ピクスタ Research Memo(3):アマチュアの積極活用と日本をテーマにした素材の充実度に強み
[17/04/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
2. ピクスタの特長と強み
ピクスタ<3416>の強みの各ポイントは以下に詳述するが、重要な視点は「アマチュア」であると弊社では考えている。従来はプロ限定だった写真の商業利用について、同社は『PIXTA』という新たなマーケットプレイス(市場を)創出し、そこに売り買い双方においてアマチュアを呼び込むことに成功した。同業他社にもアマチュアを対象としているところはあるが、アマチュアに対する取り組みに最も注力しているのが同社であり、そこが同社の強さの源泉となっている、というのが弊社の理解だ。
(1) 『圧倒的な国内素材点数』
同社は2,260万点超(2017年2月末時点)の素材を有している。総点数では海外勢との比較で差があるのは否定できないが、特徴ある品ぞろえで強みを出している。それは日本関連の素材だ。ユーザーが日本人主体ということに加えて、日本の文化や自然に対する注目度合いが世界的に高い点も同社に有利と言える。マーケットプレイスという事業モデルでは、量(素材点数)の多寡が利用価値の高低に直結する(いわゆる“ネットワーク外部性”)ため、日本関連という限定された分野であっても、そこでトップの地位にあることは明確な強みと言える。
同社は創立後、短期間でデジタル素材を積み上げることに成功しているが、この背景にはアマチュアのクリエイターの存在がある。2017年2月末時点でのクリエイター数は約220,000人で、そのうちの約90%がアマチュアとみられる。同社は、アマチュア・クリエイターからの投稿数増加と質の向上を目指して、セミナーや撮影会など様々な施策を恒常的に実施している。
(2) 『安定的な収益モデル』
同社の事業モデルはリピート購入者が積み上がっていくことで安定的に収益が増加する積み上げ型収益モデルということだ。この収益モデルがワークするためには素材点数が継続して増えることが必要になるが、この点で同社が強みを有していることは前述のとおりだ。
素材点数の多さがリピーターの増加につながり安定収益をもたらすという循環を創り、継続するには、燃料や触媒が必要だ。弊社では、同社の顧客基盤の拡大がそれにあたると理解している。同社は素材を頻繁に利用する広告代理店やデザイン制作会社等のいわゆるヘビーユーザー層に加え、ライトユーザー(デザインを本業としない一般企業や個人)と呼ぶ非デザイナー層への素材利用の拡大を試みており、潜在顧客の掘り起こしに注力している。その一環として、2016年にはデザインスキルがなくても簡単にチラシやポスターなどを作成できる「チラシテンプレート」素材を無料で提供するなどの施策を実施し、ライトユーザー層の会員登録増加につなげた。こうした工夫の結果、“素材点数の充実⇒リピーター利用者の増加⇒収益の安定化”という流れがより強固に確立していくものとみられる。
(3) 『蓄積されたデータ・ノウハウの活用』
同社は素材の販売動向などを分析し、そこから得られた“売れる”素材作りのノウハウをクリエイターに提供し、売れる素材の数的拡大に取り組んでいる。
具体的には、撮影技術向上のためのセミナー、ワークショップや撮影会を全国で開催している。また、同社のサイトにおいて売上げ上位の写真をランキング形式で表示し、クリエイターに対して“売れる写真”作りのインスパイア(啓発)を提供している。さらに踏み込んで「人物専属クリエイター」(人気のある人物写真を、PIXTAにエクスクルーシブ(専属)で投稿してくれるクリエイター)の強化などにも注力している。これは、「売れ筋商品(売れるクリエイター)の囲い込み」戦略と言えるものだ。
こうした施策は、同社が有するデータとノウハウ活用の好例であり、前述の“素材点数の充実⇒リピーター利用者の増加⇒収益の安定化”という正の循環にも大きく貢献している。弊社ではPIXTAの事業モデルは、同社とクリエイターがWin-Winの関係を築くことができる点にも特長があると考えており、今後もこうしたデータとノウハウ活用の施策がさらに工夫されて実行されていくと期待している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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2. ピクスタの特長と強み
ピクスタ<3416>の強みの各ポイントは以下に詳述するが、重要な視点は「アマチュア」であると弊社では考えている。従来はプロ限定だった写真の商業利用について、同社は『PIXTA』という新たなマーケットプレイス(市場を)創出し、そこに売り買い双方においてアマチュアを呼び込むことに成功した。同業他社にもアマチュアを対象としているところはあるが、アマチュアに対する取り組みに最も注力しているのが同社であり、そこが同社の強さの源泉となっている、というのが弊社の理解だ。
(1) 『圧倒的な国内素材点数』
同社は2,260万点超(2017年2月末時点)の素材を有している。総点数では海外勢との比較で差があるのは否定できないが、特徴ある品ぞろえで強みを出している。それは日本関連の素材だ。ユーザーが日本人主体ということに加えて、日本の文化や自然に対する注目度合いが世界的に高い点も同社に有利と言える。マーケットプレイスという事業モデルでは、量(素材点数)の多寡が利用価値の高低に直結する(いわゆる“ネットワーク外部性”)ため、日本関連という限定された分野であっても、そこでトップの地位にあることは明確な強みと言える。
同社は創立後、短期間でデジタル素材を積み上げることに成功しているが、この背景にはアマチュアのクリエイターの存在がある。2017年2月末時点でのクリエイター数は約220,000人で、そのうちの約90%がアマチュアとみられる。同社は、アマチュア・クリエイターからの投稿数増加と質の向上を目指して、セミナーや撮影会など様々な施策を恒常的に実施している。
(2) 『安定的な収益モデル』
同社の事業モデルはリピート購入者が積み上がっていくことで安定的に収益が増加する積み上げ型収益モデルということだ。この収益モデルがワークするためには素材点数が継続して増えることが必要になるが、この点で同社が強みを有していることは前述のとおりだ。
素材点数の多さがリピーターの増加につながり安定収益をもたらすという循環を創り、継続するには、燃料や触媒が必要だ。弊社では、同社の顧客基盤の拡大がそれにあたると理解している。同社は素材を頻繁に利用する広告代理店やデザイン制作会社等のいわゆるヘビーユーザー層に加え、ライトユーザー(デザインを本業としない一般企業や個人)と呼ぶ非デザイナー層への素材利用の拡大を試みており、潜在顧客の掘り起こしに注力している。その一環として、2016年にはデザインスキルがなくても簡単にチラシやポスターなどを作成できる「チラシテンプレート」素材を無料で提供するなどの施策を実施し、ライトユーザー層の会員登録増加につなげた。こうした工夫の結果、“素材点数の充実⇒リピーター利用者の増加⇒収益の安定化”という流れがより強固に確立していくものとみられる。
(3) 『蓄積されたデータ・ノウハウの活用』
同社は素材の販売動向などを分析し、そこから得られた“売れる”素材作りのノウハウをクリエイターに提供し、売れる素材の数的拡大に取り組んでいる。
具体的には、撮影技術向上のためのセミナー、ワークショップや撮影会を全国で開催している。また、同社のサイトにおいて売上げ上位の写真をランキング形式で表示し、クリエイターに対して“売れる写真”作りのインスパイア(啓発)を提供している。さらに踏み込んで「人物専属クリエイター」(人気のある人物写真を、PIXTAにエクスクルーシブ(専属)で投稿してくれるクリエイター)の強化などにも注力している。これは、「売れ筋商品(売れるクリエイター)の囲い込み」戦略と言えるものだ。
こうした施策は、同社が有するデータとノウハウ活用の好例であり、前述の“素材点数の充実⇒リピーター利用者の増加⇒収益の安定化”という正の循環にも大きく貢献している。弊社ではPIXTAの事業モデルは、同社とクリエイターがWin-Winの関係を築くことができる点にも特長があると考えており、今後もこうしたデータとノウハウ活用の施策がさらに工夫されて実行されていくと期待している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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