ラクオリア創薬 Research Memo(1):動物薬上市や臨床開発の進捗順調、19/12期に営業損益の黒字化が視野に
[17/04/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ラクオリア創薬<4579>はファイザー日本法人のファイザー(株)から中央研究所が独立してできた創薬開発型バイオベンチャー。一般的な医薬品メーカーとは異なり、新薬の種となる開発化合物を創出し、その技術・特許を医薬品メーカーにライセンスアウト(導出)することで収益を上げるというビジネスモデルだ。参入障壁が高いイオンチャネル創薬において優位性を有している点に強みがあり、消化器領域、疼痛領域を得意としている。
1. 2016年12月期は、内容的に動物薬の収益貢献ポテンシャルを確認できた決算
2016年12月期決算は期初予想に対しては未達となったが、その要因は米国での動物薬の販売開始が2016年秋から2017年1月に決算期をまたいでずれ込み、マイルストン収入の計上ができなかったためだ。延期された動物薬は2017年1月に発売されており、今後は当該薬剤からのロイヤルティ収入が期待される。2016年12月期決算の最も重要なメッセージは、動物薬について今後の同社の収益に重要な貢献をする確度が一段と高まったことだと弊社では考えている。
2. ヒト領域では臨床開発が順調に進捗し、2019年〜2020年に2薬剤が上市の見通し
導出済みプログラムの臨床開発は全般に順調な進捗が続いている。韓国CJヘルスケア(株)が取り組む胃食道逆流症向けのP-CABについては2017年中に第3相試験が終了し、2019年の上市という道筋が見えてきた。Meiji Seikaファルマ(株)が進める統合失調症薬ジプラシドンも、2018年に第3相試験を終え、2019年の承認申請、2020年の上市というスケジュールで進捗している。
3. がん領域に特化した創薬ベンチャー、テムリックを完全子会社化
同社は開発領域のヨコ展開やアカデミアとの共同研究成果の取り込みのための体制整備などを目的に、テムリック(株)を2017年2月3日付で完全子会社化した。テムリックが米Syros Pharmaceuticals, Inc.(以下、Syros)に導出したTM-411は、急性骨髄性白血病(AML)/骨髄異形成症候群(MDS)向けに第2相試験中だ。興味深いのは、SyrosはTM-411をAML/MDS向けのプレシジョン・メディシン(個別化医療・精密医療)として新薬承認を目指している点だ。プレシジョン・メディシンは治療効果改善につながる新しい医療概念として大きな注目を集める分野だ。
4. 2019年12月期における営業損益の黒字転換を業績目標として明示
同社は中期経営計画『Odyssey 2018』をローリングして2019年12月期までの業績目標を公表したが、2019年12月期において営業損益が黒字転換する目標となっている。動物薬の上市やヒト領域での医薬品開発が順調に進捗している現状から、将来の安定収益獲得に自信を深めたことが読み取れる。今中期経営計画業績目標は、ロイヤルティ収入やマイルストン収入など、既導出プログラムからの事業収益を基本にして策定されているため、業績目標達成への信頼度は高いと弊社では考えている。
■Key Points
・動物薬2剤が2017年に上市、ヒト領域の2剤も2019年〜2020年に続く見通し
・プレシジョン・メディシンで差別化が期待できるテムリックを子会社化
・2019年12月期に営業損益が黒字転換の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<NB>
ラクオリア創薬<4579>はファイザー日本法人のファイザー(株)から中央研究所が独立してできた創薬開発型バイオベンチャー。一般的な医薬品メーカーとは異なり、新薬の種となる開発化合物を創出し、その技術・特許を医薬品メーカーにライセンスアウト(導出)することで収益を上げるというビジネスモデルだ。参入障壁が高いイオンチャネル創薬において優位性を有している点に強みがあり、消化器領域、疼痛領域を得意としている。
1. 2016年12月期は、内容的に動物薬の収益貢献ポテンシャルを確認できた決算
2016年12月期決算は期初予想に対しては未達となったが、その要因は米国での動物薬の販売開始が2016年秋から2017年1月に決算期をまたいでずれ込み、マイルストン収入の計上ができなかったためだ。延期された動物薬は2017年1月に発売されており、今後は当該薬剤からのロイヤルティ収入が期待される。2016年12月期決算の最も重要なメッセージは、動物薬について今後の同社の収益に重要な貢献をする確度が一段と高まったことだと弊社では考えている。
2. ヒト領域では臨床開発が順調に進捗し、2019年〜2020年に2薬剤が上市の見通し
導出済みプログラムの臨床開発は全般に順調な進捗が続いている。韓国CJヘルスケア(株)が取り組む胃食道逆流症向けのP-CABについては2017年中に第3相試験が終了し、2019年の上市という道筋が見えてきた。Meiji Seikaファルマ(株)が進める統合失調症薬ジプラシドンも、2018年に第3相試験を終え、2019年の承認申請、2020年の上市というスケジュールで進捗している。
3. がん領域に特化した創薬ベンチャー、テムリックを完全子会社化
同社は開発領域のヨコ展開やアカデミアとの共同研究成果の取り込みのための体制整備などを目的に、テムリック(株)を2017年2月3日付で完全子会社化した。テムリックが米Syros Pharmaceuticals, Inc.(以下、Syros)に導出したTM-411は、急性骨髄性白血病(AML)/骨髄異形成症候群(MDS)向けに第2相試験中だ。興味深いのは、SyrosはTM-411をAML/MDS向けのプレシジョン・メディシン(個別化医療・精密医療)として新薬承認を目指している点だ。プレシジョン・メディシンは治療効果改善につながる新しい医療概念として大きな注目を集める分野だ。
4. 2019年12月期における営業損益の黒字転換を業績目標として明示
同社は中期経営計画『Odyssey 2018』をローリングして2019年12月期までの業績目標を公表したが、2019年12月期において営業損益が黒字転換する目標となっている。動物薬の上市やヒト領域での医薬品開発が順調に進捗している現状から、将来の安定収益獲得に自信を深めたことが読み取れる。今中期経営計画業績目標は、ロイヤルティ収入やマイルストン収入など、既導出プログラムからの事業収益を基本にして策定されているため、業績目標達成への信頼度は高いと弊社では考えている。
■Key Points
・動物薬2剤が2017年に上市、ヒト領域の2剤も2019年〜2020年に続く見通し
・プレシジョン・メディシンで差別化が期待できるテムリックを子会社化
・2019年12月期に営業損益が黒字転換の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
<NB>