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ジャストプラ Research Memo(2):外食業界向け店舗管理システムの大手

注目トピックス 日本株
■事業概要

ジャストプランニング<4287>の事業は、ASP事業、システムソリューション事業、物流ソリューション事業、太陽光発電事業、その他事業の5つの事業セグメントに区分されている。2017年1月期の事業セグメント別構成比を見ると、売上高ではASP事業が37.0%、物流ソリューション事業が49.7%と2つの事業で全体の80%以上を占めているが、売上総利益ではASP事業が72.4%を占め同社収益の大半を占める格好となっている。各事業の内容については以下のとおり。

1. ASP事業
ASP事業は、インターネットを介して売上、仕入、勤怠管理など店舗運営をしていく上で必要な業務用ソフトを利用できるサービス、「まかせてネット」が主力となっている。主な顧客は、20〜50店舗規模のチェーン展開をしている中小規模の外食企業であり、「まかせてネット」を導入することで、顧客企業は店舗の経営状況を迅速、かつ低コストで収集・管理・分析することが可能となる。契約店舗からの月額利用料が売上高の大半を占めるストック型のビジネスモデルで、売上総利益率も75%超と高く同社の主力事業となっている。

「まかせてネット」の月額利用料金は、利用するサービスによって変わるが、フルサービスの契約で定価が4.4万円である。これに対して現状の1店舗当たり月額利用料は平均で1.5万円台となっているが、これは売上管理や勤怠管理などサービス機能の一部だけを契約する企業が多いことが要因とみられる。それでも、競合企業の多くが月額1万円前後の料金水準で提供していることからすれば、同社の料金設定は比較的高額となっている。これは、他社であれば別途追加料金が発生するようなカスタマイズ対応についても、同社は無償で行っていることが要因となっている(ただし、大幅な仕様変更については別途料金が必要)。

2017年1月期末時点の「まかせてネット」契約店舗数は、4,891店舗(契約企業数226社)と前期末比で161店舗減となっている。店舗数で100店舗を超える大口顧客2社の解約があった影響によるもので、この要因を除けば増加基調が続いている。国内の外食チェーン店舗数も訪日外国人の増加や国内景気の回復により、2012年度以降緩やかながら増加傾向を示し、2015年度末では5.85万店舗(日本フランチャイズチェーン協会調べ)となっている。同社の業界シェアは1割弱の水準だが、ターゲットとする50店舗以下の中小規模の外食チェーン向けに限ると、1割強のシェアと推定される。

競合企業としては、アルファクス・フード・システム<3814>、(株)日立システムズ、(株)アスピットなど同規模クラスの企業が10社以上ある。このうち、アルファクス・フード・システムの契約店舗数は、2016年9月末時点で7,115店舗(276社)と同社を上回って業界トップの水準となっているが、売上高についてはほぼ同水準で推移している。なお、外食企業向けのASPサービスとしては、インフォマート<2492>も受発注サービスを行っており、一部サービスが重複している。ただし、インフォマートは主に売り手側(食品卸会社向け)のサービスをメインとしているため、インフォマートと顧客が重複する場合には互いにシステム連携を行うなど良好な関係を構築している。

同社ではARPU(1店舗当たり売上高)の向上、あるいは顧客の囲い込みを図るため、「まかせてネット」以外の付加価値サービスの拡充も進めている。2012年秋に発表したクラウド型POSオーダリングサービス「まかせてタッチ」を始め、2014年に公共料金価格適正化診断サービス、2015年には「まかせて通訳」(音声通訳サービス)、「Pre Order POS」(リアルタイム売上送信電卓アプリ)などの提供を開始している。

このうち、「まかせてタッチ」とは飲食店で来店客からのオーダーを受ける際に使用する専用端末(ハンディターミナル)を、iPadやiPod touchなどの汎用端末に置き換えたサービスとなる。同サービスの特徴は、汎用端末を用いることで初期導入費用を約3分の1と大幅に低減できることに加え、一般的に広く普及している端末を使うため、従業員の習熟度も早く教育研修費用を圧縮できること、メンテナンス費用を低減できることなどが挙げられる。将来的には来店客のスマートフォンから直接オーダーが可能となるサービスや、オーダー情報を利用して接客向上につなげていくサービスなど、追加機能の拡充も視野に入れている。「まかせてタッチ」の導入費用は初期費用で10万円から、月額利用料は1店舗当たりオーダリングサービスで9,800円、POSサービスで5,000円、保守サービスで5,000円の合計19,800円となる。

スマートデバイスを使ったPOSオーダリングサービスは既に複数社が展開しているが、先行企業との違いは、他社が専用アプリでサービスを提供しているのに対して、同社はブラウザベースでサービスを提供していることにある。専用アプリでのサービス提供はAppleやGoogleによるOSの仕様変更によって、その都度改修が必要となる可能性があり、改修が間に合わなければサービスの提供を一時停止しなければならないリスクがあるが、ブラウザベースのサービス提供であれば、そういったリスクは発生しない。契約店舗数は当初の想定より開拓が遅れ気味ではあるものの、直近では「まかせてネット」の導入店舗のほか新規顧客の開拓も進んでおり、導入店舗は100店舗を超える水準まで増加している。

また、公共料金価格適正化診断サービスは、電気やガス、下水道などの公共料金の契約内容を診断し、低コスト化が実現できるよう最適なプランニングを提案するサービスとなる。顧客ターゲットは既存契約企業店舗のうち、直接、電力会社やガス会社等と契約している店舗(ロードサイド型店舗)となる。同サービスについては、顧客の解約防止策としての位置付けとなる。

2. システムソリューション事業
システムソリューション事業は、主にASP契約企業の店舗に導入するPOSシステムやオーダリングシステムなど各種端末機器の販売や設定・メンテナンス収入などから構成されている。ただ、ASPサービスを新規契約した場合でも、既に店舗に端末機器が設置されている場合は買い替える必要がないため、ASP事業との売上げの連動性は低い。また、端末機器に関しては仕入販売となるため、売上総利益率も20%台と相対的に低くなっている。

3. 物流ソリューション事業
物流ソリューション事業は、子会社の(株)サクセスウェイ(出資比率70.0%)で展開する事業である。主に外食企業向けの物流ソリューションやマーチャンダイズソリューション、本部業務代行サービスなどを展開している。現在は、労働集約型である物流業務代行サービスが売上の大半を占めていることもあり、売上総利益率で10%台と低くなっている。収益性向上を図るため、同社で開発した物流管理のASPサービス「Logi Logi(ロジロジ)システム」(契約店舗数は約400店舗)の拡販に注力している。

4. 太陽光発電事業
2015年2月より子会社の(株)JPパワー(出資比率100.0%)で太陽光発電事業を開始している。栃木県内2ヶ所で合計1.7MWhの発電所を稼働したほか、2016年2月より宮城県内で1.1MWhの発電所を稼働させている。当面は現有設備で売電を行い、新たな投資計画はない。当面は減価償却負担がかかるため利益率は低いが、償却負担減とともに利益率の上昇が見込める事業となる。

5. その他事業
その他事業では、店舗運営ノウハウを学ぶ社員研修の場として外食店舗2店舗(居酒屋)を運営しているほか、福岡県のゴルフバー1店舗(2014年10月事業譲受)をJPパワーで運営している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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