博展 Research Memo(1):デジタルマーケティング分野の強化によりシェア拡大を目指す
[17/06/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
博展<2173>は、展示会や販促イベントの企画・運営など、人と人とが出会う場(空間)におけるマーケティング支援を主力としている。セミナーやカンファレンスの開催支援、店舗・ショールーム等の企画・施工のほか、ITを駆使したデジタルマーケティング支援など、顧客ニーズの高い分野にも注力している。顧客との直接取引を主体としたワンストップ・ソリューションによる差別化を図っており、リピート顧客に支えられた指名受注率の高さに特長がある。
1. 主力の展示会・イベントプロモーションが拡大も、営業損失を計上
2017年3月期の業績は、売上高が前期比14.6%増の9,268百万円、営業損失が253百万円(前期は170百万円の利益)と2ケタの増収ながら原価率の上昇や先行費用の拡大等により営業損失に陥った。受注競争の激化やクライアントによる出展計画・規模の見直し等の影響を受けるなかで、主力の「展示会出展」が着実な受注を確保したほか、人的リソースを強化した「イベントプロモーション」については、全国規模の体験型イベントプロモーションの受注やイベント来場者向けのデジタルアプリケーションの提供などにより大きく拡大した。一方、利益面では、「イベントプロモーション」の拡大に伴う外注費や多様化・大規模化するプロジェクトの管理コストの増加等から原価率が上昇するとともに、多様化する課題や難易度の高い大規模案件に必要な人材の確保、業容拡大に向けた事業基盤整備に伴う費用、デジタルマーケティング分野への先行投資により販管費が大きく拡大した。また、業績の伸びに遅れがみられる子会社(株)アイアクトに係る「のれん」の一括償却、及び無形固定資産の減損損失を特別損失に計上している。
2. 2018年3月期は業務の効率化により損益改善の見通し
2018年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比9.0%増の10,100百万円、営業利益を150百万円(前期は253百万円の損失)と増収増益により、黒字転換を見込んでいる。すべての事業が伸びる想定であるが、引き続き、大型案件などが予定されている「イベントプロモーション」が大きく拡大する見通しである。利益面でも、プロジェクト毎の利益率確保、外注費の抑制に取組むことで原価率の改善を図るとともに、新規投資の選択及び業務運営の効率化やローコストオペレーションにより損益改善を図ることで、将来に向けた投資を継続しながらも収益性の改善を図り黒字転換を目指す方針である。
3. 新中期経営計画を策定、新しいビジネスモデルの創出やグローバル展開の推進に取り組む
同社は、3ヶ年の中期経営計画を推進しているが、前期実績や今期業績の見通し、市場環境等を踏まえ、新たに2020年3月期までの中期経営計画を策定した。ただ、戦略の方向性に大きな変更はない。顧客との長期的な関係構築を前提としたマーケティング・パートナーへと進化を図っていく中期ビジョンのもと、デジタル・テクノロジーとの融合による新しいビジネスモデルの創出やグローバル展開の推進に取り組む。2020年3月期の目標として、売上高12,400百万円(平均成長率10.2%)、営業利益450百万円(毎期営業利益率を1.0%程度改善)を目指す。
弊社では、足元の利益水準が積極的な先行投資や新しい分野への挑戦などにより低調に推移しているが、IT技術の急速な進展等を背景として、これまでの同社の強みであるリアル分野(既存事業における実績やノウハウ、顧客基盤など)とデジタル分野との融合(キラーコンテンツの開発や新たなビジネスモデルの創出等)により他社との差別化を図り、シェア拡大を目指す同社の戦略には合理性があるものと評価している。今後の事業拡大や損益改善に向けた道筋に注目していきたい。
■Key Points
・2017年3月期は2ケタの増収ながら営業損失を計上
・将来に向けた先行費用に加えて、外注費の増加等が利益を圧迫
・2018年3月期は増収及びプロジェクト毎の利益改善及び損益改善(新規投資の選択、ローコストオペレーション等)により、黒字転換を見込む
・デジタル・テクノロジーとの融合による新しいビジネスモデルの創出やグローバル展開を推進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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博展<2173>は、展示会や販促イベントの企画・運営など、人と人とが出会う場(空間)におけるマーケティング支援を主力としている。セミナーやカンファレンスの開催支援、店舗・ショールーム等の企画・施工のほか、ITを駆使したデジタルマーケティング支援など、顧客ニーズの高い分野にも注力している。顧客との直接取引を主体としたワンストップ・ソリューションによる差別化を図っており、リピート顧客に支えられた指名受注率の高さに特長がある。
1. 主力の展示会・イベントプロモーションが拡大も、営業損失を計上
2017年3月期の業績は、売上高が前期比14.6%増の9,268百万円、営業損失が253百万円(前期は170百万円の利益)と2ケタの増収ながら原価率の上昇や先行費用の拡大等により営業損失に陥った。受注競争の激化やクライアントによる出展計画・規模の見直し等の影響を受けるなかで、主力の「展示会出展」が着実な受注を確保したほか、人的リソースを強化した「イベントプロモーション」については、全国規模の体験型イベントプロモーションの受注やイベント来場者向けのデジタルアプリケーションの提供などにより大きく拡大した。一方、利益面では、「イベントプロモーション」の拡大に伴う外注費や多様化・大規模化するプロジェクトの管理コストの増加等から原価率が上昇するとともに、多様化する課題や難易度の高い大規模案件に必要な人材の確保、業容拡大に向けた事業基盤整備に伴う費用、デジタルマーケティング分野への先行投資により販管費が大きく拡大した。また、業績の伸びに遅れがみられる子会社(株)アイアクトに係る「のれん」の一括償却、及び無形固定資産の減損損失を特別損失に計上している。
2. 2018年3月期は業務の効率化により損益改善の見通し
2018年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比9.0%増の10,100百万円、営業利益を150百万円(前期は253百万円の損失)と増収増益により、黒字転換を見込んでいる。すべての事業が伸びる想定であるが、引き続き、大型案件などが予定されている「イベントプロモーション」が大きく拡大する見通しである。利益面でも、プロジェクト毎の利益率確保、外注費の抑制に取組むことで原価率の改善を図るとともに、新規投資の選択及び業務運営の効率化やローコストオペレーションにより損益改善を図ることで、将来に向けた投資を継続しながらも収益性の改善を図り黒字転換を目指す方針である。
3. 新中期経営計画を策定、新しいビジネスモデルの創出やグローバル展開の推進に取り組む
同社は、3ヶ年の中期経営計画を推進しているが、前期実績や今期業績の見通し、市場環境等を踏まえ、新たに2020年3月期までの中期経営計画を策定した。ただ、戦略の方向性に大きな変更はない。顧客との長期的な関係構築を前提としたマーケティング・パートナーへと進化を図っていく中期ビジョンのもと、デジタル・テクノロジーとの融合による新しいビジネスモデルの創出やグローバル展開の推進に取り組む。2020年3月期の目標として、売上高12,400百万円(平均成長率10.2%)、営業利益450百万円(毎期営業利益率を1.0%程度改善)を目指す。
弊社では、足元の利益水準が積極的な先行投資や新しい分野への挑戦などにより低調に推移しているが、IT技術の急速な進展等を背景として、これまでの同社の強みであるリアル分野(既存事業における実績やノウハウ、顧客基盤など)とデジタル分野との融合(キラーコンテンツの開発や新たなビジネスモデルの創出等)により他社との差別化を図り、シェア拡大を目指す同社の戦略には合理性があるものと評価している。今後の事業拡大や損益改善に向けた道筋に注目していきたい。
■Key Points
・2017年3月期は2ケタの増収ながら営業損失を計上
・将来に向けた先行費用に加えて、外注費の増加等が利益を圧迫
・2018年3月期は増収及びプロジェクト毎の利益改善及び損益改善(新規投資の選択、ローコストオペレーション等)により、黒字転換を見込む
・デジタル・テクノロジーとの融合による新しいビジネスモデルの創出やグローバル展開を推進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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