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ワールドHD Research Memo(9):主力3事業ともに前期比約2倍の事業規模を目指す

注目トピックス 日本株
■ワールドホールディングス<2429>の新・中期経営計画2021

2. 事業別戦略
(1) 人材・教育ビジネス
人材・教育ビジネスでは、従来の企業側からの一方的なニーズに合わせた人材マッチングビジネスから、応募者ニーズと企業ニーズの双方向のニーズをマッチングしていく雇用創出のプロフェッショナルとして事業を拡大していく戦略だ。

製造業においては、人口減少や自動化、AIの活用、海外展開などにより、国内の就業市場が縮小方向にあるなかで、企業が個社ごとに抱え込んでいた「技術」や「人材」について、アウトソーシング化していく流れが今後も続くことが予想される。一方で、労働者派遣法改正に伴い派遣会社も大手企業に集約化される動きとなっており、同社にとっても追い風になると考えられる。こうした市場環境下において、同社では他社との差別化を図るため、人材の流動化(適材・適時・適所)が可能な人材プラットフォーム※を形成し、顧客企業へ提供することで更なる成長を実現していく考えだ。市場調査会社の予測によれば、人材派遣市場は2015年の2兆5,850億円から2020年は3兆4,720億円と年率6%成長となる見通しだが、同社ではこの既存領域での拡大だけでなく、新しく創出される人材の流動化を可能とするオープンイノベーション領域において市場を獲得していく戦略となる。

※共通技術・技能領域の専門家集団


人材プラットフォームを形成する人材は、顧客企業の正社員に劣らない高度なスキルが要求されるため、同社では今後5年間でスキルアップに必要な研修・教育システムに積極的に投資を行っていく計画となっている。現在、多種多様なルートで入社する人材のうち約20%を人材プラットフォームのチームに転籍させていくことを目標としている。同チームの人材の年収は、600万円以上と同社グループの平均年収376万円を大きく上回る水準を目指している。もちろん、高いスキルを獲得した人材はメーカーに転職する可能性も高くなるわけだが、メーカー志向の優秀な人材が集まる、転職以上に価値ある人材プラートフォームを構築していく。

また、今までの人材採用は企業からのニーズに適合した人材を応募者の中からマッチングする一方通行のマッチングサービスであったが、今後は応募者の履歴書だけでなく志向等をデータベースとして蓄積し、足りないスキルなどはキャリア形成支援などを通じて付加していくほか、顧客企業側には応募者志向に合わせた職場創出(勤務形態等)の提案を行うなど、双方向マッチングサービスへと進化させていく取り組みを進めていく考えだ。

(2) 不動産ビジネス
不動産ビジネスにおいては、今後5年間でストックビジネスを強化し、収益の安定化を図ると同時にキャッシュ効率を高め、財務体質の改善につなげていく方針となっている。事業別で見れば、フロービジネスであるデベロップメント事業や戸建注文住宅事業は利益率が高いものの、資金回収期間が長く、収益変動リスクも高い。一方、リノベーション事業は資金回収期間が4〜6ヶ月と短く需要も安定しており、収益変動リスクが小さくストック事業に近い事業として位置付けられる。また、ストック事業としてはユニットハウス及びレンタル事業やプロパティマネジメント事業が挙げられる。プロパティマネジメント事業に関しては今後、M&Aも視野に入れ事業を拡大していく考えだ。

事業別戦略を見ると、デベロップメント事業は経済環境を鑑みた仕入れと供給によるROIの最大化と適正規模による収益拡大を目指していく。年間供給戸数の適正規模としては、首都圏で400〜500戸、東北・近畿・九州圏で各100〜200戸と見ており、現在、開発用地の仕込みを進めている段階にある。売上高としては2019年12月期が底になり、2020年12月期上向きに転じるとみている。

リノベーション事業は全国展開により、今後5年間で最も伸ばしていく事業となる。販売戸数は2016年12月期実績の410戸から2021年12月期には1,500戸と3倍増を目指していく。営業拠点は現在、福岡、東京、横浜、名古屋、大阪、広島、北海道、岡山にあるが、今後、仙台、奈良、熊本にも開設していく予定だ。当面は九州、東北、北海道等の地方エリアでトップシェアを目指す方針だ。

戸建住宅事業は、北海道内における圧倒的なブランド力と実績を東北エリアにも展開していく計画。更には、4,000戸以上の販売実績に対するリフォームや買取再販需要を取り込んでいく戦略だ。年間供給戸数は300〜350戸と当中期経営計画期間内の売上計画としては80億円と横ばい水準で織り込んでいる。

ユニットハウス事業では、既存のユニットハウスに加えて倉庫なども商品ラインに加えていく。現在、駐車場と倉庫を組み合わせた商品を開発中で、昨今のレンタル倉庫需要の拡大に乗って、事業規模を拡大していく考えだ。また、収益性を高めていくため独自の販売ルートを国内外で構築していく計画となっている。海外展開についても将来的にインドネシアでのOEM工場の新設を検討している。

(3) 情報通信ビジネス
情報通信ビジネスでは携帯ショップ事業において優良店舗を拡大すると同時に、南九州エリアや四国などに営業エリアを拡大していくこと、また、人材の育成により関連商材の販売を拡大し、1顧客当たり収益を拡大していくことで計画を達成していく方針だ。また、法人向け事業についても、顧客となる中小企業向けにコスト削減に寄与するストック性の高い商材を拡充していくことで収益の拡大を目指していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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