トライSTG Research Memo(2):ダイレクトマーケティング支援事業が主力、M&Aにより業容を拡大中
[17/06/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 事業内容
トライステージ<2178>の事業は「ダイレクトマーケティング支援事業」「ダイレクトメール発送代行事業」「海外事業」「その他事業」の4つの事業セグメントで構成されている。2017年2月期の売上構成比で見ると、「ダイレクトマーケティング支援事業」が71.6%を占めており、次いで「ダイレクトメール発送代行事業」が24.4%、「海外事業」が1.4%、「その他事業」が2.6%となる。一方、セグメント利益の構成で見ると、「ダイレクトマーケティング支援事業」でほぼ全体の利益を稼ぎ出す状況となっている。グループ連結子会社は2017年2月末で7社、持分法適用関連会社1社の構成となっている。
(1) ダイレクトマーケティング支援事業
同社の祖業となるダイレクトマーケティング支援事業では、通販事業者に対して主にテレビ通販番組枠やCM枠の提供、販売戦略のプランニング、番組の制作、商品の受注(コールセンターの斡旋)、放送後の効果分析や物流・決済、顧客管理の支援に至るまで、ダイレクトマーケティング(通信販売)で必要なあらゆるサービスをワンストップで提供している。
テレビ通販の放送枠に占める同社のシェアは2割強とトップにあり、媒体別の売上構成比では地上波で約6割、BS放送で約3割、その他(CATV、CS)で1割弱となっている。また、同事業における継続的な顧客数は100社程度で、このうち上位5社で売上高の約50%を占めている。主要顧客は (株)富山常備薬グループ、キューサイ(株)の2社となり、いずれも売上構成比は15%を超える水準となっている。また、顧客の業種別売上構成比で見ると、健康食品と美容(化粧品)が各3割、生活雑貨が2割、その他業種が2割となっている。ここ最近は会員誘導型企業(スポーツジムなど)や通信教育サービス企業など新規業種やクライアントの開拓にも注力している。新規クライアント(取引開始後2年以内)の売上高構成比率で見ると、2015年2月期の8.4%から2017年2月期は16.5%まで上昇しており、顧客の裾野が広がっていることがうかがえる。
(2) ダイレクトメール発送代行事業
ダイレクトメール発送代行事業は、2012年11月に子会社化したメールカスタマーセンター(株)(以下、MCC)の事業となる。顧客企業が発送するパンフレットやカタログなど軽量物を入れたダイレクトメールの発送代行サービスを主に行っている。顧客企業数は600社を超え、年間の発送通数は2017年2月期で約2億通と直近5年間で2倍に拡大している。日本郵便(日本郵政<6178>)の「ゆうメール」やヤマト運輸(ヤマトホールディングス<9064>)の「クロネコDM便」を利用し、大口割引適用を受けることによって顧客企業の発送コスト削減を実現している。東京本社のほか、札幌、新潟、名古屋、大阪、福岡の6拠点で営業展開を行っている。
発送代行業務のみでは付加価値が低いことから、顧客との直接取引比率の向上(現在は大半が代理店経由)や上流工程となる企画や印刷、発送物の封入作業などの受注獲得に取り組んでいる。なお、業界トップはディーエムエス<9782>で年間3.1億通を取り扱っており、同社は業界第5位となっている。
(3) 海外事業
2017年2月期より新たにセグメント開示した海外事業には、同社の海外事業と2017年2月期第3四半期に子会社化したシンガポールのJML Singapore Pte. Ltd.(以下、JML)、第4四半期に子会社化したインドネシアのPT. Merdis International(以下、Merdis)の事業が含まれる。
JMLはシンガポールで主に美容健康商品のテレビ通販事業を展開しているほか、アセアン最大手のスーパーマーケットやドラッグストア等へのリテール卸、EC事業なども行っており、販売国としてはシンガポールのほか2012年に香港、2015年にマレーシアに進出している。2016年12月期の売上高実績は741百万円となる。
Merdisはインドネシアのテレビショッピングチャンネル向けに、主に韓国の美容・雑貨商品の輸入販売を行っている企業で、2016年12月期の売上高実績は607百万円となっている。
(4) その他事業
その他事業としては、2016年3月に子会社化した日本百貨店の事業と、2016年3月に設立し、翌3月に営業開始した連結子会社化NHAの事業が含まれる。日本百貨店では日本各地の特産品や名産品、雑貨等を取り扱う店舗「日本百貨店」を東京都、神奈川県に合わせて7店舗出店している(うち、3店舗は2016年3月以降出店)ほか、2016年7月にオンラインストア「日本百貨店おんらいん」もオープンしている。また、今後は東南アジアへの輸出販売も視野に入れている。
一方、NHAでは一般用漢方製剤の通信販売事業を2017年3月より開始している。取扱商品は頻尿や更年期障害等の改善が期待される漢方薬の販売を行っている。薬剤師等の有資格者がコールセンターのオペレーターとしてカウンセリングを実施しながら販売する手法を取る。現在は、新聞広告の掲載を開始した段階で状況を見ながらラジオ、テレビ広告なども進め、販売を拡大していく戦略となっている。
同事業を開始した目的は、ダイレクトマーケティングの中でもリテンション領域での顧客提案力を強化することにある。リテンションとは既存顧客との関係を維持していくためのマーケティング活動を指している。通販企業にとっては、リピート顧客をいかに拡大するかが経営の重要課題となっている。同社は実際に自社グループで通販事業を行い、顧客データベースの管理・構築や顧客ニーズの吸収、リピート率の向上施策等のノウハウを蓄積することで、リテンション領域の顧客提案力を強化し、ダイレクトマーケティング支援事業における顧客数並びに売上高の拡大につなげていくことを狙っている。
2. ダイレクトマーケティング市場の動向と同社の強み
一般に「ダイレクトマーケティング」とは、テレビやインターネット等のメディアに電話番号やURL等のコンタクト先を明示し、電話やEメール等で消費者と直接型・対話型のコミュニケーションを取り、商品やサービスを販売するマーケティング手法を指す。いわゆる通信販売である。
2016年の国内通販市場は全体で約9.5兆円と前年比で9%成長になったとみられる。媒体別で見るとECが7.6兆円と全体の8割を占め、次いでカタログ通販が1.2兆円、テレビ通販が5,300億円規模となっている。ここ数年のダイレクトマーケティング市場の推移を見ると、主にEC通販が成長のけん引役となっているが、EC通販の中にはテレビで通販番組を見てWeb経由で注文するケースも一定割合存在するため、実際のテレビ通販市場はもう少し大きい規模になっていると思われる。2017年以降のダイレクトマーケティング市場も、前年比で1ケタ台の安定成長が続くものと予想されている。
ダイレクトマーケティング支援事業における競合企業は、大手広告代理店から番組制作会社まで様々だが、いずれもテレビ通販のバリューチェーンの一部を提供するにとどまっている。ダイレクトマーケティング支援サービスに関して、商品企画や番組制作などの川上から顧客管理といった川下分野まで総合的に提供できる企業は同社のみであり、ワンストップソリューションでサービスを提供できることが同社の最大の強みとなっている。
その他、同社の強みとしては業界トップのテレビ番組放送枠を確保しており、過去から蓄積した膨大なデータの分析に基づき、顧客に最適な放送枠を提供できること、長年培った映像制作実績により、商品の特性に応じて「売れる」番組を制作できるノウハウを持つこと、複数のコールセンターと提携して機動的な受注体制を編成し、消費者の満足度を上げ優良顧客化していくノウハウを持つこと、などが挙げられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 事業内容
トライステージ<2178>の事業は「ダイレクトマーケティング支援事業」「ダイレクトメール発送代行事業」「海外事業」「その他事業」の4つの事業セグメントで構成されている。2017年2月期の売上構成比で見ると、「ダイレクトマーケティング支援事業」が71.6%を占めており、次いで「ダイレクトメール発送代行事業」が24.4%、「海外事業」が1.4%、「その他事業」が2.6%となる。一方、セグメント利益の構成で見ると、「ダイレクトマーケティング支援事業」でほぼ全体の利益を稼ぎ出す状況となっている。グループ連結子会社は2017年2月末で7社、持分法適用関連会社1社の構成となっている。
(1) ダイレクトマーケティング支援事業
同社の祖業となるダイレクトマーケティング支援事業では、通販事業者に対して主にテレビ通販番組枠やCM枠の提供、販売戦略のプランニング、番組の制作、商品の受注(コールセンターの斡旋)、放送後の効果分析や物流・決済、顧客管理の支援に至るまで、ダイレクトマーケティング(通信販売)で必要なあらゆるサービスをワンストップで提供している。
テレビ通販の放送枠に占める同社のシェアは2割強とトップにあり、媒体別の売上構成比では地上波で約6割、BS放送で約3割、その他(CATV、CS)で1割弱となっている。また、同事業における継続的な顧客数は100社程度で、このうち上位5社で売上高の約50%を占めている。主要顧客は (株)富山常備薬グループ、キューサイ(株)の2社となり、いずれも売上構成比は15%を超える水準となっている。また、顧客の業種別売上構成比で見ると、健康食品と美容(化粧品)が各3割、生活雑貨が2割、その他業種が2割となっている。ここ最近は会員誘導型企業(スポーツジムなど)や通信教育サービス企業など新規業種やクライアントの開拓にも注力している。新規クライアント(取引開始後2年以内)の売上高構成比率で見ると、2015年2月期の8.4%から2017年2月期は16.5%まで上昇しており、顧客の裾野が広がっていることがうかがえる。
(2) ダイレクトメール発送代行事業
ダイレクトメール発送代行事業は、2012年11月に子会社化したメールカスタマーセンター(株)(以下、MCC)の事業となる。顧客企業が発送するパンフレットやカタログなど軽量物を入れたダイレクトメールの発送代行サービスを主に行っている。顧客企業数は600社を超え、年間の発送通数は2017年2月期で約2億通と直近5年間で2倍に拡大している。日本郵便(日本郵政<6178>)の「ゆうメール」やヤマト運輸(ヤマトホールディングス<9064>)の「クロネコDM便」を利用し、大口割引適用を受けることによって顧客企業の発送コスト削減を実現している。東京本社のほか、札幌、新潟、名古屋、大阪、福岡の6拠点で営業展開を行っている。
発送代行業務のみでは付加価値が低いことから、顧客との直接取引比率の向上(現在は大半が代理店経由)や上流工程となる企画や印刷、発送物の封入作業などの受注獲得に取り組んでいる。なお、業界トップはディーエムエス<9782>で年間3.1億通を取り扱っており、同社は業界第5位となっている。
(3) 海外事業
2017年2月期より新たにセグメント開示した海外事業には、同社の海外事業と2017年2月期第3四半期に子会社化したシンガポールのJML Singapore Pte. Ltd.(以下、JML)、第4四半期に子会社化したインドネシアのPT. Merdis International(以下、Merdis)の事業が含まれる。
JMLはシンガポールで主に美容健康商品のテレビ通販事業を展開しているほか、アセアン最大手のスーパーマーケットやドラッグストア等へのリテール卸、EC事業なども行っており、販売国としてはシンガポールのほか2012年に香港、2015年にマレーシアに進出している。2016年12月期の売上高実績は741百万円となる。
Merdisはインドネシアのテレビショッピングチャンネル向けに、主に韓国の美容・雑貨商品の輸入販売を行っている企業で、2016年12月期の売上高実績は607百万円となっている。
(4) その他事業
その他事業としては、2016年3月に子会社化した日本百貨店の事業と、2016年3月に設立し、翌3月に営業開始した連結子会社化NHAの事業が含まれる。日本百貨店では日本各地の特産品や名産品、雑貨等を取り扱う店舗「日本百貨店」を東京都、神奈川県に合わせて7店舗出店している(うち、3店舗は2016年3月以降出店)ほか、2016年7月にオンラインストア「日本百貨店おんらいん」もオープンしている。また、今後は東南アジアへの輸出販売も視野に入れている。
一方、NHAでは一般用漢方製剤の通信販売事業を2017年3月より開始している。取扱商品は頻尿や更年期障害等の改善が期待される漢方薬の販売を行っている。薬剤師等の有資格者がコールセンターのオペレーターとしてカウンセリングを実施しながら販売する手法を取る。現在は、新聞広告の掲載を開始した段階で状況を見ながらラジオ、テレビ広告なども進め、販売を拡大していく戦略となっている。
同事業を開始した目的は、ダイレクトマーケティングの中でもリテンション領域での顧客提案力を強化することにある。リテンションとは既存顧客との関係を維持していくためのマーケティング活動を指している。通販企業にとっては、リピート顧客をいかに拡大するかが経営の重要課題となっている。同社は実際に自社グループで通販事業を行い、顧客データベースの管理・構築や顧客ニーズの吸収、リピート率の向上施策等のノウハウを蓄積することで、リテンション領域の顧客提案力を強化し、ダイレクトマーケティング支援事業における顧客数並びに売上高の拡大につなげていくことを狙っている。
2. ダイレクトマーケティング市場の動向と同社の強み
一般に「ダイレクトマーケティング」とは、テレビやインターネット等のメディアに電話番号やURL等のコンタクト先を明示し、電話やEメール等で消費者と直接型・対話型のコミュニケーションを取り、商品やサービスを販売するマーケティング手法を指す。いわゆる通信販売である。
2016年の国内通販市場は全体で約9.5兆円と前年比で9%成長になったとみられる。媒体別で見るとECが7.6兆円と全体の8割を占め、次いでカタログ通販が1.2兆円、テレビ通販が5,300億円規模となっている。ここ数年のダイレクトマーケティング市場の推移を見ると、主にEC通販が成長のけん引役となっているが、EC通販の中にはテレビで通販番組を見てWeb経由で注文するケースも一定割合存在するため、実際のテレビ通販市場はもう少し大きい規模になっていると思われる。2017年以降のダイレクトマーケティング市場も、前年比で1ケタ台の安定成長が続くものと予想されている。
ダイレクトマーケティング支援事業における競合企業は、大手広告代理店から番組制作会社まで様々だが、いずれもテレビ通販のバリューチェーンの一部を提供するにとどまっている。ダイレクトマーケティング支援サービスに関して、商品企画や番組制作などの川上から顧客管理といった川下分野まで総合的に提供できる企業は同社のみであり、ワンストップソリューションでサービスを提供できることが同社の最大の強みとなっている。
その他、同社の強みとしては業界トップのテレビ番組放送枠を確保しており、過去から蓄積した膨大なデータの分析に基づき、顧客に最適な放送枠を提供できること、長年培った映像制作実績により、商品の特性に応じて「売れる」番組を制作できるノウハウを持つこと、複数のコールセンターと提携して機動的な受注体制を編成し、消費者の満足度を上げ優良顧客化していくノウハウを持つこと、などが挙げられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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