キリン堂HD Research Memo(5):2017年2月期は前期比大幅減益で着地も、今期以降の業績回復を目指す
[17/05/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2017年2月期決算の概要
キリン堂ホールディングス<3194>の2017年2月期通期決算は、売上高116,450百万円(前期比3.1%増)、営業利益1,298百万円(同23.6%減)、経常利益1,835百万円(同20.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益635百万円(同23.2%減)と増収減益となり期初予想に対しても大幅未達で着地した。同社は第2四半期決算に際して通期予想を下方修正したが、修正予想に対しては利益が上振れとなった。
2017年2月期決算は同社としても不本意な決算であったのは間違いない。しかし一方で、修正予想に対しては利益が上振れとなった点については積極的に評価しても良いと考えている。これは下半期において実施した既存店売上増に向けた活性化策や店舗改装や新規出店などの諸施策の効果が発現した結果だ。弊社ではこの下半期の盛り返しに、今後の同社の業績回復可能性や集客の底力といったものを垣間見ることができたと感じている。その意味で2017年2月期はプラス要素も十分に包含されている決算だったと弊社では考えている。
四半期ごとの推移を見ると、第1、第2四半期において営業利益が前年同期比で大幅減益となった一方、第3、第4四半期は2ケタ増益となり、上半期と下半期とで明暗がくっきりと分かれたことがわかる。
上半期はキリン堂の新店の寄与により売上高は前年同期比2.6%の増収となったが、売上総利益において、売上高売上総利益率が前年同期比0.3ポイント悪化し、26.4%となった(利益額自体は前年同期比1.3%増益)。それに対して販管費は前年同期比5.0%増加し売上高販管費率が25.6%に上昇した。その結果として上半期の売上高営業利益率は前年同期の1.7%から0.8%へと低下し、営業利益は前年同期比52.8%の大幅減益となった。
売上総利益率悪化の要因は3つだ。1つ目は中国越境EC売上高の急減だ。これは中国政府による税制変更などが影響している。2つ目は診療報酬改定の影響だ。改定によって基準調剤加算を獲得できていた店舗の構成比が改定前の85.2%から改定後は3.7%に大きく減少した。その結果調剤売上高は前期比1.2%(125百万円)の減収となったが、これがそのまま売上総利益率の低下につながったと考えられる。3つ目は天候不順によるドラッグストアでの季節商品の販売不振だ。季節商品は医薬品や化粧品など利益率が高い商品が多く、売上総利益においてもその影響が大きかったもようだ。
これに対して下半期は、店舗の改装やポイントカード会員の拡大と会員向け販促強化などで既存店売上高を前年同期比プラスに転換させることに成功した。また下半期の新規出店も例年に比べて多かったこともあり、売上高が順調に伸長した。新店増加に伴う販管費(人件費・施設費等)の増加はあったものの、下半期の営業利益は前年同期比15.7%増、上半期比82.2%増となった。下方修正した通期予想では、下半期の営業利益について上半期比横ばいと想定していたため、結果的に修正予想に対して上振れでの着地となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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1. 2017年2月期決算の概要
キリン堂ホールディングス<3194>の2017年2月期通期決算は、売上高116,450百万円(前期比3.1%増)、営業利益1,298百万円(同23.6%減)、経常利益1,835百万円(同20.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益635百万円(同23.2%減)と増収減益となり期初予想に対しても大幅未達で着地した。同社は第2四半期決算に際して通期予想を下方修正したが、修正予想に対しては利益が上振れとなった。
2017年2月期決算は同社としても不本意な決算であったのは間違いない。しかし一方で、修正予想に対しては利益が上振れとなった点については積極的に評価しても良いと考えている。これは下半期において実施した既存店売上増に向けた活性化策や店舗改装や新規出店などの諸施策の効果が発現した結果だ。弊社ではこの下半期の盛り返しに、今後の同社の業績回復可能性や集客の底力といったものを垣間見ることができたと感じている。その意味で2017年2月期はプラス要素も十分に包含されている決算だったと弊社では考えている。
四半期ごとの推移を見ると、第1、第2四半期において営業利益が前年同期比で大幅減益となった一方、第3、第4四半期は2ケタ増益となり、上半期と下半期とで明暗がくっきりと分かれたことがわかる。
上半期はキリン堂の新店の寄与により売上高は前年同期比2.6%の増収となったが、売上総利益において、売上高売上総利益率が前年同期比0.3ポイント悪化し、26.4%となった(利益額自体は前年同期比1.3%増益)。それに対して販管費は前年同期比5.0%増加し売上高販管費率が25.6%に上昇した。その結果として上半期の売上高営業利益率は前年同期の1.7%から0.8%へと低下し、営業利益は前年同期比52.8%の大幅減益となった。
売上総利益率悪化の要因は3つだ。1つ目は中国越境EC売上高の急減だ。これは中国政府による税制変更などが影響している。2つ目は診療報酬改定の影響だ。改定によって基準調剤加算を獲得できていた店舗の構成比が改定前の85.2%から改定後は3.7%に大きく減少した。その結果調剤売上高は前期比1.2%(125百万円)の減収となったが、これがそのまま売上総利益率の低下につながったと考えられる。3つ目は天候不順によるドラッグストアでの季節商品の販売不振だ。季節商品は医薬品や化粧品など利益率が高い商品が多く、売上総利益においてもその影響が大きかったもようだ。
これに対して下半期は、店舗の改装やポイントカード会員の拡大と会員向け販促強化などで既存店売上高を前年同期比プラスに転換させることに成功した。また下半期の新規出店も例年に比べて多かったこともあり、売上高が順調に伸長した。新店増加に伴う販管費(人件費・施設費等)の増加はあったものの、下半期の営業利益は前年同期比15.7%増、上半期比82.2%増となった。下方修正した通期予想では、下半期の営業利益について上半期比横ばいと想定していたため、結果的に修正予想に対して上振れでの着地となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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