においてもトップクラスとなり、売上拡大戦略と経営基盤の強化で、2021年12月期に売上高260億円、経常利益26億円、経常利益率10%を目指す。売上拡大戦略では、飴において工場のフル稼働と付加価値商品を展開し、グミでは既存ブランドの育成のほかに新商品のグミを積極投入することで2021年12月期においてグミの売上げを2016年比2倍とする。経営基盤の強化では、ムダの排除、売上原価の低減、人事制度の充実、情報システム環境の整備、品質保証体制の充実、CSR活動の推進を施策として挙げている。また、損益目標を達成時には増配も検討するようだ。

4. 海外展開の可能性
以前にカルピス(株)の商標権使用ライセンス契約の解約の申し入れによるカルピスブランドの販売中止などで大幅に売上高が減少する局面があり、その危機を乗り越えるために、海外事業を当時の中期経営計画から一旦取り下げたという経緯があり、現行の中期経営計画においても海外展開の可能性については触れられていない。国内の人口減という環境下で飴という安定的な事業を軸にグミで成長を獲得するのは有益であるが、同社の高付加価値キャンディがアジアの人々に受け入れられる可能性が高いことや、また長期的に考えると成長の著しい海外、特にアジア市場の成長を取り込んでいくのは必須ではないだろうか。今後、早い段階で同社から何らかの戦略を聞けることを期待したい。

■Key Points
・国内市場で飴とグミなどを製造販売する老舗のキャンディメーカー。参入障壁は低いが、高付加価値品の投入で商品の差別化に取り組む。
・2016年12月期においてはグミと「金のミルクキャンディ」シリーズの売上高が伸長、利益面でも、工場の稼働率の上昇や工場における改善行動、廃棄損の減少、物流コストの削減、販売コストの削減などが費用減に寄与し、大きく増益を達成。単元株式数の変更と株式の併合も発表。
・中期経営計画「NewKANRO 2021」において、売上拡大戦略と経営基盤の強化により、2021年12月期に売上高260億円、経常利益26億円を目指す。目標達成時には増配も。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



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