ブイキューブ Research Memo(15):17/12期はコストダウンと構造改革に注力し筋肉質な経営体質に改善図る
[17/04/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2016年12月期分析と2017年12月期に向けての対策
2016年12月期に業績が低迷した原因を、ブイキューブ<3681>では国内、グループ企業、海外別に分析を行い、2017年12月期に向けて以下の様に対策を検討している。
a) 国内
国内では事業拡大路線における先行投資と売上拡大のミスマッチに加え、バージョン切替促進の遅れ、販売不振が複合的に加わったことでトップラインを押し下げた。2017年12月期は徹底的なコストダウン、国内グループ横断での業務効率化の推進などにより、改善を図る計画である。
b) グループ企業
グループ企業では、そもそもの予算精度が低かったことに加え、M&A後のPMI(買収後の事業統合)の確立が不十分だったことで、計画未達を招いた。2017年12月期は予算立案プロセスの見直しや、オフィスの統合によるシナジー促進などの抜本的な対策を実施する。
c) 海外
海外では戦略上の不採算拠点への投資継続に加え、大幅な為替変動による差損、利益目減り等が発生した。2017年12月期上期中に黒字化しない拠点の閉鎖や大幅縮小などの対策を計画している。
2. 2017年12月期見通し
2016年12月期の反省を踏まえ、2017年12月期に臨むにあたり、経営サイドからは大方針として、「2016年に認識した問題に徹底的に向き合い、諸施策を2017年上期を中心に打って2018年度のV字回復を目指す」「子会社管理のガバナンスを徹底的に確立し、PMI管理によるオペレーションを深耕していく」「既存ビジネス+成長戦略継続により、着実な成長軌道に回帰」というメッセージを発信している。
この大方針に基づき、コストダウンと売上拡大に関連する以下3点の方策を掲げている。
●グループ全体にわたる、大幅な固定費低減策の実施(2018年における年間目標効果:7億円強削減)
● 戦略商品の集中展開(V-CUBE Box、V-CUBE One) による競争力・収益力の拡大、V-CUBEミーティングの既存ユーザの新バージョン(Ver.5)化による解約率の低減
● 国内グループ会社のオフィス・一部共通組織の統合などのPMI促進により、クロスセルなど、シナジー効果の拡大
これらの方策に基づき、上期にグループ全体にわたる構造改革を推し進め、固定費の削減を図る。そして、サービスの選択と集中により主に上期で大きな特損(減損)が発生するため、純利益は通期で赤字となる見込みだが、下期以降のソフトウェア償却費の大幅な減少を図る。規模の拡大ではなく、構造改革を断行し、筋肉質な企業体質を目指す。
会社予想としては、2017年12月通期の売上高で前期比7.1%増の7,756百万円、営業利益で同26.6%増の46百万円、経常利益で40百万円(前期は197百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で539百万円(前期は527百万円の損失)と見込んでいる。
なお、2017年12月期の上期と下期の営業利益を比較すると、約9.5億円と大きく改善する計画であるが、内訳は以下の通りである。
・3.3億円:固定費を中心とした削減策を下期に実施
・2.5億円:中国におけるSGMの売上増加
・1.8億円:電子黒板の繁忙期が下期であることによる売上増加
・2億円:クラウド/オンプレミスの売上伸張による利益増加
上期は回復に向けた諸施策の実施により、止血を行い、下期に一挙に業績回復を実現していく計画だ。
以下、それぞれの要素について述べる。
(1) 売上計画
a) 販売形態別
2017年12月期上期のクラウド売上高は、中国のSGM向けサービス切替による一時的売上高低下(263百万円減)の影響を受け、前期比6.4%減と落ち込むが、通期ではほぼ前期並みまで回復する見通しだ。なお、下期に電子黒板の大幅伸長が見込まれるため、アプライアンスは大幅伸長を見込む。
b) 地域別
日本はクラウドの堅調な伸長と、アプライアンスの大幅伸長を見込む。中国はSGM向けサービス切替により2017年12月期は大幅に減収するが、2018年12月期は反転拡大を見込む。その他海外はWizlearnを中心に業績が伸びる計画だが、黒字化が見えない拠点は閉鎖や大幅縮小の可能性も考えるとしている。
(2) コスト削減策
原価の低減、販管費の削減、海外のリフォームと言う3つの軸からコストダウンの実現を以下の様に見込んでいる。なお、2017年12月期下期のコスト削減を継続するため、2018年12月期は2016年12月期に比べ712百万円の削減となる見込みである。
なお、海外事業に関する主要通貨の為替レートについて、2017年は現在の相場よりも円高に設定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)
<TN>
1. 2016年12月期分析と2017年12月期に向けての対策
2016年12月期に業績が低迷した原因を、ブイキューブ<3681>では国内、グループ企業、海外別に分析を行い、2017年12月期に向けて以下の様に対策を検討している。
a) 国内
国内では事業拡大路線における先行投資と売上拡大のミスマッチに加え、バージョン切替促進の遅れ、販売不振が複合的に加わったことでトップラインを押し下げた。2017年12月期は徹底的なコストダウン、国内グループ横断での業務効率化の推進などにより、改善を図る計画である。
b) グループ企業
グループ企業では、そもそもの予算精度が低かったことに加え、M&A後のPMI(買収後の事業統合)の確立が不十分だったことで、計画未達を招いた。2017年12月期は予算立案プロセスの見直しや、オフィスの統合によるシナジー促進などの抜本的な対策を実施する。
c) 海外
海外では戦略上の不採算拠点への投資継続に加え、大幅な為替変動による差損、利益目減り等が発生した。2017年12月期上期中に黒字化しない拠点の閉鎖や大幅縮小などの対策を計画している。
2. 2017年12月期見通し
2016年12月期の反省を踏まえ、2017年12月期に臨むにあたり、経営サイドからは大方針として、「2016年に認識した問題に徹底的に向き合い、諸施策を2017年上期を中心に打って2018年度のV字回復を目指す」「子会社管理のガバナンスを徹底的に確立し、PMI管理によるオペレーションを深耕していく」「既存ビジネス+成長戦略継続により、着実な成長軌道に回帰」というメッセージを発信している。
この大方針に基づき、コストダウンと売上拡大に関連する以下3点の方策を掲げている。
●グループ全体にわたる、大幅な固定費低減策の実施(2018年における年間目標効果:7億円強削減)
● 戦略商品の集中展開(V-CUBE Box、V-CUBE One) による競争力・収益力の拡大、V-CUBEミーティングの既存ユーザの新バージョン(Ver.5)化による解約率の低減
● 国内グループ会社のオフィス・一部共通組織の統合などのPMI促進により、クロスセルなど、シナジー効果の拡大
これらの方策に基づき、上期にグループ全体にわたる構造改革を推し進め、固定費の削減を図る。そして、サービスの選択と集中により主に上期で大きな特損(減損)が発生するため、純利益は通期で赤字となる見込みだが、下期以降のソフトウェア償却費の大幅な減少を図る。規模の拡大ではなく、構造改革を断行し、筋肉質な企業体質を目指す。
会社予想としては、2017年12月通期の売上高で前期比7.1%増の7,756百万円、営業利益で同26.6%増の46百万円、経常利益で40百万円(前期は197百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で539百万円(前期は527百万円の損失)と見込んでいる。
なお、2017年12月期の上期と下期の営業利益を比較すると、約9.5億円と大きく改善する計画であるが、内訳は以下の通りである。
・3.3億円:固定費を中心とした削減策を下期に実施
・2.5億円:中国におけるSGMの売上増加
・1.8億円:電子黒板の繁忙期が下期であることによる売上増加
・2億円:クラウド/オンプレミスの売上伸張による利益増加
上期は回復に向けた諸施策の実施により、止血を行い、下期に一挙に業績回復を実現していく計画だ。
以下、それぞれの要素について述べる。
(1) 売上計画
a) 販売形態別
2017年12月期上期のクラウド売上高は、中国のSGM向けサービス切替による一時的売上高低下(263百万円減)の影響を受け、前期比6.4%減と落ち込むが、通期ではほぼ前期並みまで回復する見通しだ。なお、下期に電子黒板の大幅伸長が見込まれるため、アプライアンスは大幅伸長を見込む。
b) 地域別
日本はクラウドの堅調な伸長と、アプライアンスの大幅伸長を見込む。中国はSGM向けサービス切替により2017年12月期は大幅に減収するが、2018年12月期は反転拡大を見込む。その他海外はWizlearnを中心に業績が伸びる計画だが、黒字化が見えない拠点は閉鎖や大幅縮小の可能性も考えるとしている。
(2) コスト削減策
原価の低減、販管費の削減、海外のリフォームと言う3つの軸からコストダウンの実現を以下の様に見込んでいる。なお、2017年12月期下期のコスト削減を継続するため、2018年12月期は2016年12月期に比べ712百万円の削減となる見込みである。
なお、海外事業に関する主要通貨の為替レートについて、2017年は現在の相場よりも円高に設定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)
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