コニシ Research Memo(2):国内トップクラスの接着剤・シーリング剤メーカー。幅広い用途の製品群をそろえる
[17/06/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. 主要な事業セグメント
現在、コニシ<4956>の事業セグメントは、ボンド事業、化成品事業(化学品の商社業)、土木建設工事、その他の4部門に分けて開示されているが、主要な事業はボンド、化成品、土木建設の3つである。2017年3月期の売上高比率は、ボンド事業48.6%、化成品事業42.2%、土木建設工事9.1%、その他0.2%となっている。土木建設工事について以前はその他に含まれていたが、売上高が大きくなったことから2016年3月期からセグメント分けされた。営業利益ではボンド事業が83.3%と大部分を占めている。これは、化成品事業が仕入販売を行う商社事業であるのに対して、ボンド事業は自社で製造・販売を行っているためである。各事業の概要については以下のとおりとなっている。
(1) ボンド事業
ボンド事業では、主に工業用・一般家庭用の各種接着剤、シーリング材及びワックス・両面テープ等の製造販売を国内外で行っている。アイテム数は「ボンド」のブランドが付く商品だけで約6,500アイテムに上り、業界での品ぞろえは国内で群を抜いている。また、子会社サンライズ・エム・エス・アイ(株)(以下、サンライズMSI)では主に戸建て用の建築用シーリング材や自動車用シール材・接着剤を製造・販売している。もう1つの子会社ウォールボンド工業(株)(旧矢沢化学工業(株))は壁紙用接着剤の製造販売を行っている。
(2) 化成品事業
化成品事業では石油化学製品、合成樹脂、工業用薬品全般、電子機能性材料の仕入販売、「月浪印(つきなみじるし)※エタノール」の製造・販売を行っているが、主たる業務は商社的な事業である。同社の根源とも言える事業であるが、利益率は低いので、新しい中期経営計画では引き続き抜本的な改革を推進する計画だ。
※1914年から続く、同社の日本薬局方エタノールのブランド名。
(3) 土木建設工事
2016年3月期から新しいセグメントとして、それまでの「その他事業」から分離された。内容は子会社のボンドエンジニアリング(株)、コニシ工営(株)、近畿鉄筋コンクリート(株)で手掛ける工事請負事業だが、官公庁、鉄道会社、道路公団等から発注された道路、鉄道、トンネル、橋梁などの補修・補強工事を請負うもの。同社の場合は接着剤メーカーとしてのノウハウ、経験を生かした補修・補強工事を専門で行っているのが特色。なお、土木建設セグメントでは、2018年3月期から同社本体に含まれていた土木建設用接着剤を扱う部門が土木建設事業にセグメント変更されている。
(4) その他
その他事業は不動産賃貸業。
2. 市場シェアと競合企業
主力製品である合成接着剤においては生産量ベースでの市場シェアは10%強の水準と推計され、ここ数年はわずかながら上昇トレンドにある。また、金額ベースのシェアは12〜13%(建設用シーリング材を除く)と推計され、国内では数量、金額ともトップシェアとなっている。
主な競合企業は、一般家庭用ではセメダイン<4999>、住関連用では主にアイカ工業<4206>、セメダイン、(株)オーシカ等がある。建設シーリング材では横浜ゴム<5101>、サンスター技研(株)などと競合する。建設・土木用では、接着剤ではショーボンド化学(株)との競合となるが、実際の工事現場では子会社のボンドエンジニアリングがショーボンド建設(株)と競合する格好となっている。また、工場生産用では昭和電工<4004>、ヘンケルジャパン(株)やオーシカ等が競合大手である。また、エレクトロニクス製品の生産用ではセメダインや(株)スリーボンドと競合するが、両面テープまで広げると日東電工<6988>やスリーエムジャパン(株)が競合企業として挙げられる。
3. 特色、強み
同社の特色、強みを要約すると以下のようになる。
(1) ブランド力
同社の最大の強みは「ボンド」の持つ圧倒的なブランド力である。一般家庭向けの「ボンド・木工用」から建築用、産業用の「ボンド」まで、老若男女を問わず誰もが「ボンド」の名を知っている。
(2) 製品ラインアップと販売網
前述のように製品ラインアップが豊富なことも同社の特色である。また、幅広い製品ラインアップは企業の収益基盤としての強みでもある。
(3) 接着剤専業としての強みと販売網
前述のように多くの競合企業(セメダインを除く)は接着剤の専門メーカーではなく、化学品メーカーが多い。言い換えれば、競合企業にとって接着剤は本業ではなく1つの事業でしかない。これに比べて同社は接着剤専業メーカーであるため、顧客からの信頼は厚い。これも同社の特色であり、強みだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>
1. 主要な事業セグメント
現在、コニシ<4956>の事業セグメントは、ボンド事業、化成品事業(化学品の商社業)、土木建設工事、その他の4部門に分けて開示されているが、主要な事業はボンド、化成品、土木建設の3つである。2017年3月期の売上高比率は、ボンド事業48.6%、化成品事業42.2%、土木建設工事9.1%、その他0.2%となっている。土木建設工事について以前はその他に含まれていたが、売上高が大きくなったことから2016年3月期からセグメント分けされた。営業利益ではボンド事業が83.3%と大部分を占めている。これは、化成品事業が仕入販売を行う商社事業であるのに対して、ボンド事業は自社で製造・販売を行っているためである。各事業の概要については以下のとおりとなっている。
(1) ボンド事業
ボンド事業では、主に工業用・一般家庭用の各種接着剤、シーリング材及びワックス・両面テープ等の製造販売を国内外で行っている。アイテム数は「ボンド」のブランドが付く商品だけで約6,500アイテムに上り、業界での品ぞろえは国内で群を抜いている。また、子会社サンライズ・エム・エス・アイ(株)(以下、サンライズMSI)では主に戸建て用の建築用シーリング材や自動車用シール材・接着剤を製造・販売している。もう1つの子会社ウォールボンド工業(株)(旧矢沢化学工業(株))は壁紙用接着剤の製造販売を行っている。
(2) 化成品事業
化成品事業では石油化学製品、合成樹脂、工業用薬品全般、電子機能性材料の仕入販売、「月浪印(つきなみじるし)※エタノール」の製造・販売を行っているが、主たる業務は商社的な事業である。同社の根源とも言える事業であるが、利益率は低いので、新しい中期経営計画では引き続き抜本的な改革を推進する計画だ。
※1914年から続く、同社の日本薬局方エタノールのブランド名。
(3) 土木建設工事
2016年3月期から新しいセグメントとして、それまでの「その他事業」から分離された。内容は子会社のボンドエンジニアリング(株)、コニシ工営(株)、近畿鉄筋コンクリート(株)で手掛ける工事請負事業だが、官公庁、鉄道会社、道路公団等から発注された道路、鉄道、トンネル、橋梁などの補修・補強工事を請負うもの。同社の場合は接着剤メーカーとしてのノウハウ、経験を生かした補修・補強工事を専門で行っているのが特色。なお、土木建設セグメントでは、2018年3月期から同社本体に含まれていた土木建設用接着剤を扱う部門が土木建設事業にセグメント変更されている。
(4) その他
その他事業は不動産賃貸業。
2. 市場シェアと競合企業
主力製品である合成接着剤においては生産量ベースでの市場シェアは10%強の水準と推計され、ここ数年はわずかながら上昇トレンドにある。また、金額ベースのシェアは12〜13%(建設用シーリング材を除く)と推計され、国内では数量、金額ともトップシェアとなっている。
主な競合企業は、一般家庭用ではセメダイン<4999>、住関連用では主にアイカ工業<4206>、セメダイン、(株)オーシカ等がある。建設シーリング材では横浜ゴム<5101>、サンスター技研(株)などと競合する。建設・土木用では、接着剤ではショーボンド化学(株)との競合となるが、実際の工事現場では子会社のボンドエンジニアリングがショーボンド建設(株)と競合する格好となっている。また、工場生産用では昭和電工<4004>、ヘンケルジャパン(株)やオーシカ等が競合大手である。また、エレクトロニクス製品の生産用ではセメダインや(株)スリーボンドと競合するが、両面テープまで広げると日東電工<6988>やスリーエムジャパン(株)が競合企業として挙げられる。
3. 特色、強み
同社の特色、強みを要約すると以下のようになる。
(1) ブランド力
同社の最大の強みは「ボンド」の持つ圧倒的なブランド力である。一般家庭向けの「ボンド・木工用」から建築用、産業用の「ボンド」まで、老若男女を問わず誰もが「ボンド」の名を知っている。
(2) 製品ラインアップと販売網
前述のように製品ラインアップが豊富なことも同社の特色である。また、幅広い製品ラインアップは企業の収益基盤としての強みでもある。
(3) 接着剤専業としての強みと販売網
前述のように多くの競合企業(セメダインを除く)は接着剤の専門メーカーではなく、化学品メーカーが多い。言い換えれば、競合企業にとって接着剤は本業ではなく1つの事業でしかない。これに比べて同社は接着剤専業メーカーであるため、顧客からの信頼は厚い。これも同社の特色であり、強みだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>