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トプコン Research Memo(8):営業利益の16/3期から19/3期の年平均成長率は34%を計画

注目トピックス 日本株
■トプコン<7732>の中期経営計画

1. 第二次中期経営計画の概要
2016年4月に、2016年度〜2018年度を対象とする第二次中期経営計画を発表した。本中期経営計画における基本戦略は、1)経営体質の強化、2)成長事業の推進、3)課金ビジネスモデルの創出の3つであり、長期的な目線はROE20%を目指すという内容。

1)経営体質の強化には2つの施策がある。まず「経営効率の改善」として拠点の統廃合、生産性向上や部品CD等により営業利益改善効果として中計3ヶ年で60億円の改善目標を掲げている。次に「営業キャッシュ・フローの改善」として利益改善と棚卸資産の削減によりキャッシュを創出して、それを成長投資に向けるとしている。その結果として、営業キャッシュフローは2015年度の40億円から2016年度に120億円、2017年度に170億円、2018年度に230億円を目標としている。

2)成長事業の創出は、「3. 事業別成長戦略」を参照されたい。

3)課金ビジネスモデルの創出は、売り切り型ビジネスに加え各分野のクラウドベースのアプリケーションを強化・充実させて課金スタイルで運用することを目指している。具体的にはICT自動化施工、IT農業及びアイケア事業において、各分野に対応するクラウドベースのアプリケーションにより工事現場、農場及び病院からのデータを収集し、工事の進捗状況の把握や資源投入計画、農場・病院での診断・予測・処方などを支援することにより、これまでは経験と勘に頼っていた作業を科学的に実行することで業務効率の向上を実現する。

2. 第二次中期経営計画の計数目標(2016年4月28日 公表時の数値)
連結業績目標は、2016年度に売上高130,000百万円、営業利益10,500百万円、2017年度に売上高137,000百万円、営業利益15,000百万円、2018年度に売上高146,000百万円、営業利益21,000百万円を掲げている。これらの前提は、為替レートが2016年度以降、1ドル当たり110円(2015年度実績の期中平均は120.16円)、1ユーロ当たり125円(同132.36円)となる。

セグメント別では、ポジショニング・カンパニーの売上高が2018年度68,000百万円で、営業利益は10,000百万円と営業利益の年平均成長率(CAGR)は61%と高い伸びを見込んでいる。スマートインフラ事業は、売上高が2018年度36,000百万円で、営業利益は2018年度5,500百万円。アイケア事業での売上高は2018年度53,000百万円、営業利益は2018年度7,500百万円。その他の売上高は2018年度に5,000百万円、営業利益は300百万円を計画している。同社の主要な事業ドメインでは売上高の年平均成長率よりも営業利益のそれが大きくなっている。最も大きい伸び率を示しているポジショニング・カンパニーでは、営業利益率も2015年度の3.8%から大幅に拡大を見込み、2018年度計画では14.7%としている。

同社は、中期経営計画期間中の研究開発費を330億円、設備投資を同120億円、M&Aなどの投融資に200億円を計画している。

3. 事業別成長戦略
(1) ポジショニング・カンパニー
成長事業として、ICT自動化施工の拡大とIT農業の拡大を推進する。基盤事業では、GPS分野で破壊的戦略商品の上市で競争力強化を図るほか、コスト削減も継続するとしている。

a) ICT自動化施工
ICT自動化施工は「マストレスMCシステム 3D-MCMax」等の他社に無い先進技術で他社をリードし、後付け及びOEMビジネスの更なる拡大を目指す

b) IT農業の拡大
IT農業はM&Aで新技術の獲得と新分野へ進出するとともに、後付け及びOEMビジネスの更なる拡大を目指す。

(2) スマートインフラ事業
成長事業は「i-Construction」と3D計測ビジネス。i-Constructionは日本政府が主導しており、日本国内でICT自動化施工システム及び3D計測機器の普及が加速しつつある。後者においては社会インフラのメンテナンスや建設物の計測管理に注力する。また同事業は基盤事業の比率が高いため、主力のトータルステーションの共通プラットフォーム化を進めており、製造原価低減による採算性の向上を目論んでいる。

(3) アイケア事業
成長分野は、3D OCTと眼科電子カルテ。3D OCTは市場の拡大に合わせてTritonとMaestroの2製品で販売伸長を目指す。米国ではMaestroが2016年7月にFDAの承認を取得し、先進国では最後発の発売ながら売上に貢献し始めている。さらに2017年度中にはTritonの承認を取得して更なる販売伸長を目指す。眼科電子カルテは2015年の独ifa社買収により本格参入した事業で、ベンダーニュートラルの特性を生かして眼科分野での普及を図るとともに、遠隔診断への展開及び課金ビジネスの拡充による売上増と収益の安定化を目論む。

4. リスク
リスク要因は、為替レートの大きな変動、グローバル経済影響、需要が想定どおりに立ち上がらないなどタイミングのズレ、天変地異等がある。なお、為替については、実需の範囲内で先物為替予約による為替ヘッジを行っているなど対策を講じている。

(執筆:フィスコアナリスト 清水 さくら)



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