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エクストリーム Research Memo(3):人材ソリューション事業は旺盛な需要の中、質の高い人材を供給して成長

注目トピックス 日本株
■事業概要

1. 事業環境
エクストリーム<6033>の主力のソリューション事業の顧客であるエンターテインメント系ソフトウェア業界では、スマートフォンの普及の本格化・拡大を背景に、スマートフォンのゲーム市場は2017年度には9,600億円に達すると予想されており、今後も安定成長が続くと予想されている。

こうした状況下で、顧客企業であるエンターテインメントソフトウェア開発会社には、技術力だけでなく企画力がこれまで以上に要求されるようになっている。加えて、スマートフォンの高機能化に合わせて開発費が増大傾向にあるほか、競争激化によりゲームの魅力維持のために運営費、ユーザー確保のために広告宣伝費も従来以上にかさむ格好となっており、1タイトル当たりのコストは大きく増える傾向にある。このため、開発過程におけるアウトソーシング需要が増大している。

さらに、スマートフォンやタブレットの急速な普及を背景に社内システムにこれらのデバイスを組み込むシステム開発の動きが加速しており、こうした開発案件が増加傾向にある。しかし、システムインテグレータにはスマートフォンやタブレットのシステム開発をできる技術者が少ないことから、同社にとって事業環境は極めて良好な状態となっている。

2. ソリューション事業:概要
同社のソリューション事業は、スマートフォンアプリ、家庭用ゲーム、遊技機器などのエンターテインメント系企業及びWebサービス、金融、ITサービスなどの顧客企業に、プログラミング・グラフィック制作などのスキルを持った同社の技術者が常駐し、開発業務を行うサービスである。契約形態によって労働者派遣契約の人材ソリューションサービスと業務委託契約の受託開発サービスに分かれるが、人材ソリューション事業(派遣契約)が売上高の大半を占める。

人材ソリューションサービスは、SNSアプリ、オンラインゲーム、家庭用ゲーム開発会社などエンターテインメント系企業を中心とする顧客企業からの要求された条件に合うクリエイター、エンジニアを最低1名単位から派遣。派遣された同社社員は直接顧客企業に常駐し、開発業務を行う。職種別にプログラマ、ネットワークエンジニアのコンピュータ技術者からグラフィックデザイナー、3DCGクリエイター、映像オーサライザー、アートディレクター、ゲームプランナー、ゲームオペレーターなどのゲーム関係のクリエイターまでの多岐にわたる技能職員を有する。

月次の取引先数は170社以上となっている。2017年3月期のユーザー別売上構成比はエンターテインメント系63.7%(内訳はスマートフォンアプリ71.7%、遊技機器4.7%、家庭用ゲーム13.4%、オンラインゲーム8.5%、業務用ゲーム他1.7%)、非エンターテインメント系36.3%。足元、ウィットネストの子会社化に加えて、eコマース市場の拡大、オリンピック、マイナンバー制度導入需要などで非エンターテインメント系の受注が拡大傾向にある。

3. ソリューション事業:顧客
具体的な顧客企業について見ると、エンターテインメント系企業では、ディ・エヌ・エー<2432>、グリー<3632>、ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>、gumi<3903>、マーベラス<7844>、バンダイナムコホールディングス<7832>、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>など。一方、非エンターテインメント系企業としては、サイバーエージェント<4751>、楽天<4755>、GMOリサーチ<3695>、GMOコマース(株)などのWebサービス企業に加えて、日本郵政インフォメーションテクノロジー(株)(日本郵政<6178>の子会社)、富士ソフト<9749>、(株)SRA(SRAホールディングス<3817>の事業会社)といったユーザー系ITサービス企業とも取引している。

4. ソリューション事業:主要経営指標
人材ソリューション事業は、「人材」の量と質が鍵であることに疑いの余地はない。同社では、プロジェクト稼働数(派遣人月)及びクリエイター&エンジニア数を主要経営指標として管理している。2017年3月期のプロジェクト稼働数では、4240件(前期比828件増)と増加したものの、クリエイター&エンジニア数が下期の採用難により伸び悩んだことで、当初計画通りではなかった。社外常駐プロジェクトに従事したクリエイター&エンジニア数は300名(前期比7名減)と減少した。人材確保が厳しい中で、旺盛な顧客からのニーズに対応できなかったために、取引先数も213社(前期比1社増)と微増にとどまった。ちなみに、その後採用環境は好転している。

5. ソリューション事業:強みと競合
同社の強みは、独自の人材教育制度を構築しており、顧客企業が要求するクオリティのクリエイター、エンジニアを柔軟に供給できる体制を整えていることである。そもそも、同社はこれまで多数のゲームのヒット作の制作に人材を送り込んでおり、OJTによる人材育成及びキャリア形成において良好な環境を提供してきた。その他にも人材育成制度としてテーマ別やレベル別に教育カリキュラムやプロジェクトが開催されている。人材育成のハードウェアとしては、技術交流施設として「Co-CORE(ここあ)」がある。人材ソリューションサービスにおいて市場ニーズの高いプログラマ、グラフィックデザイナー、3DCGクリエイター、映像オーサライザーなどの技術スキルの向上を図るために研修用機材が設置されており、社員が自主的に研修や交流会を開催でき、社員同士が高め合うことが奨励されている。加えて、ソリューション事業で蓄積された様々なエンターテインメントソフトウェア開発に絡んだノウハウ、経験を自社のコンテンツプロパティ事業に活用できる運営体制であることも強みとして挙げられる。

競合に関しては、エンターテインメント系のソフトウェア開発に絡んだ人材派遣では、映像分野に強いクリーク・アンド・リバー社<4763>や3DCG技術基盤にノウハウがあるシリコンスタジオ<3907>などと競合するほか、ビジネス系のソフトウェア開発の人材派遣に関しては、大手SI企業へ技術者を派遣する中堅のITサービス会社や技術者の派遣会社などが競合先となる。

6. ウィットネスト(子会社)の概要
同社は、2016年4月にソリューション事業における非エンターテインメント系顧客基盤の拡大を狙い、インフラ設計からサイト運用までワンストップのソリューションを提供するSI事業を主たる事業として展開するウィットネストを連結子会社化した。ウィットネストは、2015年の売上高で612百万円、社員数20名(17/3期末)であり、大手携帯電話キャリア、教育系出版社、書籍リユースチェーン運営会社、大手エステサロン、大手ファーストフードチェーンなど大手顧客のバックエンドシステムを受託し、持ち帰り型で構築・納品している。得意とするのは、大規模プラットフォーム、会員システムの構築・リプレース、クラウド型システムの提案・設計などであり、今後はグループの営業力の後押しも期待でき、優位性が発揮されると考えられる。

7. コンテンツプロパティ事業の概要
同コンテンツプロパティ事業は、1)ゲームサービス、2)ライセンスサービス、3)協業開発サービスの3つからなる。

(1) ゲームサービス
同社ではソリューション事業において蓄積した技術力を生かし、自社システムと他社プラットフォームによるPC向けゲームの企画・開発・運営を行うほか、家庭用ゲームの開発も手掛ける。

海外の有力ゲーム開発企業と業務提携を行い、良質な海外のゲームタイトルを日本国内・アジア地域でマルチプラットフォーム、マルチデバイスに向けて積極的に配信する海外ゲームパブリッシング事業を開始した※。欧州圏の有力なオンラインゲームディベロッパーであるDatcroftとの提携では、複数タイトルを2016年度に日本国内向けにローカライズし3タイトルをリリースした。同社では、Datcroft以外の複数社とも包括的な業務提携を行い、良質な海外ゲームタイトルを積極的に配信することにより、新たな収益源の1つとして育成する計画である。

※海外ゲームパブリシッング事業を開始した背景には、PCオンラインゲーム市場は800億円程度の市場規模があり、海外ソフトの「Pokémon GO」が人気化したことに見られるように国内、海外関係なく良いものであれば売れることから、スマホコンテンツ開発で同業の後塵を拝す格好となっているハンディキャップを海外ソフトの輸入でカバーできるとの判断がある。


(2) ライセンスサービス
同社が保有するゲームタイトルまたはキャラクターについて、第三者が制作、販売するマンガ、小説、フィギュア、カードゲーム、スマートフォンアプリ、ダウンロード形式ゲームソフト販売など様々な商材へ使用許諾を行い、ライセンス料を得るビジネス。許諾キャラクターは「桃色大戦ぱいろん」シリーズのほか、家庭用ゲームの「メサイヤ」ブランドを取り扱う。

(3) 協業開発サービス
ソリューション事業を通じて顧客企業から持ち込まれるスマートフォンアプリ、オンラインゲーム、家庭用ゲームなどの開発案件を協業するビジネス。同社がSNSプラットフォーマー、大手ゲームパブリッシャー、著名IP等を保有する版元企業とアライアンスを組み、同社が開発及び運営・運用を担うというもの。契約形態は初期開発フェイズと運営開発フェイズに分かれ、初期開発においては開発対価を受領、開発運営フェイズにおいてはサーバ等の変動費用及び月次売上に応じた成功報酬を得るモデルが主流となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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