シュッピン Research Memo(4):EC売上高の順調な拡大と中古品比率の上昇で、期初予想通りの増益を達成
[17/06/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績の動向
1. 2017年3月期決算の概要
シュッピン<3179>の2017年3月期決算は、売上高24,996百万円(前期比10.1%増)、営業利益1,096百万円(同31.8%増)、経常利益1,078百万円(同31.3%増)、当期純利益741百万円(同32.2%増)と増収増益で着地した。
期初予想との比較では、売上高が若干未達となったものの、営業利益以下の各利益項目は期初予想を上回った。売上高が未達になった要因は、上半期において、熊本地震の影響により新製品の高級機種の入荷が滞ったことが原因だ。下半期についてはこうした要因が払拭され、売上高も含めて予想どおりの推移となった。
2017年3月期において弊社が注目していたことの1つに、インバウンド需要に頼らない収益構造の確立がある。逆に言えば、EC売上高を順調に伸ばせることができるかどうかだ。この点、2017年3月期のEC売上高は前期比20.4%増の15,694百万円に達し、店舗売上高が前期比3.8%減の9,301百万円にとどまったのとは対照的な結果となった。EC売上高の増加の背景には、同社が進めるOne to Oneマーケティングの効果や、時計事業において、EC取引がこれまでよりも成長のステージを一段上がったとみられることなどがあると弊社では考えている(これらについての詳細は後述する)。
一方、店舗売上高が前期比減収となったのはインバウンド売上高(インバウンド売上高の把握方法としては免税売上高を訪日外国人によるものとしている)の変動減の影響だ。同社は2016年3月期の反省から、2017年3月期については、インバウンド売上高に関しては月間100百万円〜150百万円程度で推移すると予算に織り込んだ。結果的には2017年3月期通期の免税売上高は1,678百万円(前期比43.1%減)となり、想定を多少上回って着地した。
なお、店舗売上高から免税売上高を除いた金額は、2016年3月期の6,725百万円に対して2017年3月期は7,623百万円となり、前期比13.4%増となった。国内居住者を中心とした新製品及び中古品への需要は、店頭においても着実に成長していることが見て取れる。
同社を見る上でのもう1つのポイントである、中古品比率は、2017年3月期の全社ベースでは45.7%となり、2016年3月期の42.3%から3.4%ポイント上昇した。同社はECの深耕の取り組みとして、商品掲載画像数の30カットへの増加やコメントの充実などの施策に取り組んだ。加えて買取りも順調に進捗して在庫を拡充できたことが、中古品比率の上昇につながった。2017年3月期の注目すべき動きとしては、従来、カメラに比較して中古品比率が低かった時計が、2017年3月期は42.9%にまで高まったことがある(2016年3月期は36.8%)。前述したように画像やコメントを充実させて商品説明力を高めたことが信頼感を上昇させ、中古品販売増加につながったとみられる。
同社の収益構造では販管費がポイントになる。販管費の対売上高比率は順調に右肩下がりのトレンドを歩んでおり、同社が創業時から目指しているEC特化型収益モデルを想定どおりに実践できている。
2017年3月期の販管費は前期比7.2%(208百万円)増の3,105百万円だった。増加分のうち93百万円は人件費だが、これは成果ボーナス分が大きいとみられる。次に増加幅大きかったのは支払手数料で、これはECモールでの売上高増加にリンクしたものだ。3番目の増加項目は販売促進費で48百万円の増加となった。これらの増加要因はすべて売上高(業績)の拡大の裏付けがあっての増加であり、それ以外の費用項目は前期比横ばい圏で推移している。こうした費用構造が売上高販管費率の継続的な低下につながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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1. 2017年3月期決算の概要
シュッピン<3179>の2017年3月期決算は、売上高24,996百万円(前期比10.1%増)、営業利益1,096百万円(同31.8%増)、経常利益1,078百万円(同31.3%増)、当期純利益741百万円(同32.2%増)と増収増益で着地した。
期初予想との比較では、売上高が若干未達となったものの、営業利益以下の各利益項目は期初予想を上回った。売上高が未達になった要因は、上半期において、熊本地震の影響により新製品の高級機種の入荷が滞ったことが原因だ。下半期についてはこうした要因が払拭され、売上高も含めて予想どおりの推移となった。
2017年3月期において弊社が注目していたことの1つに、インバウンド需要に頼らない収益構造の確立がある。逆に言えば、EC売上高を順調に伸ばせることができるかどうかだ。この点、2017年3月期のEC売上高は前期比20.4%増の15,694百万円に達し、店舗売上高が前期比3.8%減の9,301百万円にとどまったのとは対照的な結果となった。EC売上高の増加の背景には、同社が進めるOne to Oneマーケティングの効果や、時計事業において、EC取引がこれまでよりも成長のステージを一段上がったとみられることなどがあると弊社では考えている(これらについての詳細は後述する)。
一方、店舗売上高が前期比減収となったのはインバウンド売上高(インバウンド売上高の把握方法としては免税売上高を訪日外国人によるものとしている)の変動減の影響だ。同社は2016年3月期の反省から、2017年3月期については、インバウンド売上高に関しては月間100百万円〜150百万円程度で推移すると予算に織り込んだ。結果的には2017年3月期通期の免税売上高は1,678百万円(前期比43.1%減)となり、想定を多少上回って着地した。
なお、店舗売上高から免税売上高を除いた金額は、2016年3月期の6,725百万円に対して2017年3月期は7,623百万円となり、前期比13.4%増となった。国内居住者を中心とした新製品及び中古品への需要は、店頭においても着実に成長していることが見て取れる。
同社を見る上でのもう1つのポイントである、中古品比率は、2017年3月期の全社ベースでは45.7%となり、2016年3月期の42.3%から3.4%ポイント上昇した。同社はECの深耕の取り組みとして、商品掲載画像数の30カットへの増加やコメントの充実などの施策に取り組んだ。加えて買取りも順調に進捗して在庫を拡充できたことが、中古品比率の上昇につながった。2017年3月期の注目すべき動きとしては、従来、カメラに比較して中古品比率が低かった時計が、2017年3月期は42.9%にまで高まったことがある(2016年3月期は36.8%)。前述したように画像やコメントを充実させて商品説明力を高めたことが信頼感を上昇させ、中古品販売増加につながったとみられる。
同社の収益構造では販管費がポイントになる。販管費の対売上高比率は順調に右肩下がりのトレンドを歩んでおり、同社が創業時から目指しているEC特化型収益モデルを想定どおりに実践できている。
2017年3月期の販管費は前期比7.2%(208百万円)増の3,105百万円だった。増加分のうち93百万円は人件費だが、これは成果ボーナス分が大きいとみられる。次に増加幅大きかったのは支払手数料で、これはECモールでの売上高増加にリンクしたものだ。3番目の増加項目は販売促進費で48百万円の増加となった。これらの増加要因はすべて売上高(業績)の拡大の裏付けがあっての増加であり、それ以外の費用項目は前期比横ばい圏で推移している。こうした費用構造が売上高販管費率の継続的な低下につながっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
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