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イノベーション Research Memo(5):積極投資で利益率は若干低下するが、高成長持続は変わらない

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2018年3月期の業績見通し
イノベーション<3970>の2018年3月期の業績は、売上高で前期比17.3%増の1,475百万円、営業利益で同14.5%増の197百万円、経常利益で同1.5%増の198百万円、当期純利益で同7.4%増の130百万円となる見通し。売上高営業利益率が前期比0.3ポイント低下の13.4%となるが、これは今後の成長に向けて、人員体制の強化も含めた先行投資を積極的に実施することが要因となっている。また、経常利益については2017年3月期に営業外で計上した保険解約返戻金36百万円がなくなるため1.5%増と小幅増益となるが、営業外収支としては収支均衡水準が今後も続く見通しであり、次年度以降は営業利益とほぼ同水準の成長率になることが予想される。

2018年3月期の主な投資としては、広告宣伝費、開発費、人件費の3つが挙げられる。このうち広告宣伝費については、2017年3月期の1百万円から50百万円に増やしていく計画となっている。このうち40百万円は「ITトレンド」の認知度向上に向けて、集中的なプロモーション施策(交通広告やWeb広告等)を実施する費用に充当する。前期は「ITトレンド」の掲載品目数及び社数が横ばいにとどまっており、これを増やすことが狙いだ。同社では今回の広告宣伝の効果を見極めたうえで、次年度以降も継続的に実施するかどうか判断していく意向で、継続するとしても広告宣伝費の水準としては同規模水準になることが予想される(2019年3月期は費用増要因になる可能性が低い)。

また、開発力の強化を目的に、新たにSales Tech Lab.(セールステックラボ)を2017年4月に本社近隣地にて開設した。「法人営業の新たなスタイルの創造」が設立の趣旨で、同拠点にて新たなIT技術の収集及び利活用、並びに同社が蓄積してきたデジタル情報を活用することにより、新事業・サービスの創出を目指している。初年度の投資額としては34百万円を計画している。本社と別拠点に設けたのは、パートナー企業や大学の教授など産・学・官を含めて技術者が集まりやすい技術交流の場とするためで、同社では4名(兼務含む)の人員を充てる。同拠点ではドローンや3Dプリンタなども置いており、IoTやAI、ビッグデータ処理など先進技術を使って新規事業・サービスを開発していくことになる。初年度は設備機器の購入や賃借費、人件費などが費用増要因となるが、次年度以降は今期並みかもしくは若干の費用増になると予想される。

これら広告宣伝費、開発費の費用増要因を除けば、営業利益は約280百万円、前期比で60%以上の大幅増益となる計算で、実質的には今期も高成長が続く見通しとなっている。なお、人員についてはエンジニア、マーケターを中心に増員を進めていく方針となっており、2018年3月期に入って新卒入社で8名、中途採用で5名の人員が新たに加わっている(2017年3月末79名)。このため人件費は前期比数千万円程度の増加が見込まれている。人員については事業規模拡大とともに今後も年率10%増のペースで増員していく意向だが、生産性向上により従業員1人当たりの売上高及び営業利益についても増加させていく方針となっている。なお、前期末の従業員の組織別構成は、営業(カスタマーサポート含む)30名、マーケティング20名、エンジニア10名、管理部門15名、役員5名となっている。

今期に入ってからの状況は順調で、当第1四半期については売上高の2ケタ成長が続く見通しだ。ただ、新卒者含めて人員を新たに13名増やしたこともあり、営業利益率が低下する可能性がある点には留意しておく必要がある。

2. 事業セグメント別見通し
(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業の売上高は前期比18.7%増の1,137百万円、セグメント利益は同1.6%増の463百万円となる見通し。売上高については引き続き「ITトレンド」「BIZトレンド」の来訪者増、資料請求件数増を主因に2ケタ増収となる見通し。利益面では前述したように広告宣伝費や人件費が増加するため小幅な増益にとどまるが、保守的な印象が強い。当期は主要株主でもある日経BPとの取り組みを強化する予定になっており、同事業の売上高として前期比50百万円程度の増収効果が見込まれるためだ。

同社は従来から日経BPのWeb広告の代理販売を行っていたが、同事業を更に強化していくため新たにパートナービジネス事業部を新設した。具体的な取り組みとしては、法人営業の初期プロセスである認知領域(リードジェネレーション)でのWeb広告サービスを提供していくことになる。販売受託手数料を売上高として計上するため、売上総利益も約50百万円の増益要因となる。日経BPは多くのクライアントを抱えており、同社との協業による今後の売上成長余地は大きい。

(2) セールスクラウド事業
セールスクラウド事業の売上高は前期比13.1%増の338百万円、セグメント利益は同158.8%増の147百万円となる見通し。マーケティング施策の強化や日経BP社との販売協力など他社との連携によりアカウント件数を効果的に増やしていく方針となっている。利益面では、増収効果に加えて、前期にソフトウェアの減損損失を計上したこともあり減価償却費が減少すること等が増益要因となる。

日経BPとの販売協力では、日経BPが主催するセミナーや展示会に出展する企業に対して、「List Finder」の無料トライアル実施を促進し、契約に結び付けていく取り組みを進めている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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