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日本調剤 Research Memo(12):2018年3月期は増収増益の見通しも、次の改定に備える1年で慎重なスタンス

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2018年3月期について日本調剤<3341>は、売上高234,697百万円(前期比5.0%増)、営業利益10,105百万円(同18.6%増)、経常利益9,804百万円(同22.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,639百万円(21.6%増)と予想している。

調剤薬局事業では売上高が前期比3.9%増の196,681百万円と予想されている。2018年3月期は調剤報酬改定の影響がないため、技術料単価のベースダウンはない。したがって新規出店や処方せん応需枚数の増大に伴い増収増益トレンドに戻ることが期待される。3.9%増という売上高予想は、店舗数の増加(仮に前期同様に30店舗が純増すると、期中平均店舗数は5.5%増となる)などに照らすと控えめに映る。しかしながら、前期において売上げが減少したC型肝炎治療薬は、今期においても患者数の減少により大幅減収となる見込みだ。また、1回で30日超分の薬剤を処方する“長期処方”が減少する傾向にあるのも、処方せん1枚当たりの単価が下がることになり、売上高には大きな影響となる。これらの要因を加味すれば、3.9%増収という売上目標は決して低くはない値と言える。

医薬品製造販売事業の売上高は、前期比12.7%増の41,500百万円と予想されている。ジェネリック医薬品業界全体の成長率が15%と見込まれるなかで、それを下回る増収率である点に同社の慎重なスタンスを読み取ることができる。同社が慎重なスタンスをとる背景には、前期に見られた先発品メーカーによる長期収載品での価格引き下げやジェネリック医薬品メーカー間の価格競争が、今期も継続することへの警戒感があると弊社では考えている。同社自身は価格競争をする意思はないが、2018年4月の新工場稼働を控えて一定の市場シェアを確保しておくことは重要であり、状況によっては価格対応を余儀なくされる可能性は否定できない。そのことを考慮した売上予想とみられる。

医療従事者派遣・紹介事業の売上高は前期比14.3%増の12,000百万円と予想されている。業界全体の人手不足傾向は継続しており、総求人数、薬剤師エントリー数ともに右肩上がりが続くと見通しだ。今期の売上高予想の達成の可否についての懸念は小さいとみている。

利益面については、営業利益は10,105百万円と前期比1,586百万円(18.6%)の増益が見込まれている。同社はセグメント別営業利益予想の開示を行っていないが、調剤薬局事業の営業利益率が2017年3月期の5.0%から5%台半ばを超えるまで改善すれば、他の2つの事業セグメントの利益額が前期比横ばいでも達成できる計算だ。

実際にはどうかというと、調剤薬局事業は売上高については前述のような理由から伸び率が低くなるが、利益に直接的な影響を及ぼす調剤技術料は非改定年であるため下がる可能性は低い。店舗数増とそれに伴う処方せん応需枚数の増加の分だけ、利益額は増加することになると考えられる。結果的に営業利益率も2017年3月期から改善してくることになる。医薬品製造販売事業は、売上高は12.7%増と2ケタ増収となる予想だが、セグメント別動向の項で述べたように設備投資や人材採用などの先行的な投資を行っている。その結果減価償却費や人件費が前期よりも確実に増加することになる。したがって売上高の様には利益は増えないと弊社ではみている。医療従事者派遣・紹介事業は増益になる可能性が高いと弊社ではみている。2017年3月期の反省を踏まえてWeb広告費等の採用コストを抑制してくると考えるからだ。同事業が減益となるのは営業利益率が前期比2%ポイント以上悪化するケースだが、その可能性は低いとみている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


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