ヨシムラフード Research Memo(4):M&Aによる傘下企業の増加と既存事業の成長・拡大が両輪
[17/06/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
1. 基本方針
ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>の成長戦略の基本方針は、「M&Aによる傘下企業の増加」と「既存事業の成長・拡大」の両輪による成長を強化することとしている。後継者不足等の外部環境という追い風がある中で、傘下企業は増加していくと思われる。また、中小企業支援プラットフォームを強化することで既存事業の成長・拡大及び人材の強化で成長を狙う。
2. 戦略
同社は、両輪の1つであるM&Aを積極的に行い、傘下企業を増加させていくことによって事業規模を拡大する。今後のM&Aのポテンシャルを考える上で、この国を取り巻く状況が興味深い。同社資料によれば、国内製造業のうち、GDP・雇用者数・事業者数において食品産業は最大の業種であるが、約99%が中小・零細企業となっている。また、国内の中小企業のうち、66.1%は後継者が不在であり、60代社長の60.0%が事業承継の準備が進んでいない状況で、このため、休廃業・解散件数が増加している。休廃業・解散の最大の理由は経営者の高齢化と健康問題である。経営者はサラリーマンより引退時期が遅いため、ベイビーブーマーの経営者の大量引退は今後増加の一途をたどると思われ、同社のM&A開拓余地は果てしなくあると言えよう。
もう一つの車輪である既存事業については、中小企業支援プラットフォームを通じて業績拡大を推進するとともに、プラットフォームの更なる強化を行う。前述したように、グループ企業が増加することによって、売上拡大、コスト削減、事業活動領域の拡大が見込める。事業支援・再生の効果や効率を現状より上げるよう注力するようだ。
中小企業支援プラットフォームの強化にも欠かせないのが、成長戦略の両輪に係わる人材の強化である。今後、M&Aによる規模の拡大をスムーズに行い、確実な売上増大と利益成長につなげていくためには、M&A関連業務とプラットフォーム関連業務の双方で人材強化を同時に進めていく必要と同社は認識している。具体的には、出資企業との連携強化、営業・製造分野、商品開発・マーケティング分野、品質管理分野などの人材強化に取り組むようだ。
まずは国内に注力するが、将来的には販路拡大の観点から海外展開も検討するもよう。
3. カタリスト
同社の成長の源泉は中小企業のM&Aによるところが大きいことから、今後のカタリストには、同社によるM&Aの発表や、M&Aや成長戦略の成果が数値として現れる決算発表及び業績予想の増額修正の発表などが考えられる。
4. 事業リスクと人的ボトルネック
同社はM&A先を完全子会社にするため、デューデリジェンス時に把握できなかった、もしくは顕在化していない事業リスクが今後顕在化する可能性はゼロではないだろう。一般的なコンサルティングと比較すると事業リスクが高いように見えるが、目利き力や実際にPMIを実行するなどして得たノウハウ・経験を自社に蓄積しているため、必ずしもリスクが高いという訳ではないだろう。また、食品以外の分野にも進出に意欲的だが、その際の事業リスクは現在の食品分野に限定した時と比べ大きくなると思われる。ただし、同社は、中小企業が抱える問題点は共通であることが多く、同社のノウハウや知見が生かせる局面があると考えている。
ただし、子会社化後にPMIを実行する統括責任者不足がボトルネックとなるリスクはある。PMIなどの実行力を備えている人材は多くはない。M&A後の人心掌握は特に重要であるため、この統括責任者には経験があり、抵抗勢力がありながらも人心掌握できる適性のある人材を選ぶことが重要である。この条件に合致した被買収会社に所属する優秀な従業員をひっぱることもあるうそうだ。同社では、多くのM&Aを行うためにも、この人的ボトルネックに対応することが必要であるため、M&Aの実行時期をずらすことで対応することも検討しているようだ。
(執筆:フィスコアナリスト)
<NB>
1. 基本方針
ヨシムラ・フード・ホールディングス<2884>の成長戦略の基本方針は、「M&Aによる傘下企業の増加」と「既存事業の成長・拡大」の両輪による成長を強化することとしている。後継者不足等の外部環境という追い風がある中で、傘下企業は増加していくと思われる。また、中小企業支援プラットフォームを強化することで既存事業の成長・拡大及び人材の強化で成長を狙う。
2. 戦略
同社は、両輪の1つであるM&Aを積極的に行い、傘下企業を増加させていくことによって事業規模を拡大する。今後のM&Aのポテンシャルを考える上で、この国を取り巻く状況が興味深い。同社資料によれば、国内製造業のうち、GDP・雇用者数・事業者数において食品産業は最大の業種であるが、約99%が中小・零細企業となっている。また、国内の中小企業のうち、66.1%は後継者が不在であり、60代社長の60.0%が事業承継の準備が進んでいない状況で、このため、休廃業・解散件数が増加している。休廃業・解散の最大の理由は経営者の高齢化と健康問題である。経営者はサラリーマンより引退時期が遅いため、ベイビーブーマーの経営者の大量引退は今後増加の一途をたどると思われ、同社のM&A開拓余地は果てしなくあると言えよう。
もう一つの車輪である既存事業については、中小企業支援プラットフォームを通じて業績拡大を推進するとともに、プラットフォームの更なる強化を行う。前述したように、グループ企業が増加することによって、売上拡大、コスト削減、事業活動領域の拡大が見込める。事業支援・再生の効果や効率を現状より上げるよう注力するようだ。
中小企業支援プラットフォームの強化にも欠かせないのが、成長戦略の両輪に係わる人材の強化である。今後、M&Aによる規模の拡大をスムーズに行い、確実な売上増大と利益成長につなげていくためには、M&A関連業務とプラットフォーム関連業務の双方で人材強化を同時に進めていく必要と同社は認識している。具体的には、出資企業との連携強化、営業・製造分野、商品開発・マーケティング分野、品質管理分野などの人材強化に取り組むようだ。
まずは国内に注力するが、将来的には販路拡大の観点から海外展開も検討するもよう。
3. カタリスト
同社の成長の源泉は中小企業のM&Aによるところが大きいことから、今後のカタリストには、同社によるM&Aの発表や、M&Aや成長戦略の成果が数値として現れる決算発表及び業績予想の増額修正の発表などが考えられる。
4. 事業リスクと人的ボトルネック
同社はM&A先を完全子会社にするため、デューデリジェンス時に把握できなかった、もしくは顕在化していない事業リスクが今後顕在化する可能性はゼロではないだろう。一般的なコンサルティングと比較すると事業リスクが高いように見えるが、目利き力や実際にPMIを実行するなどして得たノウハウ・経験を自社に蓄積しているため、必ずしもリスクが高いという訳ではないだろう。また、食品以外の分野にも進出に意欲的だが、その際の事業リスクは現在の食品分野に限定した時と比べ大きくなると思われる。ただし、同社は、中小企業が抱える問題点は共通であることが多く、同社のノウハウや知見が生かせる局面があると考えている。
ただし、子会社化後にPMIを実行する統括責任者不足がボトルネックとなるリスクはある。PMIなどの実行力を備えている人材は多くはない。M&A後の人心掌握は特に重要であるため、この統括責任者には経験があり、抵抗勢力がありながらも人心掌握できる適性のある人材を選ぶことが重要である。この条件に合致した被買収会社に所属する優秀な従業員をひっぱることもあるうそうだ。同社では、多くのM&Aを行うためにも、この人的ボトルネックに対応することが必要であるため、M&Aの実行時期をずらすことで対応することも検討しているようだ。
(執筆:フィスコアナリスト)
<NB>