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スカラ Research Memo(10):既存事業の拡大と、新たな事業領域の開拓により更なる成長を目指す

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略

1. 成長戦略
スカラ<4845>は中長期の成長戦略として、既存のSaaS/ASP事業(クラウドサービス)の安定成長に加えて、同サービスを基盤とした人と人、企業と人のコミュニケーションを促す新しいビジネス領域(ロボット、EC、AI)に、M&Aや事業提携を積極活用しながら展開していくことで、更なる成長を目指していく方針だ。

M&Aや事業提携の対象としては以下の4点にまとめることができる。1点目は新サービスを開発していくためのノウハウや技術を持つ企業、2点目は既存サービスのシェア拡大につながるような顧客基盤を有する企業、3点目はサービスラインナップの充実や同社にないノウハウや技術を持ち、既存サービスの進化、競争力の向上に寄与する企業、4点目は開発力の強化を図るため、優秀なエンジニアを豊富に抱える企業である。

また、既存のクラウドサービスについても主力の「i-search」や「i-ask」、「IVR」等の業界トップクラスのシェアを築きつつあるサービスをフック役に、その他のサービスを追加することで顧客当たり単価を引き上げていくほか、新規顧客の開拓も進めながら、右肩上がりの安定成長を目指していく。

カスタム開発案件の多いWebサービスについては、IoTソリューションを使った新たな需要も見込まれている。同社は2015年以降、損害保険ジャパン日本興亜(株)向けに安全運転支援サービス「スマイリングロード」やスマートフォン用アプリ「ポータブルスマイリングロード」のシステム開発・運用サービスを行ったノウハウを生かしていく。損害保険ジャパン日本興亜では2017年内にもドライバーの運転技術をスマートフォンを使って計測し、安全運転している保険契約者には保険料を割引く商品を発売する計画となっており、同システム開発の受注獲得が見込まれる。IoTソリューションを使った管理・運用サービスは様々な用途に展開が可能であり、同社でも新規受注の獲得を目指していく考えだ。例えば、同じ損害保険業界向けでは火災保険商品での需要も見込まれている。

2017年6月期のSaaS/ASP事業は、Webサービスの大型開発案件の反動減や人件費、賃借料等の増加もあって、一時的に減益に転じる見通しだが、2018年6月期以降は「i-livechat」や「i-assist」等の新サービスが本格的に立ち上がること、また、Webサービスにおいても新規開発案件の寄与が見込まれることから、再び増収増益基調に転じることが予想される。

なお、2018年6月期の連結業績は、ソフトブレーン株式の段階取得にかかる差益2,633百万円がなくなるためIFRS基準では減益となるが、Non-GAPP基準では増収増益が続く見通しだ。

2. ソフトブレーンとの関係について
同社は2017年3月14日付でソフトブレーンに提出していた2件の株主提案(取締役及び監査役選任の件、剰余金の処分の件)の取り下げを発表した。ソフトブレーンの企業価値向上に向けた協議を両社間で行うなかで、同社の保有するソフトブレーン株式の保有割合が減少する資本政策をソフトブレーンが実行する場合には、同一条件で同社にも株式保有割合を維持する機会を与えること、また、ソフトブレーンの2016年12月期における剰余金処分案について、1株当たり5.0円の配当を提案するとともに、2017年12月期以降は格別の資金需要がない場合において配当性向30%を目安に継続的に配当を行うこと等の申し出を受け、これらが実現している間は同社もソフトブレーンに対して新たな株主提案等を行わず、中長期の企業価値向上に資する経営を安定的に行える状況を確保することとした。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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